「MR活動」や「講演会」などのプロモーション系情報チャネルによって医師に想起された製品ランキングで、最新の2026年1月調査において、不眠症を適応とするデュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)がトップ10に3製品ランクインし、ち2製品がトップ3入りを果たした。DORAの想起医師数ランクは、全体2位にクービビック(24年12月発売)、3位にボルズィ(25年11月発売)、7位にデエビゴーーとなった。DORAの新薬の相次ぐ登場で市場はレッドオーシャン化しており、各社の活発な情報提供活動が今回の結果に表れた格好だ。
DORAは、覚醒を促す神経ペプチド(オレキシン)の受容体(OX1RおよびOX2R)への結合を選択的に阻害し、過剰な覚醒状態を抑制して睡眠状態へと移行させることで効果の発揮が期待できる新クラスの不眠症治療薬。14年のベルソムラ(MSD)、20年のデエビゴ(エーザイ)の登場を経て市場は成熟。特にデエビゴはクラス内シェア1位であるだけでなく、後発品主体の不眠症治療薬市場でもシェア1位の座にある。
多くの医師の間でデエビゴの処方感が確立しているなか、DORAとして3番手のクービビック(ネクセラファーマ/塩野義製薬)、4番手のボルズィ(大正製薬/Meiji Seika ファルマ)が近年相次ぎ登場した。入眠効果や悪夢、翌日への持ち越しといった有効性や安全性の違いが、デエビゴの処方に慣れた医師の処方行動をどう変容させるかが今後の焦点になる。
◎クービビック 長期処方解禁で躍進 想起医師数1万2900人
25年12月に長期投与が解禁されたクービビックの想起医師数は、26年1月に1万2900人(拡大推計、100人未満切捨て)とし、前回25年10月調査から約3000人伸ばした。想起医師数ランキングも前回5位から今回2位に浮上した。
チャネル別では全方位で勢いが増しており、「MR活動」をきっかけに同剤を想起した医師数は約1900人増の7900人。自社サイトやサードパーティによる情報発信を指す「eマーケティング」による想起医師数は約600人増の3300人、「講演会」は約300人増の1600人が同剤を想起した。想起医師数ランクは、「MR活動」及び「eマーケティング」は前回4位から今回2位に、「講演会」は同13位から4位にアップした。
臨床現場では悪夢や翌日の持ち越しといった副作用が少ないと評価する医師は少なくない。長期処方解禁のタイミングに情報提供活動を活発化させたメーカー側と、それに応じる現場医師の関心度が相まって、今回の想起医師数の増加とランクアップにつながったとみられる。
◎ボルズィ 発売2カ月余りで医師1万2800人が想起 「MR活動」でトップ
最新のDORAであるボルズィの想起医師数は、約8100人増の1万2800人に達した。想起医師数ランクは前回14位から3位に大きく伸びた。25年11月の発売から2カ月余りでの調査ではあるが、多くの医師がボルズィを認識し、先行するクービビックとの想起医師数の差はわずか100人だった。
特に「MR活動」による想起医師数は約4600人増の7900人を記録し、このチャネル内で首位に立った。なお、前述の通り、同じく7900人の想起を得たクービビックとは、100人未満の僅差でボルズィが首位、クービビックが2位となった。ボルズィは「MR活動」以外の主要チャネルでも想起医師数を伸ばし、「講演会」で1200人増の1500人(ランキングは前回125位→今回7位)、「eマーケティング」で約2200人増の3200人(同13位→4位)に想起された。
ボルズィは臨床試験において、tmaxが0.5時間と投与後速やかに吸収され効果発現が早いことに加え、半減期(t1/2)は2.13時間とDORAの中で最も短いことが示されており、翌朝への持ち越しが少ない点に注目が集まっている。また、同剤は発売直後の12月に限定出荷となり、1月30日に通常出荷に戻った。これも同剤が医師の印象に強く残り、今回の調査結果に影響した可能性がある。
◎デエビゴ 想起医師数は7000人で安定 「医師の使用感」など実臨床での評価浸透
一方、デエビゴの想起医師数は約100人減の7000人で、想起医師数ランクも前回調査と同じく7位だった。チャネル別の想起医師数でトップ10入りしているのは「eマーケティング」のみだ。ただ、デエビゴは、「患者の声」や「医師の使用感評価」といったノンプロモーション系情報チャネルによる想起医師数で首位を堅持している。積極的なプロモーション活動をしなくても実臨床での評価は浸透し、安定した処方が継続される状況にあり、MRにはフォローアップ活動のウェートをより高める必要がありそうだ。
1月のプロモーション系情報チャネルによる製品想起トップ10製品と推計想起医師数(100人未満切捨て)は以下の通り。前回調査は25年10月。
1位(前回1位)
ジャディアンス 想起医師数1万3300人
2位(5位)
クービビック 想起医師数1万2900人
3位(4位)
ボルズィ 想起医師数1万2800人
4位(2位)
フォシーガ 想起医師数1万2700人
5位(4位)
エンレスト 想起医師数9600人
6位(3位)
マンジャロ 想起医師数8800人
7位(7位)
デエビゴ 想起医師数7000人
8位(13位)
ケレンディア 想起医師数6000人
9位(50位)
ビラノア 想起医師数5800人
10位(9位)
ウゴービ 想起医師数5800人
・9位と10位は100人未満の想起医師数でランキング
本調査はインテージヘルスケアが提供する医師約1万人を対象に情報チャネルごとの製品想起状況などをトラッキングする「SOC(=Share of Channels)」によるもの。SOCは、主に「MR活動」、「講演会(Web含む)」、「eマーケティング」で構成するプロモーション系情報チャネルによる製品想起と、主に「医師の使用感評価」や「患者の声」などのプッシュ型ではないノンプロモーション系情報チャネルにわけ、製品想起状況が把握できる。同調査は1月、4月、7月、10月に実施している。
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