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日本リリー JIHS・国循と肥満症のエビデンス創出で共同研究協定を締結 肥満症薬の使用は会社限定せず

公開日時 2026/05/29 04:52
日本イーライリリーは5月28日、国立健康危機管理研究機構(JIHS)、国立循環器病研究センターと肥満症対策推進に向けた共同研究協定を締結したと発表した。大規模前向き観察研究により肥満症への薬物治療効果および肥満関連健康障害やQOL、医療費などのデータを取得し、実臨床における効果とインパクトを評価する。同社の研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部の坂口佐知本部長は記者会見で、「臨床的アウトカム、患者報告アウトカム、エコノミックアウトカムをそれぞれ統合し、検討することで、多角的な観点から肥満症治療のインパクトを明らかにしたい」と強調した。また共同研究で使用する薬剤については、「どこの会社の製剤かに限定せず、全てのインクレチンをベースとした肥満症の治療を受ける患者さんを対象としている。これは中立性を保って研究を進めるものだ」と述べた。

◎米リリー デイビッド・A・リックスCEO 社会課題解決には堅牢なエビデンスが必要

記者会見に臨んだ米イーライリリー・アンド・カンパニーのデイビッド・A・リックスCEOは、「肥満症は個人的な理由や管理の問題などスティグマがあり、治療アクセスに不公平が生じる。日本は超高齢化を迎えており、こうした問題は非常に重要で緊急性を伴うアクションが求められる」と強調。社会課題の解決には堅牢なエビデンスが必要と述べ、産官学による共同研究の必要性を主張した。

今回締結した共同研究協定は、「産官学」連携による肥満症エビデンスを創出するというもの。具体的には、①大規模・長期間・前向き観察研究を主体とする「リアルワールド研究」、②肥満関連慢性腎臓病の病理メカニズム研究(JIHS)、③脂肪細胞と肥満関連心血管疾患の関係を明らかにする研究(国立循環器病研究センター)―の3つの研究テーマで構成される。

◎臨床アウトカム、患者報告アウトカム、エコノミックアウトカムを統合・解析

研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部チーフメディカルオフィサーの坂口佐知ダイアベティス・オベシティ・心・腎領域本部本部長は、大規模前向き観察研究の目的について解説し、「保険診療の場で肥満症治療薬がどのように使用され、それが患者さんにどんなインパクトをもたらしているのかRWDとして前向きに収集検討することにある」と説明。具体的に体重や代謝指標の変化、関連疾患などの「臨床アウトカム」を収集。さらに患者自身が感じる生活の質や仕事の生産性などの「患者報告アウトカム」や、健康障害を含む様々な医療費のデータを収集し、「これらのアウトカムを統合し、検討することで多角的な観点から肥満症治療のインパクトを明らかにしていきたいと考えている」と強調した。

実際の研究にあたっては、国立健康危機管理研究機構(JIHS)と国立循環器病研究センターが研究のハブの役割を果たすという。複数のナショナルセンターや全国の医療機関についても登録施設とし、年内に観察研究を開始したい考え。坂口本部長は研究成果について、「肥満症治療の価値、そしてベネフィットを多角的な視点で提示することで、今後の診療現場の意思決定、そして政策立案を支えられるエビデンスの創出を目指したい」と意気込んだ。

◎JIHS・國土理事長「特定の企業の製品について、この研究とリンクするものではない」

一方、共同研究に参加するJIHSの國土典宏理事長は、「私どものスタンスとしては、特定の企業の製品について、この研究とリンクするものではないと理解している」と指摘。「あくまで科学的知見を求めるためのもの。研究費をいただくことはあるかもしれないが、そういう形での共同研究であると理解している」と強調した。また、国立循環器病研究センターの大津欣也理事長も、「まったく同じ考え」と述べ、國土理事長の見解に同意した。

日本イーライリリーの坂口本部長は、「一つの製剤に特化して何か見たいということでなく、肥満症治療薬そのものが、どういった影響を社会に与えるのか。実臨床での有効性はどうかということなので、今回の研究においては、どこの会社の製剤かということに限定せず、全てのインクレチンをベースとした肥満症治療薬における患者さんを対象とした研究という風にしている」と説明。「研究の中立性を保って進めていくためにも非常に重要な観点だと考えている」と応じた。

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