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厚労省 本来の薬剤師業務を歪める薬局経営にメス 薬機法改正へ

公開日時 2018/07/25 03:52

厚生労働省はきょう7月25日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に、薬局経営のガバナンスを強化する医薬品医療機器等法(薬機法)改正の必要性を提案する。偽造品流通問題や調剤報酬の付け替え請求問題など、薬機法違反が相次いで発覚した。特にチェーン薬局で役員などが過度に利益を追求し、その結果として本来果たすべき薬剤師の職能を歪めていたことを問題視。薬局開設者と管理者の責務などを明確化することで、ガバナンスを強化し、不正を未然に防ぐ抑止力としたい考え。薬機法違反があった際に役員の解任命令を行うなどの行政措置の新たな設定も視野にガバナンスを強化する。地域包括ケアシステム構築に医療現場が動き、保険薬局が機能発揮を求められるなかで、薬剤師本来の職能を発揮するよう後押しする考え。

現行の薬機法では、薬局開設者と管理薬剤師が1対1の関係を想定し、薬局開設者や管理薬剤師の責務が明確化されてきた。しかし、薬局のチェーン化が進む中で、1人の薬局開設者のもとにエリアを束なる役員などを介し、複数の管理薬剤師が存在するケースも増えてきた。薬機法違反があった際に、薬局管理者には都道府県知事からの変更命令、薬局開設者には業務改善命令・業務改善停止のほか、開設許可の取り消しなどの処分があるが、役員の責任を直接問うことができない。

実際、2017年に発覚したC型肝炎治療薬・ハーボニー配合錠の偽造品流通問題では、奈良県と奈良市が関西メディコの2薬局に業務停止命令を出すとともに、管理者の変更も命じた。医薬品の品質確保が薬剤師の基本的な職能とされるなかで、管理薬剤師の責任を重く見た。一方で、本社役員については個人の責任を問えなかった。なお、この問題は、厚労省が日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本チェーンドラッグストア協会の幹部を省内に招集し、薬局経営者、管理薬剤師、薬剤師のそれぞれの職能を明確にし、共有するよう要請する事態にも発展している(関連記事)。

その後も、クオール、アイセイ薬局と相次いで処方せんを受けた薬局と異なる薬局で調剤を行う、調剤報酬の付け替えなども問題となり、本社の責任を問う声もあがった。今年に入っても、ファーマみらいが、薬局の管理者が、他の薬局において業務を行っていたなどとして東京都から行政処分を受けている。

チェーン薬局を中心に相次いで不正が明るみになるなかで、厚労省側は、化血研のワクチン不正製造問題やディオバン問題など不正が相次いだ製薬業界と同様に、利益追求型の姿勢を問題視。同様に、企業内のガバナンス強化を促す考えだ。

改正薬機法では、2040年を見据え、地域包括ケアシステムのなかで、いかに保険薬局が機能を発揮するかが、焦点となっている(本誌既報、関連記事)。機能分化の必要性なども議論にあがるなかで、薬局が地域で求められる機能を発揮するためにも、ガバナンスの重要性が高まっている。

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