再生医療等製品3品目 5月20日収載へ iPS細胞由来製品・アムシェプリの薬価は5530万円
公開日時 2026/05/14 04:50
中医協総会は5月13日、住友ファーマのパーキンソン病を対象疾患とするiPS細胞由来製品・アムシェプリなど再生医療等製品3品目3成分の薬価収載を了承した。収載日は5月20日の予定。アムシェプリは3月に条件及び期限付き承認されたもので、薬価は18瓶1組5530万6737円となった。10年後のピーク時予測は投与患者数133人、販売金額74億円。最適使用推進ガイドランが策定され、保険適用上の留意事項通知が19日に発出、収載予定日の20日から適用される。
◎再生細胞薬・アクーゴは7271万円 2歳以上のSMA治療薬・ゾルゲンスマ髄注は1億6707万円
このほかの収載予定の2品目は、サンバイオの外傷性脳損傷に対する再生細胞薬・アクーゴ脳内移植用注と、ノバルティスファーマの2歳以上の脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療薬・ゾルゲンスマ髄注となる。
アクーゴは24年7月に条件及び期限付き承認され、25年12月に出荷解除に係る一変承認を取得したもの。薬価は1回分7271万6528円で、10年後のピーク時予測は投与患者数39人、販売金額28億円。アクーゴも最適使用推進ガイドラインが策定され、保険適用上の留意事項通知が発出・適用される。ゾルゲンスマ髄注の薬価は、既存の2歳未満向けの点滴静注製剤と同額の1億6707万7222円と算定された。
5月20日付で収載される製品は以下の通り(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。
▽アムシェプリ(ラグネプロセル、住友ファーマ)
*条件及び期限付承認(26年3月)に該当し、期限は7年。
効能・効果又は性能:レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善
薬価:18瓶1組 55,306,737円
ピーク時予測(10年後):投与患者数133人、販売金額74億円
加算:
市場性加算(I)(A=10%)「本剤は希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
先駆加算(A=10%)「本品は、世界に先駆けて日本で承認されたものであることから、加算の要件を満たす。一方で、本品は条件及び期限付き承認であり、有効性を示すデータは限られていることから、限定的な評価とした」
革新的新薬薬価維持制度への該当性:該当する(主な理由:希少疾病用再生医療等製品として指定)
費用対効果評価:該当しない(改めて承認を受けた際にその該当性を判断する)
最適使用推進GL:策定する(適用日:26年5月20日)
アムシェプリの薬価は原価計算方式で算定された。条件及び期限付き承認品目のため、営業利益率の係数は平均的な営業利益率に0.5を乗じた値とし、有用性加算の該当性は判断されなかった。
本品は、健康成人の末梢血単核球から作製したiPS細胞から分化誘導して製造した、ドパミン神経前駆細胞の細胞塊を含有する細胞加工製品(非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞)。本品は脳内の被殻に両側移植して用いる。免疫反応の抑制を目的に、本品移植前後にタクロリムス水和物を投与する。
本品をパーキンソン病患者の線条体の被殻に移植後、本品がドパミン神経細胞に分化・成熟することにより、ドパミン神経機能が回復し、ドパミン神経細胞が産生・分泌する内因性ドパミンの増加等により、運動症状が改善することが期待される。
本承認の取得に向け、7年の期限内に製造販売後臨床試験や全例を対象とした使用成績調査を実施する。製造販売後臨床試験は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者を対象に実施し、本品の有効性及び安全性を評価する。目標症例数は65歳以下が30例、65歳超が5例――の計35例。主要評価項目は移植後96週時(24カ月)におけるオフ時のMDS-UPDRS Part III合計スコアのベースラインからの変化量。対照群は設けず、文献情報を基に閾値を設定し、有効性を判断する。副次評価項目としてオン時間、オフ時間、日常生活動作などを設定し、多角的に評価する。
全例を対象とした使用成績調査も実施し、本品の使用実態下での安全性及び有効性を確認する。
