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新薬薬価収載 中外の抗PD-L1抗体テセントリクなど7製品が即日発売

公開日時 2018/04/19 03:52

新薬15製品が4月18日、薬価基準に収載された。中外製薬のがん免疫療法薬で、非小細胞肺がんの治療薬として承認取得した抗PD-L1抗体テセントリク点滴静注など7製品が即日発売となった。そのうちアストラゼネカからは、再発卵巣がんの治療薬として承認取得した国内初のPARP阻害剤リムパーザ錠、小児用量を設定したネキシウム懸濁用顆粒分包(販売は第一三共)、気管支喘息に用いる抗体製剤ファンセラ皮下注の3製品が発売された。

発売日(予定含む)が分かった製品は次のとおり(カッコ内は成分名、製造販売元)。

【4月18日発売】
テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
薬効分類:429
効能・効果:「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:1200mg20mL1瓶 62万5567円
 
PD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤。免疫T細胞の働きを妨げるPD-L1と免疫細胞上のPD-1との結合を阻害することで、T細胞の抑制状態を解除し、T細胞による腫瘍細胞の攻撃を促すとされる。
 
リムパーザ錠100mg、同錠150mg(オラパリブ、アストラゼネカ)
薬効分類:429
効能・効果:「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法
薬価:
100mg1錠 3996.00円
150mg1錠 5932.50円
 
DNA修復に関わるPARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)を阻害することにより、DNA損傷を蓄積させ、細胞死が誘導されることで腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている新規作用機序医薬品。
ファーストインクラスのPARP阻害薬。治療選択肢が極めて限られている再発卵巣がん患者の緊急の要望に応えアストラゼネカ(AZ)が実施していた、厚労省の「保険外併用療養費制度」のもとで薬価収載前日まで無償提供は終了した。AZによると10施設38人の患者に提供したという。
 
ファセンラ皮下注30mgシリンジ(ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ)
薬効分類:229
効能・効果:「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)
薬価:30mg1mL1筒 35万1535円
 
ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤。増加により喘息症状の悪化に影響する好酸球の表面に発現するインターロイキン-5(IL-5)受容体に作用すると共に、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC活性)を高めることで、IL-5受容体を発現している好酸球を除去し症状を抑えるとされる。同剤は、固定用量があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジで、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射する。治療選択肢が限られている重症喘息患者に対しアストラゼネカ(AZ)が実施していた、厚労省の「保険外併用療養費制度」のもとで薬価収載前日まで無償提供は終了した。
 
ネキシウム懸濁用顆粒分包10mg、同懸濁用顆粒分包20mg(エソメプラゾールマグネシウム水和物、アストラゼネカ)
薬効分類:232
効能・効果:既収載のカプセル剤と同様だが、「胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群」では小児用量を追加
薬価:
10mg1包 80.60円
20mg1包 140.30円
 
この薬剤は、水に懸濁して服用するもので、小児に飲みやすい剤形として開発された。日本で初めて小児適応を持つPPI製剤。小児の患者数は成人と比べて少ないが、重度の場合には、体重増加不良、反復性肺炎、喘息などを起こす可能性があるとされる。しかし、治療に用いるネキシウムなどのPPI製剤には小児適応を持つ薬剤がなかった。流通・販売は第一三共が行い、AZと第一三共がコ・プロする。
 
ベスポンサ点滴静注用1mg(イノツズマブオゾガマイシン(遺伝子組換え)、ファイザー)
薬効分類:423
効能・効果:「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病
薬価:1mg1瓶 130万7092円
 
抗腫瘍性抗生物質と抗CD22抗体の複合体であり、腫瘍細胞表面に発現するCD22抗原を介して細胞内に取り込まれDNA二本鎖を切断するという新規作用機序を有する抗体薬物複合体(ADC)。B細胞性急性リンパ性白血病のがん細胞の表面に発現するCD22抗原を標的とする薬剤で、同抗原に結合し、細胞傷害性を有するオゾガマイシンが細胞を破壊するとされる。単剤で週に1回、1時間以上かけて投与する。外来投与も可能。
 
レキサルティ錠1mg、同錠2mg(ブレクスピプラゾール、大塚製薬)
薬効分類:117
効能・効果:「統合失調症
薬価:
1mg1錠 268.90円
2mg1錠 509.20円
 
新規機序の非定型抗精神病薬。ドパミンD2受容体やセロトニン5HT1A受容体にパーシャルアゴニストとして作用する一方、セロトニン5HT2A受容体にはアゴニストとして作用する。
 
イストダックス点滴静注用10mg(ロミデプシン、セルジーン)
薬効分類:429
効能・効果:「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
薬価:10mg1瓶 10万9753円 
 
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬。HDACの活性を阻害することでがんの細胞周期の停止や細胞死が誘導され、腫瘍増殖を抑制すると考えられている。HDAC阻害薬は既に他社の製品が承認されているが、末梢性T細胞リンパ腫の適応症を持つ薬剤は初めて。
 
【4月24日発売予定】
アレサガテープ4mg、同8mg(エメダスチンフマル酸塩、久光製薬)
薬効分類:449
効能・効果:「アレルギー性鼻炎
薬価:
4mg1枚 67.50円
8mg1枚 93.10円
 
ヒスタミンH1受容体拮抗薬。有効成分のエメダスチンは既に他社から1日2回の経口薬として発売されているが、アレサガは1日1回貼付のテープ剤。久光独自の経皮薬物送達システム技術を用いることで、血中薬物濃度を維持し効果を持続させる。
 
【5月中頃発売予定】
ナルベイン注2mg、同注20mg(ヒドロモルフォン塩酸塩、第一三共プロファーマ)
薬効分類:811
効能・効果:「中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛
薬価:
2mg1mL1管 725円
20mg2mL1管 6340円
 
μオピオイド受容体作動薬。ヒドロモルフォン塩酸塩製剤は、あへん系麻薬性鎮痛剤であり、WHOのがん疼痛治療ガイドラインなどで、疼痛管理の標準薬に位置付けられている。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、経口剤、注射剤ともに開発の必要性が高いと判断されたもの。
 
【6月14日発売予定】
イブリーフ静注20mg(イブプロフェンL-リシン、千寿製薬)
薬効分類:219
効能・効果:「未熟児動脈管開存症で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合
薬価:20mg2mL1瓶 1万3012円
 
厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」での検討を経て、開発要請されていた品目。未熟児動脈管開存症は、胎児の時に胎内でも酸素を取り込みやすくするため、大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管が開存しているが、早産などで生後も閉鎖することなく開存し続ける疾患。それにより発育不全や呼吸困難、頻拍などの症状を呈し、全身の臓器に影響が出て、長期予後も悪化させる可能性があるという。それに対しイブプロフェンが持つ作用で動脈管の収縮を促すことが期待されるとしている。
 
【6月下旬発売予定】
シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU、同5000JAU(スギ花粉エキス原末、鳥居薬品)
薬効分類:449
効能・効果:「スギ花粉症(減感作療法)
薬価:
2000JAU1錠 57.70円
5000JAU1錠 144.10円(1日薬価:144.10円)
 
既承認のシダトレン舌下液より高力価での減感作療法を可能とすることなどを目的に開発され、5歳以上の小児も対象に治験を実施した。1日1回1錠。舌下に1分間保持したあと、飲み込む。その後5分間はうがいや飲食を控える。舌下液の製剤と同様に3年程度の継続した投与が必要としている。室温保存が可能で扱いやすくなった。
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