AWSジャパン 次世代医療基盤としての医療MaaS構築目指す 神戸大学と包括連携協定締結
公開日時 2025/10/03 04:51

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は10月2日、超高齢社会と過疎化による医療課題の解決に向けて、神戸大学大学院医学研究科と神戸大学医学部付属病院との間で、教育・研究・医療分野にわたる包括連携協定を締結した。生成AIやクラウドなどのAWSのサービスを活用し、次世代医療プラットフォームとなる「医療MaaS」の開発支援をはじめとした医療DX促進につなげる。締結式に臨んだAWSジャパンの宇佐美潮常務執行役員パブリックセクター統括本部長は「医療アクセスの向上から研究開発の加速まで、包括的な医療イノベーションを実現する。さらに『神戸医療DXモデル』として世界の国々にとっても先進的なモデルケースになる」と期待を込めた。
◎人・モノ・データを安全かつ統合的に循環 「神戸医療DXモデル」として実装目指す
包括連携の中心として開発する医療MaaSは、神戸大が目指す独自の次世代医療プラットフォーム。患者や医療従事者などの「人」と、薬や検体などの「モノ」、検査・健診情報などの「データ」について、場所を選ばずにひと続きの流れとして切れ目なく行き来できる仕組みを目指す。神戸大学大学院医学研究科医科学専攻生化学・分子生物学講座細胞医科学分野の宮西正憲教授は「患者に紐づいた人・モノ・データを安全かつ統合的に循環させる仕組みが我々の考える医療MaaS。場所からデータに中心を移すことで一人ひとりに寄り添った医療が提供できる」と説明した。
その上で、病院データを核として、臨床現場で得られる知見を教育や研究、地域に還元する循環を回すことで医療の質の向上にも取り組んでいく。また、匿名化や透明化などの信頼性の確保や、診療・物流・生活情報のデータ統合も重要になるとした。宮西教授は「AWSの信頼できるクラウド基盤とともに医療MaaSを『神戸医療DXモデル』として実装し、次世代の医療エコシステムを築いていきたい」と述べた。
◎スポールメディカル分野やメディカル・アントレプレナーシップ育成でも協力
このほか、スポーツメディカル分野におけるイノベーションの推進や、メディカル・アントレプレナーシップの育成なども協力事項として掲げた。
神戸大学医学部付属病院の黒田良祐病院長は「人がやるべき医療に集中できる構造へと病院を作り上げることが目標。そのための一歩として患者中心のスマートホスピタル経営ビジョンを掲げており、安全性や拡張性、運用性を備えたクラウドは不可欠になる」と述べた。神戸大学大学院医学研究科の村上卓道科長は「研究成果を論文にとどめず、社会に届く価値にする。その実現に向けて学内外そして世界のパートナーとともに歩みを進めていきたい」と強調した。