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2013年も救いが少ない欧州医薬品業界

公開日時 2013/02/01 04:00

 欧州医薬品業界においては、2012年は、各国政府の医療保険財政緊縮政策、参照価格の引き下げやジェネリック医薬品(GE)との競争、並行輸入の増加などにより多くの研究指向型企業の売上は下降を示した。

スペイン、アイルランド、ギリシャなどでは、主力品の特許切れに加え、全般的な経済の低迷がこれに輪をかけた。医療技術評価(HTA)の研究機関であるNICE(英国立医療評価機構)を持つイギリスやIQWiG(医療の質および効率研究所)を持つドイツでは、ますます厳しくなる医療技術評価に大きな影響を受けている。

そのようなことを背景に欧州の業界が関心を持っているのは、英国で2014年にスタートが予定されている「価値に基づいた価格付け」(value-based pricing:BVP)制度だ。現在の新製品に対する「医薬品価格規制スキーム」(PPRS)に代わるものとなる。業界は、この制度の導入で、NICEが従来とっていた業界に批判的な姿勢が変わることを期待している。

業界は、スェーデンが2012年9月に自国のBVPを修正する提案を発表し、その提案では、BVP導入5年経って参照価格を用いることを組み入れたため、(一般論として)BVPは価格をコントロールするのに十分でないことを示唆しているとし、英国のBVPの論議の行方を注意深く見守っている。

2013年はEMAの再編により、その効率性や透明性が向上するかどうかにも業界や患者からの注目が集まっている。EMAは2012年末に2013年中に運営の見直しと大幅な組織再編を実施することを明らかにした。しかし、識者のなかには、この再編は業界と交渉をする部門にはほとんど影響はなく業界にとってはメリットはない、との見方をとるものもいる。

2012年は、特にギリシャとスペインは、業界にとっては心配の種だった。この2カ国の病院や地域の保健当局は医薬品企業に多額の負債を背負い込み、政府の予算不足ばかりでなく医師への給与も支払えないという理由で企業への支払いを拒否している。欧州の医薬品企業は合同で、ギリシャ政府が支払いに応じないならば、医薬品経費に上限を設けるよう提案し、これ以上の負債を増加させない手段を講じることを表明した。

スペイン政府は、2012年4月に、医療保健予算について70億ユーロの削減を行うことを発表、このなかで、初めて年金生活者から薬剤費10%自己負担を課すことなどを明らかにした。6月には医薬品400品目以上が保険償還されなくなった。また、2013年1月1日には、マドリードの患者は1処方につき、1ドル余計に支払わなければならなくなるなど状況は厳しくなる一方だ。スペインの2012年11月の薬剤費は、7億2000万ユーロ(9億4000万ドル)で対前年同月比15%減となった。

暗いニュースが多い欧州だが、2012年にいくつかの明るいニュースもあった。欧州で初の遺伝子治療となった、uniQure社(本社:オランダ・アムステルダム)のGlybera(alipogene tiparvovec)の承認。また、人員削減の実施が多い中で、オランダ政府と米MSD社の支援により、オルガノン社の旧本社所在地に「Pivot Park」が昨年12月にオープン、そこで23社が起業した。さらに、英アストラゼネカのスェーデン・Sodertaljeにあった旧研究所に約70名のAZ元社員が16社のライフサイエンス企業を設立―などの前向きの話もあった。

The Pink Sheet  1月14日号
 

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