厚労省検討会 医薬品適正使用指針了承で減薬の流れ加速へ 求められる薬剤師の意識変革

公開日時 2018/05/08 03:51
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厚労省の高齢者医薬品適正使用検討会は5月7日、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」を大筋で了承した。指針では、高齢化が進展し、ポリファーマシーが社会的課題となる中で、減薬への流れを明確に示した。指針の活用で、かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携を強化し、医薬品の適正使用を推し進めたい考え。その先に健康寿命などへの期待もかかる。一方で、この日の検討会では、薬剤師からの医師との連携は疑義照会が多く、減薬へのアプローチが少ない実態も報告された。医薬品医療機器等法(薬機法)改正の議論で、医薬分業が焦点となる中で、薬剤師の意識変革も求められている。文言修正の後、同省は早ければ5月中旬にも関連団体や都道府県宛に通知を発出し、全国の医療機関や保険薬局への普及啓発を図る考え。

指針では、高齢者に有害事象が増加する背景にポリファーマシーがある可能性を指摘し、処方見直しの具体的なスキームを示した(本誌既報、関連記事)。特に、ふらつき・転倒や記憶障害、せん妄、抑うつなど、高齢者に多い老年症候群を含めて薬剤との関係が疑わしい場合は、中止・減量を考慮することを求めた。全国の保険薬局を対象とした調査で、同一の薬局での7種類以上処方されている75歳以上の患者は約1/4、5種類以上は4割を占めているとのデータもある。指針では、処方医の取り組みに加え、薬局の一元化を通じてかかりつけ薬剤師が職能を発揮することの必要性も指摘した。

◎薬剤師の減薬アプローチは7.2% 医師の意識と開き

減薬、医薬品の適正使用に向けて、かかりつけ医とかかりつけ薬剤師の連携がカギを握る中で、課題も見えてきた。この日の検討会では、ポリファーマシーに関する医師と薬剤師の意識調査の結果も報告された。対象は愛知県の医師1500人、保険薬局薬剤師1000人で、回収率はそれぞれ23.2%、38.2%だった。

調査結果によると、ポリファーマシーの認知度は医師67.3%、薬剤師76.6%。一方で、ポリファーマシーに対しての減薬アプローチの有無は医師が41.3%だったのに対し、薬剤師は7.2%と大きな開きがみられた。日本老年医学会や日本医師会が策定したガイドラインの活用は医師3.8%、薬剤師5.2%にとどまった。特に薬剤師からの連携は疑義照会が多く、減薬に対するアプローチが少ないという課題も浮き彫りになった。

18年度調剤報酬では、6種類以上の内服薬を処方されている患者について薬剤師からの提案で2種類以上減薬した場合を評価する「服用薬剤調整支援料」を新設。減薬へのインセンティブを敷いている。重複投薬や残薬、相互作用の防止など、薬の受け渡し時ではなく、患者の意向を尊重して、副作用の可能性を検討し、薬学的観点から処方医に提案することを求めているのもポイントだ。

三原盤委員(全日本病院協会副会長)は、医薬分業が推進された結果として患者が訪れる薬局を医師が把握できない現状を指摘。「改めて医師と調剤薬局がどう顔の見える関係を作っていくのか」と述べ、指針の活用だけでなく、医師と薬剤師の間での“顔の見える関係構築の重要性を指摘した。松本純一委員(日本医師会常任理事)も、「減薬アプローチがしづらいというのは、医師と薬剤師の信頼関係が築けていないということ。院内処方なら問題ないが、医師からどこの薬局に行けと言える状況ではない」と指摘。医薬分業が推進される中での新たな医師、薬剤師間の連携構築を進めていかなければ、「また医薬分業が間違っていたということに戻ってくる」と危機感を示した。

秋下雅弘委員(日本老年学会副理事長)は、ガイドラインの使用などが低率にとどまった理由について、「(医師、薬剤師が)診療に忙しい合間に見ていられない。より簡便なものが必要だということを印象付ける結果だと思った」と述べた。

検討会では、指針総論編の追補として、“詳細編”の18年度中のとりまとめを目指す。詳細編では、外来・在宅医療、慢性期・回復期、介護を含むその他の療養環境などにわけ、処方見直しのタイミングや他職種の役割、連携などについて合計20頁程度にまとめる方針。 

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