薬価収載後の販売は住友ファーマが、製造に関しては住友化学と住友ファーマのCDMOを行う合弁会社S-RACMOが担う予定。
▽アクーゴ脳内移植用注(バンデフィテムセル、サンバイオ)
*条件及び期限付承認(24年7月)に該当し、期限は7年。
効能・効果又は性能:外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善
薬価:1回分72,716,528円
ピーク時予測(10年後):投与患者数39人、販売金額28億円
加算:
市場性加算(I)(A=10%)「本剤は希少疾病用再生医療等製品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
先駆加算(A=10%)「本剤は先駆け審査指定制度の対象品目として指定を受けていることから、加算の要件を満たす。国際共同第2相試験の結果について、薬事審査では限定的な評価とされていることから、加算率は10%が妥当と判断した」
革新的新薬薬価維持制度への該当性:該当する(主な理由:希少疾病用再生医療等製品として指定)
費用対効果評価:該当しない(改めて承認を受けた際にその該当性を判断する)
最適使用推進GL:策定する(適用日:26年5月20日)
アクーゴの薬価は原価計算方式で算定された。条件及び期限付き承認品目のため、営業利益率の係数は平均的な営業利益率に0.5を乗じた値とし、有用性加算の該当性は判断されなかった。
本品は、主構成体として健康成人から骨髄液を採取し、培養により分離・増殖させた間葉系幹細胞にヒトNotch-1の細胞内ドメインをコードしたプラスミドベクターを導入したヒト(同種)由来の脳内移植用細胞懸濁液(バンデフィテムセル)、副構成体として移植する細胞懸濁液の調製に用いる専用調製液及び専用投与機器セット(①マイクロシリンジ、②投与カニューラ、③インサーター、④スタイレット及び⑤ガイド&ストップ)により構成される、コンビネーション製品。
本品を脳内の損傷した神経組織に移植することで、FGF-2(タンパク質の一種)等が放出され、損傷した神経細胞が本来持つ再生能力を促し、神経細胞の増殖・分化を促進する効果が期待される。
24年7月に条件及び期限付き承認を取得した際に付された4つの承認条件のひとつとして、「本品の製造実績が限られていることを踏まえ、あらかじめ定めた計画に基づき、本品の品質に関する情報を速やかに収集するとともに、治験製品と本品との品質の同等性/同質性を評価し、結果を報告すること。また、当該結果を踏まえ、必要な承認事項一部変更承認申請を行うとともに、当該申請が承認されるまでの間、本品の出荷を行わないこと」が課された。
サンバイオは25年12月に、この「本品の出荷を行わないこと」に係る承認条件を解除する一変承認を取得した。同社は、「アクーゴは条件及び期限付き承認の枠組みで承認されており、24年の承認から7年間の期限内に本承認を取得する計画に変更はない」としている。
▽ゾルゲンスマ髄注(オナセムノゲン アベパルボベク、ノバルティス ファーマ)
効能・効果又は性能:脊髄性筋萎縮症(ただし、抗AAV9抗体が陰性の患者に限る)
薬価:1患者当たり 167,077,222円
ピーク時予測(2年後):投与患者数26人、販売金額43億円
加算なし
革新的新薬薬価維持制度への該当性:該当する(主な理由:希少疾病用再生医療等製品として指定)
費用対効果評価:該当する(H5)
脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子置換療法。既承認のゾルゲンスマ点滴静注が2歳未満を投与対象としているのに対し、今回の髄腔内投与製剤は2歳以上を対象とする。髄腔内投与製剤の薬価は点滴静注製剤と同額。
髄腔内投与製剤の用法及び用量又は使用方法は、「通常、1.2×1014ベクターゲノム(vg)を約1~2分かけて髄腔内に単回投与する。オナセムノゲン アベパルボベクの投与歴(投与経路は問わない)がある患者には本品を投与しないこと」。
今回の承認は、▽2~18歳未満の未治療のSMA患者126例を対象とした第3相STEER試験、▽ヌシネルセン(スピンラザ)又はリスジプラム(エブリスディ)による治療歴を有する2~18歳未満のSMA患者(投与例:27例、日本人4例を含む)を対象とした第3相STRENGTH試験―の結果に基づく。
国内では、SMA治療薬として、スピンラザ髄注とエブリスディドライシロップ・同錠が承認されており、スピンラザは乳児型以外のSMA、エブリスディは2歳以上のSMAに対する用法・用量も設定されている。