湘南アイパーク 創薬技術とデジタル技術を融合 エコシステム構築で早期ビジネス化に期待

公開日時 2018/11/26 03:51
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武田薬品の湘南研究所を開放して設立した「湘南ヘルスイノベーションパーク」(以下、湘南アイパーク)は11月22日、プレス向け公開座談会を開催し、オープンイノベーションの拠点である“ホットスポット”構築へ向け、入居パートナーそれぞれから強い意欲が示された。武田薬品からスピンアウトしたAxcelead Drug Discovery Partnersの池浦義典CEO/CSOは、湘南アイパークに入居したIBMと連携し、AI創薬に取り組んでいることを紹介。「先端技術、プラットフォーム基盤を持った会社と連携し、他にはない新しい強みを作っていく」と強調した。ヒトやモノ、情報、そして集中的な資金の投資が集う、エコシステムの構築でビジネス実装が速まることへの期待も語られた。

湘南アイパークには、武田薬品のスピンアウトベンチャーや、大学発ベンチャー、医療機器メーカーなど26社(10月1日現在)が入居し、エコシステムを構築している。再生医療、認知症、希少疾患、未病を重点領域に据え、革新的なアイデアの社会実装を目指す。2023年度までには200社の誘致を目標に、国内でのオープンイノベーションの一大拠点を築きたい考えだ。

“ヘルスケアとIT/AIの最先端技術の融合を実現する場”をビジョンのひとつに掲げる湘南アイパークだが、こうした取り組みもすでにスタートしている。

◎池浦CEO AI活用で創薬の効率化実現へ


池浦CEOは、「現時点の強みは武田薬品時代に経験してきた、磨き上げた技術。それはいつまでも続くわけではなく、新しい技術を創り上げないといけない」と述べた。そのうえで、デジタルやAIなど先端技術やプラットフォーム基盤を有する企業と融合することの重要性を強調した。池浦CEOは、これまでの創薬までの流れについて、過去の研究を基に建てた仮説を実証、検証し、それを基に仮説を立てることがひとつのサイクルだったと説明した。そのうえで、「AIを取り入れることで、仮説の部分で最大限活用できる」と述べた。一方で、仮説を検証する、実験動物や細胞を用いる“ウエット”な機能の必要性を指摘した。両社が融合することで、「結果の解釈から新たな仮説の提案でAIを活用する。そういったモデルを創り上げていくことができないか」と期待感を示した。AIを活用して、創薬に紐づいたターゲットの同定や、効率的な高化合物の創製、臨床予測の3点から、創薬の効率化に取り組んでいるという。

◎藤本ジェネラルマネジャー RWD活用で新たなビジネスを開拓


湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは、AIを用いたディープラーニングをリアルワールドデータ(RWD)に活用することで新たなビジネス展開が拓けることへの期待感も口にした。米国では、遺伝子解析サービスが実用化されていることや、米・シリコンバレーでは最も資金調達が多いバイオベンチャーはITであることも紹介。「ぜひIT技術をヘルスケアに生かし、人々の健康、長生きに寄与できる技術を呼び込んでいきたい」と意気込んだ。

◎FORESIGHT&LINX社・能見社長 健康マネジメントに役立つデジタルヘルスに期待


今後の創薬の方向性についても、「薬剤という概念そのものを超える。AIの導入で創薬、ヘルスケアの分野が変わってくる」と池浦CEO。国内外のパートナリングや事業開発に取り組む、いわば“オープンイノベーションのエージェンシー”のFORESIGHT&LINX社の能見貴人代表取締役社長も、「製薬企業の在り方という意味では、製薬企業という名前はなくなるかもしれない。治療だけでなく、診断・予防、健康マネジメントを統合して人の健康をマネージしていかないと、ビジネスとしては厳しいかもしれない。健康マネジメントについては、デジタルヘルスが果たす役割も大きいのではないか」と述べた。

◎Chordia Therapeutics社・三宅CEO エコシステムには資金の循環も必要


武田薬品のスピンアウトベンチャーで、抗がん剤の研究開発に取り組むChordia Therapeutics社の三宅洋代表取締役・CEOは、会社の立ち上げに際し、「人とモノと情報が必要ななかで、孤立化するリスクを懸念していた」と振り返った。そのうえで、エコシステムが構築され、オフィスや施設的なサポートもある湘南アイパークの充実ぶりを語った。特に、「Axceleadがいるのが大きな特徴。創薬には多方面からの科学的知識や技術が必要だ。バイオベンチャーだけでは難しいが、Axceleadにはすべて揃っている」と強調した。米・サンディエゴでの経験を振り返り、「創薬のワンストップサービスを提供できるところはなかった。世界的にもユニークな場になっていくことに期待している」と述べた。一方で、「バイオベンチャーには資金も欠かせない。エコシステムにはお金の循環も必要だ」と今後の課題についても言及した。 

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