薬価研・加茂谷委員長 医薬品のライフサイクルに合致した薬価制度構築を

公開日時 2017/06/19 03:52
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日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会の加茂谷佳明委員長(塩野義製薬常務執行役員)は6月16日に都内で開かれた会見で、新薬、長期収載品、後発医薬品、基礎的医薬品について、「医薬品のライフサイクルにそれぞれに設定される制度が目的、担うべき責任に的確に応じる設計に向けて提言をしていく」と述べた。新薬については改めてイノベーションを前面に掲げて新薬創出・適応外薬解消等促進加算の制度化などを提案する考え。加茂谷委員長は、「国民、患者サイドからみて、既存薬と比較して何らかの患者に恩恵を得られるものは総じてイノベーションだ」と述べ、薬理作用のみならず、コンプライアンスの向上などもイノベーションに位置づけた。また、基礎的医薬品については対象範囲の拡大を要望する考えを示した。
 

加茂谷委員長は、中医協での議論がこれまでのような個別項目ごとではなく、新薬、長期収載品、後発医薬品と三点セットでの議論へと変化したとの見方を示した。その上で、2016年度薬価改定で、不採算品再算定、最低薬価になる前の薬価を下支えする仕組みとして試行的に導入された“基礎的医薬品”もこの中に位置づけることが必要との見方を改めて示した。


医薬品は上市後、新薬、長期収載品、そして後発医薬品との共存―と時間の経過に伴い、各段階のマーケットを経る。特許期間中は新薬創出加算などで薬価上の評価を維持する一方で、特許切れ後のいわゆる、長期収載品については薬価が引き下げられる。マーケットも後発医薬品上市後は、長期収載品から後発医薬品へと置き換えが進むがその中で、さらに一定程度時間が経過してもなお市場に必要とされる、「いわゆるやめられない薬」が基礎的医薬品であると説明。特許切れ後も医薬品の有用性を示す、医薬品のライフサイクルの一段階であるとの考えを示した。


6月9日に閣議決定された骨太方針2017(経済財政運営と改革の基本方針)では、薬価制度改革を通じ、長期収載品依存モデルからの脱却し、革新的新薬創出モデルへの転換も打ち出されたが、加茂谷委員長は「方向性について異論はない。その方向で議論を進めていかなければ日本製薬産業そのものが暗雲たるものになってしまう」と危機感を示した。ただ、「すぐに構造転換しづらい部分もある。段階的に、グラデーション的な話の中で長期収載品と新薬との関係はみていただきたい」と述べ、理解を求めた。


◎新薬創出加算「患者、社会から評価される医薬品を」 基礎的医薬品の対象拡大も

新薬については、薬価算定や新薬創出加算について、「イノベーションというキーワードを前面に掲げながらどのような提案をしていけるか」と述べた。イノベーションの評価については、「ソバルディ、ハーボニー、オプジーボだけではない。イノベーションというのはもう少し幅広いものだ」との考えを表明。「薬理作用のみならず、コンプライアンスの向上もイノベーションだ。イノベーション範囲をより限定的にするのではなく、企業努力も含めて理解いただきたい」と述べた。

新薬創出加算については、6月14日の中医協薬価専門部会に厚労省が、企業要件、対象品目の要件を見直す全面リニューアルを提案した(本誌既報、記事はこちら)。加茂谷委員長は「かなり思い切った提案」とした上で、改めて「イノベーションを促進するために不可欠」と述べ、制度化を訴える考えを示した。


中医協の場で対象品目の中から、薬理作用類似薬が3種類以上あり、類似薬効比較方式Ⅱで算定されている医薬品や配合剤を外すべきとの声があがったが、「私見だが、社会の期待に合致しないものであれば仕方ない。(同じ薬理作用の)10番手、20番手の医薬品を、新薬創出加算を使って世に出したと言って社会から評価されるかというと決してそうではない。切り込まれてもその領域は致し方ない」と述べた。一方で、製品の改良に取り組んだ結果、患者のコンプライアンスを向上している製品などもあることから、「類似薬効比較方式Ⅱでの算定品はすべて外すんだと括ってしまうのではなく、見極めてほしい」と述べた。


一方、基礎的医薬品については、「業界の悲願という大げさかもしれないが、風穴をあけていただいた」と述べた。その上で、現在は対象製品が不採算品再算定品目や抗生剤、医療用麻薬などに限られていることから、「関係業界の意見を拝聴しながら広げていきたいという気持ちは持っている」と述べ、現行ルールへの適切な形での反映を要望した。


◎費用対効果評価 目的と意義が重要

そのほか、費用対効果評価については、「目的と意義を明確にすることが非常に重要だ」との考えを表明。「薬価への反映方法はまだ見えていないところがある」とし、対象品目の選定の在り方や、薬価への反映方法などについて業界から提案していく姿勢も示した。

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