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安定供給司る「供給体制管理責任者」は薬剤師要件不要に 生産本部長など対応へ 厚科審部会

公開日時 2025/10/28 06:01
厚労省は10月27日に開かれた厚生科学審議会医療用医薬品迅速・安定供給部会に、薬機法改正で新設された“供給体制管理責任者”の要件の案を示した。薬剤師資格は不要とし、生産計画・供給計画を策定する部門の責任者とした。生産本部の本部長などが務めるイメージも示した。薬剤師要件を不要とすることに異論は出なかったが、供給体制管理責任者と品責の役割が二律背反とならないよう、求める声もあがった。供給体制確保責任者の設置を含む製造販売業者の安定供給体制の整備は、改正薬機法公布から2年以内に施行する事項とされており、厚労省は施行時に省令を交付する。ただ、安定供給体制の早期整備を望む声が多いことから、要件を示し、各企業に体制整備を進めてもらいたい考え。

◎「代表的なイメージ」は生産本部長 受給推計、在庫管理、原材料の調達束ねる

改正薬機法では、供給体制管理責任者を明記した。製造販売の計画の策定や、供給状況の調査、製造業者や卸等の関係者との連絡体制の整備など供給体制管理の統括を行う者とされている。

厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課は「企業によって具体的な体制は変わる」と断ったうえで、「代表的なイメージ」を示した。信頼性保証本部の本部長が総括製造販売責任者(総責)を務め、その傘下の品質保証部の部長を品質保証責任者(品責)、安全管理部の部長を安全管理責任者(安責)が努めているが、これに加えて、生産本部の本部長が供給体制管理責任者を務めるイメージを示した。厚労省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の田中広秋総括調整官は企業へのヒアリングでは、安定供給の責任者を生産本部の部長が務めているケースが多くみられるとして、「生産本部で、受給推計、在庫管理、原材料の調達などの全体を束ねて生産計画の方が議論されている。様々な機能を束ねる部局の責任者が供給管理体制責任者として適任ではないか」と説明した。

具体的な要件は、品責、安責と同様に部門の責任者として、「生産計画・供給計画を策定する部門その他の安定供給確保に係る業務を行う部門等の責任者」として、「供給体制管理業務に3年以上」を提案した。一方で、総責では薬剤師要件が課されていたが、薬剤師までは問わないこととした。

◎業務の手順書はひな型提示へ 遵守事項に「総責・品責・安責、関係部門等との密接な連携」

業務としては、「安定供給に関する手順書(仮称)に基づき、供給体制管理業務を統括、関係部門等の連携促進等」とした。現在、ジェネリック業界ではジェネリック医薬品供給ガイドラインに基づく安定供給マニュアルの策定が進んでおり、9割以上の企業がすでに策定されている。関係業界の実態を踏まえ、先発メーカーや外資系企業に必要なマニュアルのあり方も検討したうえで、厚労省から手順書のひな型を示すなどして、企業の対応を促したい考え。

遵守すべき事項として、製造販売業者への意見書の5年保存のほか、「総責・品責・安責、関係部門等との密接な連携」も求める。

◎一條委員 供給体制管理責任者は「三責から独立して全体像を見る人を」

山口育子委員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長)は、「製造販売のプロセス、様々な経験をしている方が適任だ。総責などと比べると、必ずしも薬剤師であるという要件は必要ないのではないか」と述べるなど、薬剤師要件を不要としたことについて委員から異論は出なかった。

一方で、供給体制管理責任者と品責との関係を問う声もあがった。鳴瀬諒子委員(富山県立大学生物・医薬品工学研究センターバイオ医薬品人材育成講座教授)は、「品責と供給責任者は相反する立ち位置だ。それぞれが連携し、責務を果たすというのはその通りだが、実態は力関係が生じ、問題が発生したときに品質を最優先にすべきだ」と指摘した。厚労省の田中総括調整官は、「品質が確保されている医療薬品の安定供給。品質が確保されていることが大前提だ」と述べ、品質と安定供給は反さないとの姿勢を強調した。

一條武委員(日本医薬品卸売業連合会副会長)は、「生産計画や需給計画から市場分析がずれてしまうと、いくら良いものを作っても出荷調整になってしまう。供給体制管理責任者は(三責から)完全に独立したものとして作っていくと、それによってすべてを見ていくという形で作っていただきたい」と強調。後発品80%目標や選定療養の導入など、環境変化が大きい中で、「横串を刺して全体像を見る」必要性を強調した。

供給体制管理責任者の業務を示す手順書をめぐっては、小川真委員(日本ジェネリック製薬協会安定供給責任者会議議長)は、「手順書の実効性を高めるために、行政と我々業界側の間に意見交換をお願いしたい。ジェネリック製薬協会としては積極的にここについても協力していきたい」と述べた。

◎供給不安の背景は薬価との指摘に日医・宮川委員「すべてを薬価の問題にすべきでない」

このほか、医師の委員から安定供給をめぐり薬価を問題視する意見もあがった。宮川政昭委員(日本医師会常任理事)は、「すべての問題を薬価の問題にすべきではない。今までの不祥事は不祥事として、しっかりと認識していただいて、対策を取っていただきたい。これは企業に対してよろしくお願いしたい問題だ」とクギを刺す場面もあった。

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