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22年度診療報酬改定 オンライン資格確認で「電子的保健医療情報活用加算」新設 導入促す

公開日時 2022/01/28 04:51
中医協総会は1月26日、オンライン資格確認を通じて取得した患者情報を活用して診療を実施することについての評価である「電子的保健医療情報活用加算」を新設することを大筋で了承した。オンライン資格確認は2021年10月から本格運用が開始されたものの、運用を開始した施設は約11%にとどまっており、インセンティブにより、導入を強く促したい考え。医療機関・薬局と患者の間で、薬剤情報や特定検診情報などの情報共有が進むことで、診療の質向上にも期待がかかる。支払側はオンライン資格確認普及の方向性に賛同したうえで、診療報酬上の評価について強く反発。特に、2024年3月31日まで初診に限り、診療情報の困難な場合も算定できる特例に反発をみせたが、最終的に、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)が、団体としても普及に尽力する姿勢を示したことを受け、了承した。

◎資格確認導入施設は10.9%


オンライン資格確認をめぐっては、顔認証付きカードリーダー申込施設数が56.7%だが(約13万施設)、運用開始している施設は10.9%にとどまっており、導入加速に向けた取り組み、支援が必要な状況になっている。特に、診療所(運用開始施設数は7.9%)、歯科診療所(同・8.4%)では普及が進んでいない(22年1月23日時点)。

新設される「電子保健医療情報活用加算」は医療機関では初・再診料、外来診療料、薬局では調剤管理料で算定できる。対象患者はオンライン資格確認システムを活用する医療機関・薬局を受診や調剤を受けた患者。月に1回に限り、加算が可能となる。オンライン資格確認について、医療機関や薬局の見やすい場所に掲示することも施設基準として設ける。また、24年3月31日までの間に限り、診療情報等の取得が困難な場合や他の医療機関から患者情報の提供を受けた場合でも算定できる特例措置も設けた。

◎支払側「導入促進の効果があるか疑問」、「診療報酬での加算は納得できない」との意見も

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「加算が適用されるなかで急激に施設が増加するという風にはとても思えない」と指摘。「診断、治療の質向上という点で患者がメリットを感じられるような活用がなされるのか、導入促進の効果がある仕組みとなっているのかという疑問が残る」と述べた。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「基盤となるシステムの運用コストを保険者がすでに負担していることを踏まえれば、これを活用した際に診療報酬で加算することについては納得できない」との見解を表明。「加算を算定するのであれば、追加の自己負担が発生することも含めて患者に説明責任をしっかり果たしていただき、点数事態も低い水準に設定すべき。加算については患者の同意を取得し、オンライン資格確認システムから取得した情報を活用することを担保するよう、最低条件で規定すべき」と述べた。

特に、24年3月までの特例措置について指摘する声があがった。支払側の安藤委員は、「患者がマイナンバーカードを持参しない場合や情報取得の同意をしなかった場合でも加算がなされるものと認識している。この場合、患者本人にとっては特にメリットはなく、むしろマイナンバーカードを持参しないことによるある種のペナルティとも受け取られかねない仕組みとなっている」と強調。「患者が加算を受けないようにするためには、導入されていない医療機関に行くということをしなければならず、今回のシステムを普及するということとまるで反対の結果となることも危惧される」と問題意識を露わにした。さらに、患者負担が増加することから、「加算を認めるということに対する正当な理由を事務局に聞きたい。協会けんぽの4000万人を超える加盟者に、理解、納得を得る必要がある」と述べた。支払側の末松則子委員(三重県鈴鹿市長)も、「環境整備には公費が投入されているため、さらなる患者負担を強いることがないよう、カードリーダー等機器の普及状況を見極め、時限的な算定とすべき」と指摘した。

◎診療側・長島委員「導入されていないところにメリット」普及の推進につながる

これに対し、診療側の長島委員は自身の診療でオンライン資格確認を活用していることを紹介し、「患者にとっての安全安心で質の高い医療につながる。患者さんにも理解される。マイナンバーを持っていくという形になると確信している」と述べた。また、診療報酬上の評価が新設されることで、「導入されていないところにメリット、重要であることが伝わる強いメッセージとなり、普及の推進につながる」と述べた。一方で、特例措置については、導入が遅れている現状を踏まえて理解を求めた。支払側が医療機関の普及を求めるなかで、長島委員は「導入のための障害となるような環境を整備するために、関係各社と相談しながら普及に努める」と表明した。

◎井内医療課長「患者にどういったメリットが付与できるか総合的に勘案して提案した」

厚労省保険局医療課は、「オンライン資格確認で保険医療情報が医療機関、患者の間で共有され、より円滑にプラスアルファの情報をもっての医療が行われることについては患者のメリットがある。診療の対価に値するものだと考えている。将来的にも普及していくことが前提だと考えている。現時点ではカード利用者と医療機関の導入が100%に達していないなかで、活用される環境がどう整っていくのか、患者さんにどういったメリットが付与できるのか総合的に勘案し、今回の提案となった」と説明した。

これを受け、支払側の松本委員は、「納得はしがたいが、理解はする」と述べ、導入が決定した。


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