財政審建議 社会保障費の伸び抑制でスタンス変えず 増税改定は薬価に市場実勢価反映を

公開日時 2018/11/21 03:51
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財務省の財政制度等審議会(榊原定征会長)は11月20日、「2019年度予算の編成に関する建議」を取りまとめ、鈴木馨祐財務副大臣に手渡した。平成最後の予算編成となることから、これまでの時代を振り返り、「受益と負担が拡大し、税財政運営が歪んだ圧力に抗いきれなかった時代」と消費増税など負担を先送りにする姿勢を批判した。社会保障については、「財政悪化の最大の要因」と指摘。社会保障の伸びについては、数値目標の明記は避けたが、「経済・物価動向等を踏まえ、実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」ことを求め、財政健全化に向けて手綱を緩めない決意を込めた。消費増税についても確実な実施を求めたが、消費増税に伴う薬価改定については、時期を明記せず、「過剰な国民負担となることのないよう、併せて薬価に市場実勢価格を反映させることが必要」とした。

建議では社会保障について、高齢者医療・介護給付費の5割を公費負担で賄うなど、公費負担の依存割合が大きいと指摘した。高齢者医療・介護医療が増大するなかで、負担増が公費に集中。特例国債で不足分が賄われている状況にある。建議では、「将来世代への負担が先送られているため、受益と負担の関係が断ち切られている」とした。そのうえで、2019年10月に予定される消費増税について、「税収を社会保障財源化することで、負担の先送りに歯止めをかける」必要性を強調した。

増税時の対応としては、薬価に加え、医療機関などが負担する仕入れ税額相当額の診療報酬上の補填について言及。①医療保険制度内で対応する、②総額において医療機関などが負担する仕入れ額相当額の範囲内で対応する、③各科間・診療所・病院間で仕入れ税額相当額の総額に基づき、財源配分を行ったうえで、各類型の中で看護配置基準別のデータを用いるなど精緻な対応とする―ことを求めた。

◎費用対効果評価の厳格化求める


2019年度の本格導入を見据え、議論が進められている費用対効果評価については、原価計算方式で算定された医薬品について「輸入医薬品の場合には企業間の輸出入価格がそのまま原価とされるなど価格水準は明らかではない」と指摘した。そのうえで、「費用対効果評価を義務付け、費用対効果が悪いものについては、保険収載を見送るか、公的保険として対応するのであれば、公的保険として受け入れ可能な水準に至るまで薬価を引き下げる仕組みとすべき」と提案した。類似薬効比較方式で算定された医薬品についても、「補正加算が付される場合には費用対効果評価を義務付け、その結果に応じて薬価を引き下げるべき」とした。

医療費の増大に、革新的で高額な新薬の上市が影響していることが指摘されるなかで、薬事承認後に事実上すべての医薬品が収載される仕組みを見直すことを提案した。薬価収載時に安全性・有効性に加え、経済性の評価を踏まえたうえで、「保険収載の可否も含め、公的保険での対応の在り方を決める仕組みとしていくべき」とした。保険収載が見送られた医薬品については、安全性・有効性が認められれば、保険診療と保険外診療の併用が可能な「保険外併用療養制度により柔軟に対応するか否かの検討も行うべき」とも提言した。

◎地域医療・医療費適正化計画・財政で都道府県のガバナンス強化を提案


医療提供体制の改革として、地域医療・医療費適正化計画・財政をつかさどる都道府県のガバナンス強化を提案した。一人当たり医療費の都道府県格差が明確になるなかで、「都道府県が中心となって地域医療構想の下で病床再編を推し進めることが不可欠」と指摘した。特に再編の進まない民間医療機関について、「都道府県の権限を強化することなどにより、取り組みを加速させることを検討すべき」とした。都道府県別の診療報酬の設定についても、「具体的に活用可能なメニューを国として示すとともに、2018年度から開始する第三期医療費適正化計画の達成に向けても柔軟に活用していくための枠組みを整備すべき」と提案した。一方で、国民健康保険では3000億円超の法定外一般会計繰入が行われている現状について、速やかな解消も求めた。

◎予防医療の医療費削減効果「過大な期待は抱くべきでない」

このほか、予防医療の重要性についても言及。検証を踏まえ横展開することで、「社会保障費の伸びの抑制にもつながり得る」とした。財政審では予防医療はかえって医療費の増大につながるなどの意見も出たが、最終的に修文し、「定量的な削減効果については、様々な見解があることから過大な期待を抱くべきではない」とするにとどめた。

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