中医協で業界専門委員が主張 新薬創出加算の制度化を改めて訴える

公開日時 2017/08/10 03:52
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中医協薬価専門部会が8月9日開かれ、製薬業界側の専門委員は研究開発投資の現状を示し、後発医薬品の市場浸透が進む中で、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の必要性を強調し、制度化を改めて訴えた。専門委員の上出厚志委員(アステラス製薬株式会社執行役員医療政策部長)は、後発医薬品80%目標が示される中で、医薬品市場は2016年度、17年度と2年縮小傾向が続いていると説明。「長期収載品のシェアがますます縮小する中で、研究開発型企業及び日本国内に基盤を置く企業は、特許期間中の新薬から開発する原資を得られなければ、グローバルな競争の中で生き残れないという危機感を持っている」と述べ、理解を求めた。


業界側は、この日の中医協に新薬創出加算適用品目を有する製薬企業72社(有効回答)を対象に行った調査を示した。72社での開発品目数合計は813品目、開発費総額は3568億6000万円にのぼる。世界同時開発品目も2013年調査に比べて増加しており、ドラッグ・ラグの解消が進んでいるとした。また、新薬創出加算額が10億円以上など、加算額が多い企業ほど、アンメット・メディカルニーズ対応品や新規作用機序品の開発を進めており、国内開発品目、国内開発費が多い現状であると説明した。

研究開発に投資も欧米メガファーマと営業利益率に差 


業界側はこれまでも、革新的新薬創出に向けて、他産業に比べて研究開発比率の高い必要があるなど、特殊性があることについての理解を求めてきた。この日の中医協に業界側は、自動車産業を例にとって医薬品産業のリスクの高さを示す資料を提出した。

上出委員は、自動車産業について部品や利用する技術が多様・多数であることから周辺産業とのリスク分散が可能であると説明。これに対して、医薬品産業は原則としてひとつの物質特許がカバーする1化合物からなる製品の製造販売であり、単独での研究開発リスクが高いと説明した。研究開発に要する時間も9~16年、基礎研究から臨床研究までで1300億円(製薬協、大手10社平均)かかるなどと、1剤の新薬を生み出すために時間的・コスト的に莫大な投資を行っている現状があることを明かした。


その上で、国内製薬企業が置かれている状況として、売上高や営業利益率を欧米のメガファーマと比較したデータを提示。「売上規模が小さい中で新薬創出のために、高い研究開発比率を維持している。これが米国に次ぐ新薬創出国である一因であると考えている」と説明した。逆に営業利益率は、欧米のメガファーマに水をあけられている状況であるとし、「長期にわたり膨大な費用を要する新薬の研究開発においては、安定的な財政的基盤を形成する観点から非常に大きな格差があると言わざるを得ない」と危機感を示した。


◎診療側・今村委員「内資系企業の支援策議論を」


これに対し、診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「日本の企業にはぜひ頑張ってもらいたいと思っている一人だ」とした上で、新薬創出加算の内資、外資別の取得状況を質問。同程度との答えを踏まえ、「今秋の議論だと思うが日本の企業が苦労しているのであればどういう支援の仕方がいいかということは別途議論すべき」と述べた。

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、財源の観点から新薬創出加算と長期収支品、後発医薬品をセットで議論する必要性を指摘。「新薬の特許が切れた後の薬価の引下げを深くすることで新薬創出加算の財源を作るという仕組みを作っていくことが必要ではないか」と述べた。特許切れ後の長期収載品の薬価引き下げや後発医薬品の収載後5年経過しても置き換えが進まない先発医薬品の特例引下げ(いわゆるZ2)での財源を活用し、“財政中立”とすべきと主張した。


◎費用対効果評価 試行的導入は本格導入と切り分け 支払い意思額は過去の調査など活用


厚労省保険局医療課は同日開かれた、中医協費用対効果評価部会に費用対効果評価の2016年度の試行的導入に際して、国民を対象に支払いを許容できる上限額をたずね、医薬品の価格に反映する“支払い意思額調査”を新たに実施するのではなく、過去に行われた調査や諸外国の評価基準を活用することを提案した。本格実施に向けては、支払意思額調査は行うことを想定しており、試行的導入と切り分けた格好だ。厚労省保険局医療課の迫井正深課長は、費用対効果評価の早期の制度化実現について意欲を示した上で、「調査を実施し、集計し、分析してかつ、今年度末に向けた作業を組み立てるのが難しい」との考えを表明。改定が迫る中で、「価格の改定時期というのは現実的に進めないといけない」と述べ、理解を求めた。

費用対効果評価は、増分費用効果比(ICER)だけでは評価できない倫理的・社会的影響に関する検証や、国民の支払い意思額調査の結果を踏まえ、費用対効果評価が良いか悪いか総合的評価(アプレイザル)を行い、価格調整を行う。

この日、厚労省はこれまでに実施された支払い意思額調査として、4研究を示した。ただ、研究間に質問項目にばらつきがあることや、実際の調査を実施せずに本格導入に踏み切ることについては懸念を示す声が支払い側からあがった。

そのほか、「倫理的・社会的影響に関する検証」の項目の一つにイノベーションが位置付けられているが、薬価上算定の段階でイノベーションが評価されていることから、整合性を求める声や、限定的な活用にとどめるべきとの声があがった。

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