厚労省 CAR-T細胞治療で保険外併用療養や費用対効果踏まえた対応を検討へ

公開日時 2018/10/10 03:52
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厚生労働省保険局は、CAR-T細胞治療など今後上市が見込まれる高額製品について、保険適用を原則としたうえで、価格については保険外併用療養や費用対効果踏まえた対応の検討に着手する。きょう10月10日に開かれる社会保障議会医療保険制度部会で議論する。ノバルティスファーマ社が2018年4月にCTL019(海外製品名:Kymriah、キムリア)を白血病に用いる再生医療等製品として承認申請し、現在審査中。難治性の疾患に高い効果を示す一方で、米国では5500万円超と高額だ。さらに、脊髄損傷治療など再生医療等製品の複数品目の上市が控える。こうしたなかで、再生医療等製品についても、その特殊性を踏まえ、医療保険にいかに取り入れるかが焦点となりそうだ。

抗がん剤・オプジーボやC型肝炎治療薬など、革新的新薬の登場は、アンメットメディカルニーズを克服する一方で、医療保険との調和が課題となってきた。国民皆保険堅持を掲げるなかで、「有効性や安全性が確認された医療であって、必要かつ適切なものは保険適用する」ことを基本として対応してきた。

現行薬価制度下での高額薬剤への対応としては、市場拡大再算定に加え、16年度には年間販売額が大きい製品に対する特例拡大再算定、さらに18年4月実施の薬価制度抜本改革では四半期再算定が導入された。四半期再算定とは、年4回ある新薬の薬価収載の機会を通じ、既収載品についても一定の条件の下で薬価を再算定できるというもので、オプジーボが初の四半期再算定の適用となっている。また医薬品の適正使用推進の観点から、最適使用推進ガイドラインの適応による使用の最適化が検討されるなど、対応がとられてきた。

◎「骨太方針2018」でも価格設定で検討求める

一方で、CAR-T細胞治療については、「高額な製品の上市が見込まれており、同様に対応を図る必要がある。現在の薬価制度等では対応が難しい製品が今後登場する可能性もある」と問題提起した。さらに脊髄損傷の治療に用いる再生医療等製品が6月に承認申請され、審査中であることも紹介。これまでに収載された再生医療等製品はハートシートなど単価が高いものがあるが、患者数は限定的として、革新的製品の上市が見込まれる再生医療等製品についての新たな対応の必要性を指摘した。なお、現行制度では、再生医療等製品は医薬品方式か医療機器方式かを判断し、薬価もしくは保険材料価格で収載されている。

2018年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)では、「新規医薬品や医療技術の保険収載等に際して、費用対効果や財政影響などの経済性評価や保険外併用療養の活用などを検討する」ことが盛り込まれている。10月9日に開かれた財務省の諮問機関である財政制度等審議会財政制度分科会では、安全性・有効性に加え、費用対効果や財政影響などの経済性の面からの評価を踏まえて、保険収載の可否を含めて公的保険での対応のあり方を検討することを求めている。

こうしたなかで厚労省は、費用対効果評価と保険外併用療養の考え方を社保審に提示する。保険外併用療養としては、保険導入のための評価を行う目的として、先進医療などを含む「評価療養」などがあることを示している。

◎CAR-T細胞治療 米国では成功報酬型も


CAR-T細胞治療は、患者由来の免疫細胞(T細胞)の遺伝子組み換えを行い、がん細胞を捉えて攻撃しやすくした上で患者の体内に戻す。小児・若年成人の再発・難治性ALLに関する臨床試験で奏効率が約8割と高率で、既存治療で十分効果を得られない重篤・致死的な疾患に対する治療法として期待されている。

治療は一度で済むが、米国での価格は5560万円(18年7月、1ドル=111円で換算)と高額にのぼる。そのため、患者の治療薬へのアクセスを確保する観点から、メディケア・メディケイドサービスセンターとノバルティスは、臨床アウトカムに基づいた新たなスキームを構築した。患者が費用を支払うのは、治療後1か月終了までに効果を認めた場合のみという、いわゆる“成功報酬型”の価格設定だ。さらに、患者自身の細胞を活用するという製造・供給チェーンにも特殊性がある。

ノバルティスファーマが国内で承認申請したのは、「小児を含む25歳以下のCD19陽性再発又は難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)、および成人のCD19陽性再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」。これら効能にかかわる患者数は250例とされている。ただ、血液腫瘍だけでなく将来的には固形腫瘍への適応拡大なども期待されており、将来的には患者数が増大することも見込まれている。
 

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