厚労省 第一三共のMMRワクチン・ミムリット皮下注用を承認 2つの再生医療等製品も
公開日時 2026/05/12 04:49
厚生労働省は5月11日、第一三共の麻しん・おたふくかぜ・風しん混合ワクチン(MMRワクチン)・ミムリット皮下注用を承認した。ミムリットは日本で定期接種の対象となっている第一三共の2種混合ワクチン(乾燥弱毒生麻しん風しん2種混合ワクチン)に、世界で汎用されているおたふくかぜワクチン株を混合した3種混合生ワクチン。3種混合により接種回数が減少することで、被接種者の負担軽減が期待されている。
◎半月板切除術適応の半月板損傷の治療用製品、BCG不応性の高リスクNMIBC治療薬が承認取得
また、厚労省は5月8日に再生医療等製品2製品を承認した。ひとつは富士フイルム富山化学の「半月板切除術が適応となる半月板損傷」を効能、効果又は性能とするセイビスカス注。半月板損傷に対して半月板切除術が行われると変形性膝関節症に至るリスクが高くなる。セイビスカスは半月板を切らずに温存するコンセプトに基づき開発された。
もうひとつはフェリング・ファーマのBCG不応性の高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)に対する遺伝子治療薬・エドスチラドリン膀胱内注入液。BCG療法が奏功しなかった次の治療選択肢が膀胱の完全切除となるなか、エドスチラドリンはBCGが奏功しない高リスクNMIBC患者に膀胱を温存する治療選択肢を提供することになる。
承認された製品は次のとおり(カッコ内は一般名、製造販売元)
【5月11日承認】
▽ミムリット皮下注用(乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風しん混合ワクチン、第一三共):「麻しん、おたふくかぜ及び風しんの予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。再審査期間は8年。薬効分類636。
用法・用量は、「本剤を添付の溶剤(日本薬局方注射用水)0.7mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射する」。接種対象者は「生後12月以上の者であれば性、年齢に関係なく接種できる。接種年齢は、学会等の最新の情報を考慮して総合的に判断すること」。なお、接種不適当者として、▽明らかな発熱を呈している者、▽明らかに免疫機能に異常のある者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者、▽妊娠していることが明らかな者――などが添付文書に記載されている。
日本では1989年にMMRワクチンが定期接種に導入されたが、同ワクチンに含まれるおたふくかぜワクチンによる無菌性髄膜炎の発生が社会問題となり、93年に事実上中止となった。
厚労省の担当官は、ミムリットを承認することが了承された3月2日の薬事審・医薬品第二部会後の記者説明会で、▽ミムリットの国内第3相臨床試験(小児400例程度組み入れ)で無菌性髄膜炎の発現は認められなかった、▽ミムリットに含まれるおたふくかぜワクチン株(ムンプスウイルス株)は、WHOで事前認定されているおたふくかぜワクチン株のひとつである、▽ミムリットに含まれるムンプスウイルス株は、海外で豊富な使用実績があるものの中で、無菌性髄膜炎の発現率が相対的に低いとの報告があるものが選択された――ことなどから、「総じてリスクについては許容可能という判断により、(部会において)承認が了承された」と説明した。
【5月8日承認】
▽セイビスカス注(ヒト(自己)滑膜由来間葉系幹細胞、富士フイルム富山化学):「半月板切除術が適応となる半月板損傷」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。条件及び期限付承認への該当性は「非該当」。再審査期間は8年。
患者自身の膝の内部から採取した滑膜組織を処理、培養増殖させて得られた自家滑膜由来間葉系幹細胞懸濁液。半月板損傷部を縫い合わせて整形した後に本品を損傷部に投与することで、損傷部の癒合と損傷に伴う症状の改善を期待する。
承認条件として、▽一定数の症例データ(予定症例数600例)が蓄積されるまでの間の、全症例を対象とした使用成績調査の実施、▽医師要件・施設要件を遵守して本品を用いるよう、関連学会との協力により作成された適正使用指針の周知、講習の実施等必要な措置を講じること――が課されている。
重度の半月板損傷に対する治療法は、症状の原因となっている半月板損傷部分を切除する手術(半月板切除術)が多く行われる。しかし、半月板切除術では、症状が改善する一方で、変形性膝関節症の進行リスクが高まる問題が指摘されており、新たな治療法の確立が期待されている。
▽エドスチラドリン膀胱内注入液(一般名:ナドファラゲン フィラデノベク、フェリング・ファーマ):「BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内がんを有する高リスク筋層非浸潤性膀胱がん」を効能、効果又は性能とする再生医療等製品。条件及び期限付承認への該当性は「非該当」。希少疾病用再生医療等製品。再審査期間は10年。
非複製型アデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療法。インターフェロン・アルファ2b遺伝子を含み、カテーテルを用いて3カ月に1回、膀胱内に直接投与する。化学療法とは異なり、患者自身の膀胱上皮細胞をインターフェロン産生工場へと変換する新しい治療アプローチとなる。インターフェロン・アルファ2bタンパク質を局所的に高濃度かつ一過性に発現させることで、体の自然な抗がん力を強化し、再発を抑えたり、残存した腫瘍に対する抗腫瘍効果を持つ。
用法・用量は、「通常、成人には1回あたり75mL(3×1011vp/mL)を3カ月間隔で膀胱内投与する」。
承認条件として、▽一定数の症例データが蓄積されるまでの間の、全症例を対象とした使用成績調査の実施、▽医師要件や施設要件、「効能、効果又は性能」や「用法及び用量又は使用方法」を遵守して本品を用いるよう、必要な措置を講じること、▽カルタヘナ法遵守のため必要な措置を講じること――が課されている。
BCG療法が奏功しなかった場合の次の治療選択肢が膀胱の完全切除となるなか、エドスチラドリンが承認された場合、BCGが奏功しないNMIBC患者に膀胱を温存する治療選択肢を提供することになる。日本では日本化薬と共同販促し、販売はフェリングが担当する予定。