厚労省 MRやMSLなどの不適切な広告活動が3か月間で39製品 「クローズドな場」で証拠隠滅も

公開日時 2017/07/03 03:52
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厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課は6月30日、医師や薬剤師、DI担当者などのモニターを通じて集積された不適切な広告活動の事例が、3か月間で39製品、項目は延べ64件にのぼったと発表した。MRやMSLが、説明会や情報提供を行う、いわば“クローズドな場”で、社外秘のデータを口頭で説明、もしくは投影するなどし、その後資料を回収し証拠を隠滅した事例も10件報告された。報告書では、MR個人の判断ではなく、「企業の組織的な関与」の可能性も指摘した。厚労省はすでに日本製薬団体連合会(日薬連)宛てに通知を発出。不適切事例を周知することで、コンプライアンスの徹底を含めて業界側が自主的に行動を律することを促すことで、再発防止につなげたい考えだ。


この結果は、医療用医薬品の広告活動監視モニター事業として委託された。報告書がまとまるのは今年が初めてとなる。調査は、全国から抽出された医療機関のうち、医師や薬剤師、DI業務従事者をモニターとし、MRやMSLを通じた広告・宣伝活動、講演会や学会のランチョンセミナー、医療関係者向けの専門誌・学会誌、製薬企業ホームページ、医療関係者向け情報サイトを対象とした記事体広告等を対象に、不適切な事例を集積した。


◎23件について行政指導も Web通じた情報提供も多く



3か月間の調査を通じ、不適切事例は39製品についての疑義報告、違反が疑われる項目は延べ64件にのぼった。医薬品医療機器等法(薬機法)66条では虚偽・誇大広告の禁止が定められているが、「事実誤認の恐れのある表現」(29件)、「誇大な表現」(13件)が多くのぼった。23件については都道府県などと連携し、行政指導を行う予定。

疑義報告がなされた医薬品は抗がん剤が最も多く、骨粗鬆症治療薬や抗リウマチ薬、抗うつ薬などだった。疑義報告が行われた医薬品に関する情報の入手方法としては、「製薬企業担当者(印刷物・提供)」が最多の13件(33.3%)、「企業のホームページ」(7件、17.9%)、「企業の製品説明会」(6件、15.4%)、「製薬企業担当者(データ・持ち帰り)」(5件、12.8%)、「製薬企業担当者(口頭説明)」(5件、12.8%)となった。

ディオバン事件以降、製品情報概要や記事体広告などは、製薬協や企業でのチェック体制強化などが進む中で、記事体広告などでは、「一見して不適切な事案は少なかった」。一方で、MRなどによる医師や薬剤師への説明会や情報提供などクローズドな場において、「プレゼンテーション用の投影資料は配布しないなど、証拠を残さないよう、巧みに説明している」と説明。「意図的に証拠を残さないよう情報提供を行っているのではないかと疑われるケースも散見された」と指摘した。また、企業のホームページや医療関係者向け情報サイト、Webセミナーなどインターネットを介入した情報提供も多く見られた。

報告書では、「わずか3か月間という短期間のモニタリングに過ぎなかったことを踏まえると、医療現場ではこういった不適切な広告活動が依然として多くあるということが推察される」と指摘。「製薬企業の本社が不適切な広告・情報提供活動を把握しながら黙認しているのか、あるいは本社では把握できない営業所単位での活動なのか、MR個人の判断によるものかは不透明であるが、いずれにせよ、このような活動は厳に慎むよう、製薬企業や業界団体等自らがコンプライアンス遵守の徹底を図り、適切な広告活動を行うよう改善していくことが強く望まれる」とした。一方で、情報の受け手である医師、薬剤師が情報を判断できる、教育・研修の必要性も指摘した。


◎副作用逆手に取ったプロモーションで違反事案も 安全性軽視も散見

具体的な事案は以下の通り。

①未承認の効能効果や用法用量を示した事例


▽MRが自社製品に特有な副作用について、パンフレットを用いて口頭で説明する中で、副作用を逆手にとって「栄養成分の補充が可能になる」、「臨床検査値の上昇が期待できる」など効能効果として、積極的にPRした(高リン酸血症治療薬、承認範囲を超える効能効果)


