厚労省 「医薬品販売情報提供活動GL」策定で企業内点検・監督を義務化へ 通知発出で関係者に周知

公開日時 2018/04/12 03:53
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厚生労働省が策定を進める「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」(GL)で、MRが自社品の情報提供に使用する資材について、使用実態などの点検、監督(モニタリング)を社内で義務づける方針であることが明らかになった。医療用医薬品の広告活動監視モニター事業を通じ、MRによる口頭説明、モバイルパソコンの映像のみ使用した説明、医局説明会で使用するスライドなど、証拠が残りにくい不適切な情報提供事例が多数報告されたことから、その対策が求められていた。厚労省は今夏を目途にガイドライン案を取りまとめ、パブリックコメントを経て成案化。これを踏まえて年内にも通知を発出する方針。製薬企業だけでなく、医療機関や保険薬局にも周知徹底を図ることで、医薬品の適正使用を推し進める考えだ。

医薬品販売情報提供活動GLの策定をめぐっては、2017年12月22日に公表した「医薬品産業強化総合戦略」の改訂版で、「その必要性を含めて検討を行う」と明記していた。これを受け、4月11日に開催された厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会でGLに関する議論が本格的に始まった。

医薬品の情報提供活動や広告規制をめぐっては、ARB・ディオバンやブロプレスなど臨床研究不正に絡む不適切事例があったことを教訓に、製薬業界側は医療用医薬品広告作成要領の全面改訂や社外第三者による広告審査体制の導入などに動き、適正な情報提供に努めてきた。その結果、製品情報概要や記事体広告などについては不適切な事案が減少した。一方で、2016年度からスタートした厚生労働省の「医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」からは、MRやMSLが、医局説明会や情報提供を行う、いわば“クローズドな場”で、社外秘のデータを口頭で説明、もしくは投影するなどし、その後資料を回収し証拠を隠滅した事例も報告された。

◎欧州諸国は企業に提供情報の内容に保証求める オフラベルの検討も

今回の「医薬品販売情報提供活動GL」策定にあたっては、監視モニター事業で報告された事案などを踏まえ、MRが使用している資材の活用実態を把握する目的で、その情報提供内容も含めて、社内で点検・監督(モニタリング)する体制の整備を求める考え。すでに欧州諸国では、医師への情報提供について、その内容が適正なものであるかについての保証を企業側に求めているところ。厚労省としても、今回のガイドライン策定を通じ、MR個人に止まることなく、製薬企業としての姿勢を問い、自浄作用をさらに高める狙いがある。

このほか、医療上の必要性から、医師などの医療従事者、患者が海外におけるオフラベル文献の提供を企業側に要請するケースがあることから、米国のガイドラインを参考にしながら、オフラベルについても検討する必要性も指摘している。

◎GLの趣旨を医療関係者に広く周知の狙いも

同省は厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会でGLの議論を深めることにしており、成案化した場合は、都道府県や関係機関に周知する方針。GLの趣旨を医療関係者に広めることで、すべての医療従事者が医薬品情報に目を光らせるモニターとなることをも意味する。医薬品の適正使用に向けて、環境整備が進むことになる。

◎日記やブログ・ランキングサイトなどのアフィリエイト広告など新たな課題


この日の制度部会で厚労省医薬・生活衛生局は、広告の監視指導における課題として、▽明確な虚偽誇大とまでは言えないが、不適切使用を助長すると考えられる事例、▽日記やブログ・ランキングサイトなどのアフィリエイト広告(成果報酬型広告)や研究論文など広告該当性の判断が難しい事例-など、新たな課題も浮き彫りになっていることを報告。「行政による対応と併せて、事業者による発生防止のためのさらなる取り組みが求められる」と指摘した。

野村博委員(大日本住友製薬社長)は、2017年度も監視モニター事業を通じて2か月間で延べ23製品、30件の違反疑い事例があったことを踏まえ、「業界としても遺憾に思う。ガイドラインが創られることは必要ではないか」との見解を示した。

厚労省医薬・生活衛生局の磯部総一郎監視指導・麻薬対策課長は、口頭や映像であっても現行の医薬品医療機器等法(薬機法)違反に該当すると説明した。特に新薬や競争市場の製品では、こうした不適切事例が起きる傾向にあることも指摘。すでに個別企業や製薬協などの業界団体には、不適切事例について説明。特に“証拠の残らない事例”への対策として、該当資材などを医療従事者に手渡すことなどを製薬協に要請したことも明らかにした。


◎エリア責任者の氏名、連絡先を説明会用スライドに記載 ―業界の自主的取り組み


広告規制や情報提供をめぐり、製薬業界側の自主的な取り組みも進み始めている。すでに一部企業は、医局説明会で使用するスライドの最後の1枚に、当該エリア責任者の名前と電話番号を記載するなど、MRによるプロモーション内容の自主的な点検や監視(モニタリング)に取り組む動きも出始めた。これにより、問題案件の責任所在が明確化できるほか、MRへの抑止力も期待される。

なお、厚労省が4月11日、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に示したガイドラインの項目(案)は、①基本的考え方(適用範囲等、情報提供活動の原則)、②医薬品製造販売業者の責務(経営者の責任、社内体制の整備、資材・情報提供活動の適切性の確保、評価・教育等の取り組み、監督の実施、記録の作成・管理、問題が生じたときの対応、業務委託)、③販売情報提供活動に携わる者の責務(ガイドラインなどの遵守、自己研鑽の努力、情報提供活動の際の留意点、不適切な資料の使用禁止)、④その他(GLに記載のないことへの対応、業界における対応、情報提供の求めなどへの対応、他の法令等への対応)-。

 

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