薬局機能に応じた区分新設が薬機法改正の焦点に浮上 将来の調剤報酬上の評価も視野

公開日時 2018/07/06 03:52
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医薬品医療機器等法(薬機法)改正の焦点として、保険薬局の提供する機能に応じた区分の新設が浮上してきた。厚労省は7月5日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に、かかりつけ薬局に加え、在宅医療に対応する薬局、高度薬学管理機能を発揮する薬局などへと機能分化することの必要性を示した。医療機関は医療法で一般、療養、精神などの病床に区分し、これに応じて診療報酬上の評価がなされている。将来的には保険薬局も機能に応じた体系に区分することで、これに応じた調剤報酬上の評価を敷くことも視野に入る。

薬漬け医療の解消を背景とした政策的な誘導もあり、浸透が進んできた医薬分業。分業率が70%を超え、処方薬を保険薬局で受け取ることが当たり前の光景となるなかで、医薬分業そのものが目的となってきた面も否定できない。

ただ、薬局を取り巻く環境も大きく変化してきている。超高齢社会の到来が2025年に迫り、在宅医療のニーズは大きく増加すると推計されている。複数の疾患を合併する高齢者も増加する中で、地域包括ケアシステムにおいて、医療・介護・福祉の接点として、保険薬局が機能を発揮することが求められるようになってきた。厚労省は2015年に患者のための薬局ビジョンを策定。16年度調剤報酬改定でかかりつけ薬剤師指導料を新設した。18年度改定でもこの方向性をさらに推し進めた。こうした中で議論される薬機法改正では、制度面から強くこの方向性を促すことが焦点となる。

◎地域包括ケアで機能発揮できない保険薬局は淘汰も

かかりつけ機能を果たす保険薬局には、気軽に地域住民が健康相談できる、地域の窓口としての姿が求められている。そのため、調剤だけでなく、要指導医薬品や一般用医薬品などの供給体制を整えることも必要になる。地域包括ケアシステム構築の中で、医療機関の医師・薬剤師、診療所、訪問看護師、ケアマネジャーと情報を共有し、入院時も含めた継続的・一元的な服薬管理を通じ、必要に応じてかかりつけ医に処方提案するなどして、残薬やポリファーマシーの解消に寄与することも期待される。

一方で、これに加え、在宅医療やがん、HIVなど高度な専門性を機能として持つ保険薬局の必要性を認め、機能分化を促す考えだ。逆に、これらの機能を発揮できない保険薬局は淘汰されるとも言える。薬機法改正は2019年の通常国会への提出を目指すが、20年度には調剤報酬改定も控えており、こうした議論が急ピッチで進む可能性もある。

◎日薬・乾副会長「薬剤師が地域のすべての医薬品に責任を持つ」

これにあわせて医薬品の提供体制も構築する必要がある。がん患者など在宅医療のニーズが高まるなかで、麻薬や無菌製剤の処理の必要性も増すが、すべての保険薬局で提供することは難しい。

日本薬剤師会の乾英夫副会長は、「薬局・薬剤師がどのような地域であっても医薬品の供給体制を確保することを明確に打ち出す必要があり、そのためにも法令上の下支えが必要だ」と訴えた。さらに、過疎地域や中山間地域を含めて医薬品供給を確実に行えるよう、「医薬品供給体制確保計画」(仮称)の策定を求めた。医療計画や介護保険事業支援計画には医薬品の供給は項目としてなく、これらの整合性をとる必要性も指摘した。策定により、医療や介護との連携もより強化されることも期待される。乾委員は、「地域包括ケアシステム構築に向け、その一員として薬剤師がすべての医薬品に責任を持つという考え方の下、襟を正してこれまで以上に患者のために頑張っていきたい」と意気込んだ。

◎医薬分業のメリットに議論集中 抗がん剤やHIVでの存在感発揮も


この日の制度部会では、委員からは「分業のメリットについて患者はほとんど感じられていないし、他の医療従事者に感じられていないことが問題」(山口育子委員・認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)、「医薬分業自体を見直す時期に来ているのではないか。院内処方に回帰する議論があってもいいのではないか」(中川俊男委員・日本医師会副会長)、「医薬分業のありがたみは感じていない。在庫管理や、レアな疾患に在庫管理を心配せずに自由に処方ができるくらいだ」(村島温子委員・国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター主任副センター長)など、医薬分業に対する厳しい意見が飛んだ。中川委員は、院内処方と院外処方で患者負担に格差や内部留保など、コスト構造を強く指摘した。

患者代表の花井十伍委員(特定非営利活動法人ネットワーク医療と人権理事)は、「極論すれば、薬剤師が医療にとって必要かどうかが議論になっている」と指摘した。ただ、自身の経験から、「特に抗がん剤、抗ウイルス剤は薬剤師の仕事が理想的な領域で、HIVは薬剤師の存在感は大きい。すべての病院薬剤師にいきわたってるというと実態と違うが、理想的な形ではある」として、医師の処方権と薬剤師の調剤権とのグレーゾーンを含めた整理を求めた。

◎企業のガバナンス 利益追求型への対策も

地域包括ケアシステムの中で機能を発揮するためにも、企業のガバナンスも重要になる。多店舗を展開する、いわゆる調剤チェーンについても開設者や管理者の責務、エリアなどを統括する中間的総括者の位置づけなどを明確化するとともに、その責務を果たす措置なども検討される。この日の制度部会は時間切れで、次回に持ち越しとなったが、この日も、「開設者が利益追求の方針であればそれに逆らえないということで起きている問題もある」(山口委員)、「一薬局の管理者が、会社の本部の開設者にモノを言えるような状況なのか」(中川委員)などの指摘も飛んだ。 

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