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【ERS特別版】COPDの増悪により動脈壁の硬化が急激に進行 気道感染に起因の可能性

公開日時 2012/09/10 06:29

COPD患者において、増悪時と回復時での動脈壁の硬化を調べた結果、急性増悪時は動脈壁の硬化が急激に進み、その後数週間も硬化の度合いは下がらないことがわかった。また動脈硬化は気道感染により引き起こされる可能性も明らかになった。9月1から5日までオーストリア・ウィーンで開催された欧州呼吸器学会(ERS)のオーラルセッションで、イギリス、University College LondonのAnant RC Patel氏が4日に報告した。


COPDの増悪は心筋梗塞(MI)のリスク上昇と関連し、COPDが安定した状態から増悪へと悪化する際に、心血管疾患のリスク要因である動脈壁の硬化が進むことが、これまでの研究で示唆されている。そこで研究グループは、COPDの増悪中に上昇する心血管リスクが動脈壁の硬化と関連し、また動脈壁の硬化が気道感染によって引き起こされる可能性を検討した。


症状が安定しているCOPD患者55例において、増悪時と3日後、7日後、14日後、35日後に、大動脈脈波速度(aPWV)を測定した。またポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により、増悪時の喀痰から、ヒトライノウィルスと、インフルエンザ菌、肺炎連鎖球菌、カタラリス菌の感染があるかどうかを調べた。


被験者は平均年齢が72.1歳、58%が男性で、20%が現喫煙者だった。平均FEV1は1.14L、平均%FEV1は46.7%、平均BMIは27.1などであった。


試験の結果、aPWVは安定時が平均10.1 m/s-1だったのに対し、増悪時は11.3 m/s-1へと有意に急上昇し(p<0.001)、動脈壁の硬化が急速に進んだことがわかった。また3日後、7日後、14日後、35日後のどの時点でも、安定時の数値に戻ることはなく、回復期も有意に高い状態のままであることも明らかになった(p=0.004)。


被験者のうち65%(36例)から増悪時の喀痰を採取し、そのうち67%(24例)で気道感染が確認された。気道感染例と非感染例とで、aPWVの推移を比較した結果、感染例は安定時から非感染例よりも若干高い数値を示し(感染例10.3 m/s-1 vs 非感染例10.0 m/s-1)、増悪時には両群間の差はさらに広がっていた(感染例11.8 m/s-1 vs 非感染例10.7 m/s-1)。感染例では回復期も高い数値のままで、回復期における両群の濃度曲線下面積(AUC)を比較した結果、非感染例では11.4 ms-1 daysだったのに対し、感染例では37.4 ms-1 daysにのぼり、感染例では動脈壁の硬化が、回復期においても有意に高いことが示された(p=0.036)。


Patel氏はこれらの結果から、動脈壁の硬化は急性増悪期に上昇した後、数週間は元に戻らない可能性があると結論した。また、COPD増悪時の動脈壁硬化は気道感染によって引き起こされている可能性があることから、適切な抗菌薬療法をタイムリーに導入することで、心血管リスクは削減できるかも知れないと提言した。

 


 

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