PhRMA会員企業 骨粗鬆症治療薬9剤を臨床試験中
公開日時 2016/03/11 03:50
米国研究製薬工業協会(PhRMA)の会員企業は、現在、新規の骨粗鬆症治療薬合計9剤を臨床試験実施中(申請中含む)であることが分かった。PhRMAと全米骨粗鬆症財団(The National Osteoporosis Foundation)が共同でまとめた「開発中の骨粗鬆症治療薬」(Medicines in Development for Osteoporosis)で明らかになった。PhRMAが3月7日発表した。
開発中薬剤の内訳は、閉経後骨粗鬆症治療薬5剤、男性骨粗鬆症治療薬2剤および薬剤由来骨粗鬆症治療薬2剤となっている。作用機序では、破骨細胞で分泌されるシステインタンパク分解酵素で骨吸収作用に関与するカプテシンKの働きを阻害する薬剤、骨芽細胞の活性を抑制するスクレロスチンの働きを阻害する抗スクレロスチン抗体、骨形成作用を促進するとみられる副甲状腺ホルモン関連タンパクの合成アナログなどである。現在、これら薬剤についての臨床試験は34本が進行中である。
PhRMAのStephen J Ubl理事長兼CEOは、「骨粗鬆症の治療薬の開発が続いていることを見ることはうれしいことだが、患者のためにはまだまだやるべきことが沢山ある」と述べたうえで、「2025年までには1年で300万症例の骨折が見込まれているので、バイオ/医薬品企業は患者の延命や健康な生活を続けさせるために新規治療オプションの研究・開発に取り組まなければならない」と決意を新たにした。
米国では現在、約5400万人が骨粗鬆症か骨密度低下の患者であり、2030年までにこの数は7100万人以上に達すると見込まれている。さらに、その結果、50歳以上の女性の半分、男性の4分の1が骨折するという。PhRMAは、このような深刻な状況を迎えるにあたり、バイオ/医薬品企業による新規の画期的治療法開発がアメリカ人とその家族の望みを与えることができるとしている。
全米骨粗鬆症財団は、骨粗鬆症患者らの骨折予防の啓蒙・啓発や医療関係者向けのツール、資材などの提供を展開しているが、Robert F Gagel理事長は、骨粗鬆症治療薬研究・開発の進歩には力づけられるとし、「新規治療法や予防の努力が、この疾患が起こす痛みや障害で苦しむアメリカ人を少なくすることへの福音になる」とコメントした。