神は身体に宿る
公開日時 2026/08/01 00:00
医師・個人事業主(サージラボ)中村浩己私はギリシャ神話が好きだ。神々があまり神様らしくないからである。嫉妬したり怒ったり、つまらない失敗をしたりと、驚くほど人間臭い。そこが面白い。例えばアテネ――ギリシャの首都の名前にもなっている女神である。機織りの名手を自称するアラクネという娘が、「自分はアテネより上手い」と豪語したことから、二人は機織りの勝負をすることになる。もちろん相手は神様である。勝敗の行方は最初から見えているようなものだ。勝負に敗れたアラクネを、アテネは容赦なく罰する。彼女を蜘蛛の姿に変え、「これからも糸を織り続けよ」と命じたのである。神話というものは時に残酷だ。ああ、若い頃の生意気盛りは許されないのだろうか。ところで、このアラクネは思わぬところで人間の身体に生きている。Arach...