PMDA ピボキシル基を有する抗菌薬投与で注意喚起 小児・乳幼児の重篤な低カルニチン血症や低血糖で
公開日時 2026/07/01 04:51
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は6月30日、ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児・乳幼児の重篤な低カルニチン血症や重篤な低血糖の報告が継続していることから、改めて医療関係者に注意喚起した。報告の中には重大かつ不可逆的な転帰に至った症例もあるとして適正使用を求めた。また、同日付でピボキシル基を有する小児用抗菌薬4成分の添付文書(電子添文)が改訂された。
ピボキシル基を有する抗菌薬については、これまでも添付文書などで、小児等における重篤な低カルニチン血症、及びそれに伴う重篤な低血糖、痙攣、脳症等を起こし、後遺症に至った症例を示して注意喚起を図っていた。しかし、近年も同様の副作用報告が低頻度ながらも継続し、重大な転帰に至った報告もあることから、PMDAはこの日、「医薬品適正使用のお願い」を発出した。
それによると、2019年4月から26年5月の間に、低血糖及び低カルニチン血症関連副作用名でPMDAの副作用等報告データベースに登録された症例は計23件あり、特に1歳児に多かった。内訳は19年4件、20年2件、21年3件、22年2件、23年から26年は各年3件(26年5月27日時点)――。この中には低カルニチン血症を認めた4日後に重篤な中枢神経障害と不整脈が出現し、死亡に至った1歳男児の症例が含まれる。男児は、中耳炎の治療のため、低カルニチン血症の発現40日前にセフジトレン ピボキシル(14日間)、発現8日前にセフテラム ピボキシル(7日間)が投与されていた。
PMDAは今回、医療関係者に対し、ピボキシル基を有する抗菌薬の使用について、(1)小児(特に乳幼児)への投与にあたっては、本剤の必要性を含む薬剤の選択や投与期間等について、最新のガイドライン等を参考にする、(2)血清カルニチンが低下する先天性代謝異常であることが判明した場合は投与しない、(3)血中カルニチン低下に伴う重篤な低血糖症状(意識レベル低下、痙攣等)が現れた場合には、速やかに医療機関を受診するよう家族等に指導する――との3点を求めた。さらに、長期投与に限らず、投与開始翌日に低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖を起こした報告や、妊婦の服用により出生児に低カルニチン血症が認められた報告もあるとして情報提供を行った。
あわせて、ピボキシル基を有する小児用抗菌薬の▽セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物、▽セフジトレン ピボキシル、▽セフテラム ピボキシル、▽テビペネム ピボキシルーーの4成分の添付文書が改訂された。これは厚生労働省医薬局医薬安全対策課が6月30日、課長名で添付文書改訂を指示したことを受けた対応となる。
添付文書の改訂指示が行われた医薬品は次の通り。
▽セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物(製品名:フロモックス小児用細粒、塩野義製薬 等)
▽セフジトレン ピボキシル(製品名:メイアクトMS小児用細粒、Meiji Seika ファルマ 等)
▽セフテラム ピボキシル(製品名:トミロン細粒小児用、富士フイルム富山化学)
▽テビペネム ピボキシル(製品名:オラペネム小児用細粒、Meiji Seika ファルマ)
改訂概要:「重要な基本的注意」の項に、低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖に関する注意事項として、投与の必要性を含む薬剤の選択や投与期間等については最新のガイドライン等を参考とする旨、痙攣、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう家族等に指導する旨を追記する。
改訂理由:ピボキシル基を有する小児用抗菌薬による低カルニチン血症に伴う低血糖については、既に「使用上の注意」の「重大な副作用」及び「小児等」の項において注意喚起がなされている。しかし、近年においても当該薬剤との因果関係を否定できない症例が報告されており、直近の報告では死亡に至った症例も認められていることから、追加の安全対策措置の要否について検討した。専門委員の意見も聴取した結果、適正使用に必要な具体的な内容を周知することが重要であることから、「改訂概要」のとおり使用上の注意を改訂することが適切と判断した。