PhRMA・五十嵐委員長 研究開発投資のギャップ拡大を懸念「競争上不利な立場」 大胆な国家戦略実行を
公開日時 2026/04/20 04:52

米国研究製薬工業協会(PhRMA)の五十嵐啓朗在日執行委員会委員長は4月17日の会見で、日本の研究開発投資ギャップの拡大に強い危機感を表明した。2015年を起点としたグローバル全体のR&D投資の伸び率(推計)が+142%なのに対し、日本は+15%の低成長にとどまり「競走上不利な立場にある」と指摘したもの。五十嵐委員長は、「実行策を伴う大胆な国家戦略」の実行を高市政権に求めた。米国の最恵国待遇(MFN)価格政策の影響に触れ、「日本の薬価制度は自国だけの固有の問題ではなく、相互作用の仕組みにより米国やグローバルの製薬会社やスタートアップなどにも影響を与える国際的なトピックになった」として、特許期間中の薬価維持を含めた薬価制度改革の必要性を強く訴えた。
◎グローバルでの研究開発投資における日本のシェア 「30年には3.8%」と警鐘
五十嵐委員長は、米PhRMAが取りまとめた2015年を起点とする革新的医薬品の研究開発投資の伸び率をグローバル全体と日本を比較したデータを紹介。23年のグローバルR&D投資は15年比+99%とほぼ倍増しているのに対し、日本は+6%と低成長だった指摘した。さらに30年の予測では、グローバルが+142%の成長軌道を描くのに対し、日本は+15%にとどまり、「ギャップは拡大する」と警鐘を鳴らした。また、グローバル全体の研究開発投資に対する日本のシェアも、15年の8%から23年には4.2%に低下。30年にはさらに3.8%まで相対的に低下していくと見通した。
◎「特許期間中に価格を強制的に引き下げるのは主要国で日本だけ。大変問題視している」
その要因である構造的な課題について五十嵐委員長は、「社会保障費全体を管理するために、薬価引き下げに過度に依存している」と訴えた。日本の新薬発売時の薬価は米国や欧州の主要国に比べて低く、特許期間中の薬価引き下げでその差はさらに拡大していると強調。「特許期間中に価格を強制的に引き下げる仕組みがあるのは主要国で日本だけだ。PhRMAとしても大変問題視している」と語気を強め、特許期間中の薬価の維持をはじめ、市場拡大再算定及び関連ルールによる薬価引き下げの廃止や上限設定、費用対効果評価制度の運用拡大取り止めなどを求めた。トランプ大統領の最恵国待遇(MFN)価格政策についても触れ、「日本の薬価引き下げはMFNによる米国薬価引き下げと収益損失を引き起こす可能性がある」との見解を示した。
◎「パラダイム転換をするタイミング」 官民協議会などの議論に期待
日本経済がデフレからインフレへと変わり、国際情勢が目まぐるしく変化する中で、「日本のGDP成長の原動力としてパラダイム転換をするタイミングだ」と主張。新薬の創出は雇用の創出や投資拡大などの経済価値を生み出し、関連産業にもインパクトをもたらすとして「経済成長と危機管理投資、国民の健康増進の点から高市政権の狙いに極めて合致する分野だ」と述べた。その上で、成長戦略として、日本の特許医薬品市場の成長率を主要先進国並みの9.6%前後にする目標を掲げることや、創薬力向上のための官民協議会で具体的な政策改革を議論するよう求めた。