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ノバルティス社  腫瘍領域での成功は科学の深い洞察から

公開日時 2013/09/19 03:50

抗がん剤売上世界第2位のスイス・ノバルティス社は、抗がん剤開発の絶頂にある。20数個の既知の腫瘍パスウェイを標的とした新規化合物とともに、ノバルティス社のパイプラインは、高度に特異的な単剤療法と坑がん剤耐性の克服と特定の患者集団を標的とした賢明な併用療法(コンビネーション)との組み合わせを可能にした数10年にわたる科学的洞察に依存してきた。


同社のHerve Hoppenot腫瘍部門長は、「Gleevecの体験に戻ることが、がんのパスウェイに対して特異的なキナーゼ阻害剤を設計することによるがんコントロール法があることをノバルティス社に確信させてきた。そして、これらパスウェイが妥当で発がん性を持ち、がんのタイプが判明すれば、腫瘍の成長を停止させる併用療法(製品)を作ることが出来る」と話している。


ノバルティス社にとって、過去の成功に基づくがん生物学の広範囲の体系的な知識を形成するという、この能力は、同社に、抗がん剤分野で楽勝しているマーケットリーダーのロシュ社に次ぐNo.2の位置をキープさせている。また、同社は、2000年にがん事業を単一のタテ組織とした初の大企業となり、内部シナージーからも恩恵をこうむっている。


IMSヘルス社によると、ロシュ社の成功の理由の一部は、既存知識のうえに積み上げて進歩をさせる能力と研究に打ち込むことに帰することが出来る。ロシュの2012年の抗がん剤の売上は193億ドルである。


ノバルティス社の抗がん剤の売上は67億ドルで、Gleevec/Glivec(イマチニブ)の2012年の売上だけで47億ドル(米国売上17億ドル)である。同剤は、まず、2001年に成人および小児におけるフィラデルフィア染色体陽性の慢性骨髄性白血病(CML)の画期的新薬として承認されたが、2015年半ばに特許が切れる。ノバルティス社は、同剤について、最初の成功を合計10の適応を持つメガブロックバスターに変えた。今年1月には、新規に診断された小児のフィラデルフィア染色体陽性のリンパ芽球性白血病の適応を取得した。


Gleevec/Glivecの特許切れをまえに、同社は、より強力な次世代BRC-ABLチロシンキナーゼ阻害剤Tasigna(ニロチニブ)への転換を積極的に進めてきた。Tasignaは、すでにGleevecよりも優越性を示し、フィラデルフィア染色体陽性CML患者のサブポピュレーションを治癒することが出来るかどうかの試験を行ってきた。
ノバルティス社が、素早く開発を進めている未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤LDK378は、同社が既知の研究成果のうえに如何に成果を積み上げるかの好例である。


Hoppenot腫瘍部門長は、LDK378は、科学が実際に開発プロセスを動かすという例示の1つと指摘したうえで、「非常に特異的かつ標的をめざした製品を開発するために発がん遺伝子転座が初めて同定された10年前に我々は(同剤の)開発し始めた」と説明する。


LDK378がヒト初回投与試験(first-in-man study)に入った時に、同社はすでにALK陽性の患者に注目していた。そして、そのことは、治験医師に従来の用量漸増試験を実施させるばかりでなく、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者で米ファイザー社のALK阻害剤Xalkori(クリゾチニブ)に無効な患者への試験を実施させた。


LDK378は、今年3月にFDA(食品医薬品局)からセカンドライン薬として「画期的新薬」の指定を受けた。拡大フェーズII試験のデータは、非常に良好だったので、「承認申請に使えると信じている」(Hoppenot腫瘍部門長)としている。ノバルティス社は、同剤についてヒト初回投与試験から2014年の承認申請まで3年の時間枠をめざしている。


同社は、現在、抗がん剤のパイプラインに25の異なるNCE(新規化合物)を持ち、広範囲のパスウェイをカバーしている。Hoppenot腫瘍部門長は、「多くのパスウェイが活性化される、これら腫瘍の多数について、開発プロセスのなかで、早期にこれら併用療法が可能となるチャンスが与えられるかも知れない」と期待感を示している。
また同部門長は、「我々が運営している開発プログラムのビジョンは、(遺伝子)変異のコンビネーションと製品のコンビネーション(併用療法)とのマッチングを見つけることに由来する途方もない広がり(発展)の始まりである」とし、「合理的な併用療法は、GleevecがCMLをブロックするために開発されたのと同様の方法で開発されうる」と説明した。


技術的に言えば、新規物質同士のコンビネーション(配合剤)は、両製品が配合されるまえに両製品の一方の用量漸増試験から始まる。


Hoppenot腫瘍部門長は、「我々が、安全性プロファイルと生物学的活性を示す用量に満足したらすぐに、併用療法が患者にベネフィットをもたらすと信じる理由があると考えることが出来るので、他剤との併用療法開発に着手する」と話した。


<ノバルティス社の抗がん剤パイプライン>
腫瘍パスウェイを標的とした17プログラム

AEB071:経口PKC阻害剤
BGJ398:経口FGFR阻害剤
INC280:経口c‐Met阻害剤(Incyte社から導入)
LCL161:経口IAP阻害剤
LEE011:経口CDK4/6阻害剤(Astex社から導入)
LGK974:経口Porcupine阻害剤
LFA102:プロラクチン受容体モノクローナルAb
AUY922:IV Hsp90阻害剤(POC:概念実証、2011年4月)(Vernalis社と共同開発)
MEK162:経口MEK1/2阻害剤(POC、2011年11月)(Array Pharma社から導入)
LGX818:経口RAF阻害剤(POC、2012年2月)
LDL378:経口ALK阻害剤(POC、2012年5月)
BYL719:経口PIK3CA阻害剤(POC、2012年9月)
LGH447:経口PIM阻害剤(FPFV=first patient first visit:初回患者登録、2012年4月)
VAY736:BAFF-Rモノクローナル抗体(FPFV、2012年7月)
LJM716:HER3モノクローナル抗体(FPFV、2012年7月)
CFG920:経口CYP17阻害剤(FPFV、2012年第3四半期)
CGM097:経口HDM2/P53 阻害剤(FPFV、2013年第1四半期)
(出典:ノバルティス社)

  The Pink Sheetより

 

 

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