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ASCO・Presscast 耐えうる運動強度が大きい中年男性はがん発症、がん死のリスクが低い

公開日時 2013/05/17 05:01

耐えうる最大運動強度が大きい中年は、大腸がん、肺がんの発症リスクおよび大腸がん、肺がん、前立腺がんによる死亡リスクが低いことが明らかになった。1万7049例を登録し、20年間前向きに追跡した大規模研究の結果から示された。Vermont Cancer CenterのSusan G. Lakoski氏が、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次会議に先立って開催された“May 15 Presscast”で15日(米国EST時間)、報告した。(医療ライター/リポーター 中西美荷)


対象は、Cooper Instituteにおいて、平均50±9歳の時に、疾患予防健康診断の一貫として心肺フィットネスの評価を行った男性1万7049例。トレッドミルを用いた最大運動負荷試験によって評価した、耐えうる最大運動強度の指標である“心肺フィットネス(METs=運動時酸素摂取量(VO2)/安静時酸素摂取量(VO2))”の数値に応じて5群に分けた。その後、メディケアの請求データに基づき、米国男性の3大がんである、肺がん、大腸がん、前立腺がんについて、発症数、がん発症例における死亡数、死因を調査し、心肺フィットネスとの関連を検討した。追跡期間は診断が20年、全死亡が25年。

前立腺がんと診断されたのは2332例、大腸がん276例、肺がんは277例だった。全死亡は769例で、がん死347例、心血管死159例だった。


◎肺がんリスク68%、大腸がんリスク38%低減


がん種別に発症リスクと心肺フィットネスとの関連をみたところ、心肺フィットネスが最も高い群は、最も低い群に比べ、肺がん発症リスクが68%、大腸がん発生リスクが38%低減していた。一方で、前立腺がん発症リスクとの関連はみられなかった。疾患特異的死亡リスクは、いずれのがん種でも、心肺フィットネスが高いほど低かった。


一方、がん死リスクは、心肺フィットネスが最も高かった群では、最も低かった群と比べ64%低減した。心血管死リスクも61%低減していた。心肺フィットネスが1MET(3.5ml/kg/min)改善することで、がん死リスクが14%、心血管死リスクが23%有意に低減することも分かった。


◎Lakoski氏「心肺フィットネスが予後予測因子として有用」


Lakoski氏は、「予防健康管理上、心肺フィットネスは、がん発症リスクおよびがんの予後予測において有用だ」との見解を示した。また、心肺フィットネスが最も低かった群では、肥満でないにもかかわらず、がん死、心血管死のリスクが高かったことを指摘。減量よりも、むしろ心肺フィットネスの改善に着目した生活習慣改善が重要であるとした。


2012-2013 ASCO会長のSandra M. Swain氏は、心肺フィットネスが心血管死の予後予測因子であることはこれまでにも示されてきたとした上で、「がんについても、独立した強い予後予測因子であることが、前向き大規模試験で、はじめて示された」と今回の研究の意義を強調した。他のがん種や女性について今後さらなる検討が必要とした上で、「わずかな生活習慣の改善で、がんのリスクを低減できる可能性が示唆されたことの意義は大きい」との見解を示した。
 

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