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薬食審・第二部会 AZのリムパーザに乳がん適応追加了承 BRCA遺伝子陽性が対象

公開日時 2018/05/24 03:52
厚労省の薬食審医薬品第二部会は5月23日、新薬として6製品の承認の可否を審議し、全てについて承認することを了承した。この中で、アストラゼネカ(AZ)が製造販売するPARP阻害薬リムパーザ錠(オラパリブ)の効能・効果に「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を追加することになった。BRCA遺伝子変異を判定した上で使用する薬剤は初めて。同剤含む6新薬は6月下旬にも正式承認となる見込み。
 
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
リムパーザ錠100mg、同錠150mg(オラパリブ、アストラゼネカ):「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を効能・効果に追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
国内初のPARP阻害薬。海外では2018年2月時点で、米国でBRCA遺伝子変異(病的変異または病的変異疑い)陽性の乳がんにかかる効能・効果で承認されている。日本での現在の効能・効果は「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法」。
 
レフィキシア静注用500、同静注用1000、同静注用2000(ノナコグ ベータペゴル(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ):「血液凝固第IX因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

血友病Bの患者を対象にした半減期延長型製剤で、定期的な投与では40IU/kgを週1回投与する。海外では、欧米、スイス、カナダで承認済。半減期延長型の血液凝固第IX因子製剤としてはオルプロリクス静注用、イデルビオン静注用に続くもの。
 
ダフクリア錠200mg(フィダキソマイシン、アステラス製薬):感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

適応菌種はクロストリジウム・ディフィシルで、これに起因する感染性腸炎(クロストリジウム・ディフィシル感染症=CDI)に用いる抗菌薬。CDIは重篤になると死亡することもある。日本では、治療薬としてメトロニダゾール、バンコマイシンがあるが、近年は感受性が低下しているとの報告があり、新たな作用を持つ同剤が治療選択肢の一つになることが期待される。海外では、2018年2月時点で、欧米ほか55の国・地域で承認済。
 
スピラマイシン錠150万単位「サノフィ」(スピラマイシン、サノフィ):「先天性トキソプラズマ症の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。

妊婦がトキソプラズマに初感染した場合、トキソプラズマが胎盤を介して胎児に感染し、先天性トキソプラズマ症を発症する可能性がある。感染すると、胎児は流死産、水頭症、脳内石灰化などが起こることがある。しかし、日本ではトキソプラズマ症に関する適応で承認されている薬剤はなく、適応外で同剤の誘導体であるスピラマイシン酢酸エステルが用いられている。海外では、スピラマイシンが広く使用されているという。
 
その中で日本産婦人科学会から開発要望が厚労省に提出され、同省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発の必要性が認められ、同省がサノフィに開発要請した。海外では、70以上の国・地域で「妊婦のトキソプラズマ症」に関連する効能・効果で承認済。
 
イラリス皮下注用150mg、同皮下注射液150mg(カナキヌマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「既存治療で効果不十分な全身型若年性特発性関節炎」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。
 
同剤はIL-1βに対するモノクローナル抗体で、炎症性サイトカインIL-1βに結合し、活性を中和することで症状を改善する。ステロイドによる標準的治療を行っても効果不十分なケースに用いる。海外では、同適応では欧米で承認済。
 
ガザイバ点滴静注1000mg(オビヌツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「CD20陽性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。報告品目のトレアキシン点滴静注用と併用する。
 
 
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
 
トレアキシン点滴静注用25m、同点滴静注用100mg(ベンダムスチン塩酸塩、シンバイオ製薬):既存の効能・効果である「低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫」において併用療法を追加する新用量医薬品。審議品目のガザイバ点滴静注と併用する。ガザイバが適応とするCD20陽性の濾胞性リンパ腫は、CD20陽性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫の代表的な組織型という。再審査期間は残余(2020年10月26日まで)。
 
タフィンラーカプセル50m、同カプセル75mg(ダブラフェニブメシル酸塩、ノバルティスファーマ)
メキニスト錠0.5mg、同錠2mg(トラメチニブ ジメチルスルホキシド付加物、ノバルティスファーマ)
:BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫の既存効能に、術後補助療法を追加する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2026年3月27日まで)。
 
イムブルビカカプセル140mg(イブルチニブ、ヤンセンファーマ):再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の既存効能に対し、未治療患者にも使えるようにする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は残余(2026年3月27日まで)。
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