NECは７月29日、独自の機械学習を用いたがん治療支援のためのソフトウェア開発を行うノルウェーのOncoImmunity AS社（オスロ）を買収したと発表した。NECは５月、AIを使い患者ごとに免疫反応が強い抗原を同定・予測し、その情報をもとにがんワクチンを製造する事業の立ち上げを表明。NECは、最適な抗原を同定する技術を持つOncoImmunity AS社を子会社化することで、創薬事業の強化を図る。

NECの目指すのは「個別化ネオアンチゲンワクチン」の創出。ネオアンチゲンとは、がん細胞の遺伝子変異に伴って新たに生まれたがん抗原のことで、がん細胞のみにみられ、多くは患者ごとに異なる。同社は患者から採取した血液検体から解析した遺伝子情報をもとに、自社のAIを活用し、ワクチン製造に必要な免疫反応を強く誘導するネオアンチゲンの同定を、１人ひとりの患者で行う。その同定・予測をもとに有効性が高いと判断した複数のがん抗原からなるワクチンを製造する。そのためのフェーズ１を19年中に欧米で始める方針。

OncoImmunity AS社を子会社化することで、最適なネオアンチゲンを同定する同社のソフトウェアソリューションを活かせる。それによりがんワクチンが効果的な患者選択を容易にすることが期待される。OncoImmunity AS社は、買収に伴い社名を「NEC OncoImmunity　AS」社に改める。