厚労省 緊急政策パッケージ「日本創薬力強化プラン」策定 きょうの大臣折衝で予算確保へ

公開日時 2017/12/18 03:52
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厚生労働省は「日本創薬力強化プラン(緊急政策パッケージ)」として総額860億円(うち18年度予算案約530億円)規模の予算を確保する方針を固めた。きょう12月18日午後に予定する加藤厚労相と麻生財務相との2018年度厚労省予算案の大臣折衝で決定する。薬価制度抜本改革を通じて製薬業界に大幅な産業構造転換が求められる中で、革新的新薬を創出するための環境整備が必要だと緊急的に判断した。当初予算案に加えて、AMED対象経費で医療研究開発革新基盤創生事業(CiCLE)について約300億円規模を補正予算から確保する。創薬から製造、バイオシミラーの使用促進までをパッケージ化した施策を講じることで、革新的新薬の創出に取り組む製薬企業を強力にバックアップする。


きょうの大臣折衝では、焦点となった薬価・診療報酬改定について、診療報酬本体を0.55%引き上げる一方で、改定財源として薬価・材料等で1.74%引き下げることを確認する。薬価については、新薬創出等加算のゼロベースでの抜本的な見直し、長期収載品の引き下げなど、革新的新薬創出型へのモデルチェンジを製薬業界に迫るものとなった。長期収載品比率の高い内資系企業を中心に売上への影響も予測される。日米欧の製薬団体は、この間の議論を通じ、薬価制度抜本改革案への再考を求めるなど、反発を強めてきた。特に欧米団体からは、研究開発投資や、リソース配分の見直しなどに今後踏み込まざるを得ないとの強い声も上がっていた。

こうした状況を踏まえ厚労省は、製薬産業がより高い創薬力をもつ産業へと転換するために、今回の薬価引き下げと同時に緊急的に予算を確保する方針を「日本創薬力強化プラン」として打ち出した。


◎「医薬品産業強化総合戦略」改訂版 RWDの利活用で研究開発の生産性向上


プランの柱のひとつである「医薬品産業強化総合戦略」の改訂版では、リアルワールドデータ(RWD)の利活用などで研究開発の生産性を高めて革新的新薬を生み出す、いわば次世代の製薬産業の姿を描いた。特に、今後革新的新薬の上市が期待される、がんや希少・難治性疾患、感染症、認知症などについては、疾患横断的な統合データベースを構築。これを通じて得たRWDを人工知能(AI)で解析することで、革新的な新薬を創出する。

がんについては、解析したゲノム情報や臨床情報を一元的に集約する。全国の医療機関が参加した「がんゲノム医療推進コンソーシアム」を構築し、ゲノム情報や臨床情報などを集約・管理し、産官学連携のもとで、活用する考え。遺伝子パネル検査の早期承認、保険適用を見込むほか、全ゲノム解析を保険外併用療法にするなどの環境整備も進める。患者にとってはゲノムに基づいた個別化治療が推進され、最適な治療を受けられる。一方、製薬企業にとっても免疫治療などの開発が推進することが期待される。


◎研究開発費の高騰に対応 コスト低減と効率性向上へのプランも

あわせて薬事規制の見直しを進める。医薬品医療機器等法(薬機法)の改正も視野に入れたもの。重篤な疾患などで、市販後にRWDを活用してデータを集積することを条件にフェーズ3を実施しなくても前倒しで承認する「条件付き承認制度」や「先駆け審査指定制度」の制度化を目指す。研究開発費の高騰が企業に重くのしかかる中で、環境整備を通じて研究開発の時間短縮とコストを低減し、研究開発の生産性向上を見込む。一方で、患者のリスクを低減する観点からも、施設や患者などを絞り込んで適正使用を進める「最適使用ガイドライン」の整備なども進める。

そのほか、バイオシミラーの使用促進の観点から、科学的評価や品質について医療従事者や患者に対する普及啓発を行うことも盛り込んだ。

日本創薬力強化プランは、①医薬品産業強化総合戦略の見直しに伴う創薬環境強化経費、②医療分野の研究開発関連経費(AMED対象経費)--の二本柱からなる。具体的な項目としては、総合戦略の見直しとして、①日本発のシーズが生まれる研究開発の改善、②薬事規制改革等を通じたコスト低減と効率性向上、③医薬品の生産性向上(バイオシミラー含む)と製造インフラの整備、④適正な評価の環境・基盤整備、⑤日本発医薬品の国際展開の推進、⑥創薬業界の新陳代謝を促すグローバルなベンチャーの創出―。医療分野の研究開発関連経費(AMED対象経費)は、①研究開発の充実、臨床研究中核病院を活用した研究開発の推進など(横断型統合プロジェクト)、②がん、精神・神経疾患、新興・再興感染症、難病などの研究開発推進(疾患領域対応型統合プロジェクト)、③産官学の連携を通じた研究開発の推進(CiCLE)-となっている。

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