▽MRが院内説明会で、他剤との差別化を図る目的で、承認されていない効能効果を、非臨床データを用いて紹介した。しかし、PMDAの報告書にはヒトに関する記載がなく、製品情報概要にも記載がなかった(統合失調症治療薬、承認範囲を超える効能効果)


▽製品情報概要の臨床試験の結果紹介で、主たる効能ではない降圧作用について参考情報であるにもかかわらず、参考情報の文字は小さく、主要評価項目、副次評価項目に続く形で掲載し、心血管イベントのPRをした。しかし、降圧作用はPMDAの審査対象となっておらず、未審査の臨床試験データを用いたものだった(糖尿病治療薬、承認範囲を超える効能効果)


▽医療関係者向けの情報サイトで、承認用量より低用量を推奨。他の医薬品に比べて有効性が高いことを棒グラフの色を変えたり点滅させたりなど強調させた(抗リウマチ薬)


②事実誤認の恐れのあるデータ加工を行った事例

▽製薬企業主催のWebセミナーで、スライド上差が大きく見えるよう、縦軸の一部を拡大して効能効果を強調した。製品情報概要には通常のグラフが掲載されており、スライドのみが視覚効果を狙ったものとなっていた(気管支拡張薬)

▽製品情報概要で、引用論文の図の一部のみを抽出・加工し、効能効果を誇大に見せた(抗ヒスタミン薬)

③事実誤認の恐れのある表現を用いた事例


▽追加の適応が承認された際の説明会で、MRが既存薬への優位性を説明した。しかし、このデータは従来からある異なる適応のデータであり、新規に取得した適応は非劣性データしかなかった。誤解を生じさせやすいスライド構成やデータだった(代謝調節薬)

▽MRが口頭で、他社でも行っている副作用調査を「当社だけ実施」とPR(造影剤)

▽MRが口頭で、医薬品の優劣とは関係しない治療指針への掲載順をPRした。一方で、ガイドラインに示されている「漫然と長期投与せず、少量の使用にとどめるなど、慎重に投与する」といった安全性に関する情報提供を行わなかった(精神神経用薬)

▽新薬のヒアリング実施時に、MRが症例数の少ないデータや理論上ありえない数値を用いてPRを行った。また、医薬品リスク計画書に記載がないことから、「他剤よりもリスクが少ない」、「他剤ではアナフィラキシー症状等が発生するが、当該医薬品には記載がなく、発生リスクが少ない」などと安全性を軽視する情報提供を行った(抗アレルギー薬)


④信頼性の欠けるデータを用いた事例

▽パンフレット(2016年12月作成)に、「1日の血糖変動を平坦化する」と強調するデータを掲載し、配布していた。このデータは9例を対象としており、統計解析も行われていなかった(糖尿病治療薬)


⑤安全性を軽視した事例

▽添付文書上に使用上の注意で明記されている検査項目について、MRが医師向けの勉強会で必須ではないと説明。また、ほかの医療機関でも、同じメーカーのMRが「急性期の副作用がなければ慢性期の副作用はない」などと発言した(骨粗しょう症治療薬)

▽禁忌があり、適正使用ガイドには投与前のスクリーニングのためのチェックリストが掲載されていた。しかし、製品情報概要では、投与前のスクリーニングや投与中の検査が不要であるとの記載されていた(乾癬治療薬)

▽添付文書や医薬品リスク管理計画で副作用事項にあがっているにもにもかかわらず、MRが口頭で「当該医薬品への切り替えでは安全性は全く問題ありません」と述べた(高血圧治療薬)


⑥利益相反に関する事項を明記しなかった事例

▽パンフレット(2016年11月)に引用文献に共著者に社員がいるなど、利益相反を明記しなかった(プロトンポンプ阻害薬)

▽企業のホームページで、共著者に社員がいる文献が引用されていたが、利益相反が記載されていなかった(抗がん剤)


⑦その他

▽患者向け用ハンドブックで、「服用により、生存期間や病気が進行するまでを延長する効果が科学的に認められている唯一のお薬です」と説明していた。特定の疾患への経口薬としては唯一の薬剤だったが、がん全般に対する唯一の治療法で、他剤の効果がないように誤認させかねないものだった(抗がん剤)

      

 

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