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【速報】薬価改定告示 市場拡大再算定で全てのDPP-4阻害薬10%引き下げ

公開日時 2014/03/05 10:05

厚労省は3月5日、2014年度薬価基準の全面改定を官報告示した。4月の消費税率3%アップ分を含め薬価ベースで2.65%の引き下げを4月1日に実施する。市場拡大再算定は11成分22品目に適用され、経口血糖降下薬のDPP-4阻害薬は10%引き下げる。抗リウマチ薬で炎症反応に関与するTNFαに対する抗体医薬品のレミケードなども一部規格を除き10.9%引き下げる。薬価を実質的に維持する新薬創出加算は397成分758品目に適用され、前回12年度改定より30成分56品目増えた。この中にはARBで唯一、武田薬品のアジルバが適用を受ける。

 
以下の「関連ファイル」から、厚労省が3月5日午前に発表した2014年度薬価基準改定の概要と別添資料をダウンロードできます(無料)。
 
DPP-4阻害薬ではジャヌビア/グラクティブに市場拡大再算定が適用され、その類似薬のエクア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア、スイニー、オングリザも再算定される。一方、抗リウマチ薬で炎症反応に関与するTNFαに対する抗体医薬のレミケードに再算定が適用されて10.9%引き下げられ、その類似薬のヒュミラ、シンポニー、シムジアも、一部の規格を除き、同程度引き下げる。なお、抗体医薬ではないエンブレルは市場拡大再算定の対象にならないうえ、薬価が維持される新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、新薬創出加算)が適用された。
 
市場拡大再算定対象品目は、使用方法の変化や効能追加などがあった医薬品の薬価について、使用量が増大した使用実態などに合わせて見直す仕組み。年間150億円以上の販売があり、薬価収載時の予想販売額と比べ実際の販売額が2倍以上となった製品が原則対象となる。その対象品目と競合している医薬品との間で公平な薬価改定を行うため、対象品の薬理作用類似薬(類似品)も再算定される。
 
薬価収載時に類似薬効比較方式で薬価算定された医薬品は最大15%、原価計算で薬価算定された医薬品は最大25%の引き下げを受けるが、今回は消費税率引き上げへの対応分が上乗せされているため、見かけは引き下げ率が低く見える。引き下げ率は次のとおり。
 
【対象品】
▽ジャヌビア錠(MSD)/グラクティブ錠(小野薬品):2型糖尿病用薬:10.1%
【類似品】
▽エクア錠(ノバルティス):10.1%
▽ネシーナ錠(武田薬品):10.0~10.1%
▽トラゼンタ錠(日本ベーリンガーインゲルハイム):10.0%
▽テネリア錠(田辺三菱製薬):10.1%
▽スイニー錠(三和化学研究所):10.0%
▽オングリザ錠(協和発酵キリン):10.1%
 
【対象品】
▽レミケード点滴静注用(田辺三菱製薬):関節リウマチ治療薬:10.9%
【類似品】
▽ヒュミラ皮下注(アッヴィ):8.4%と10.9%
▽シンポニー皮下注(ヤンセンファーマ):10.9%
▽シムジア皮下注(ユーシービージャパン):10.9%
 
ヒュミラの中で引き下げ率8.4%となったのは同剤の40mgシリンジ0.8mL規格で、希少疾病の「腸管型ベーチェット病」の効能追加による加算ルールが適用され、引き下げ率が緩和された。
 
そのほか主たる効能効果、用法用量に変化のあった医薬品を対象とする用法用量変化再算定には、気管支喘息治療薬ゾレア皮下注用(ノバルティス)の1成分2品目が適用され、皮下注用75mgは35.1%引き下げ、同150mgは35.4%引き下げとなった。
 
■長期収載品引き下げ新ルールに1118品目
 
今回改定で導入された、後発品収載から5年が経過しても、後発品が数量シェアで60%未満の長期収載品(後発品のある先発品)の薬価を最大2%引き下げる新ルールには1118品目が適用された。長期収載品は1562品目のため、7割に相当する。
後発品置き換え率20%未満(2.0%引き下げ):361品目
後発品置き換え率20%以上40%未満(1.75%引き下げ):432品目
後発品置き換え率40%以上60%未満(1.5%引き下げ):325品目
 
 
■新薬創出加算品目数上位10社 内資はアステラスと第一三共のみ
 
新薬創出加算の適用品目は外資系メーカーに目立つといわれるが、14年度薬価改定ではその状況が顕著に見られた。ファイザーの55品目を筆頭に、品目数上位10社のうち8社が外資系メーカーとなった。上位10社のうち内資系メーカーは、8位のアステラスと第一三共のみで、各25品目だった。国内売上トップの武田薬品は7品目で、27位だった。上位10社は次のとおり。
1 ファイザー(30成分55品目)
2 グラクソ・スミスクライン(24成分47品目)
3 ノバルティスファーマ(19成分36品目)
4 ヤンセンファーマ(17成分35品目)
5 中外製薬(15成分35品目)
6 MSD(20成分34品目)
7 アストラゼネカ(11成分26品目)
8 アステラス製薬(11成分25品目)
8 第一三共(12成分25品目)
8 日本イーライリリー(7成分25品目)
 
なお、国内医療用売上高1000億円以上(編集部調べ)の内資系メーカーでは、12位に大塚製薬(9成分21品目)、13位大日本住友製薬(11成分20品目)、16位塩野義製薬、小野薬品(いずれも7成分15品目)、18位田辺三菱製薬(8成分13品目)、27位武田薬品(5成分7品目)、41位大正製薬(2成分4品目)――だった。
 
■新薬創出加算 ARBアジルバ 新規抗凝固薬4成分も
 
新薬創出加算では、市場競争が激しい領域の一つであるARB市場ではアジルバ(12年5月発売)が唯一適用となった。11年~13年にかけて発売された新規の経口抗凝固薬のプラザキサ(11年3月発売)、リクシアナ(11年7月発売)、イグザレルト(12年4月発売)、エリキュース(13年2月発売)――の4成分もそろって加算を獲得。国内売上1000億円にのぼる抗血小板薬プラビックスも適用された。また、市場競争の激しい認知症治療薬ではメマリー、レミニール、イクセロン、リバスタッチといった特許期間中の製品すべてで加算を受けた。
 
■前回市場拡大再算定の10成分が新薬加算に 
 
前回12年度に市場拡大再算定を受けて大幅な薬価引き下げとなった16成分のうち、今回改定では10成分が新薬創出加算の適用を受けた。具体的には消炎鎮痛薬セレコックス、疼痛治療薬リリカ、認知症治療薬レミニール、降圧剤アーチスト、抗がん剤ネクサバール、抗がん剤スーテント、がん骨転移用薬ゾメタ、抗がん剤アリムタ、抗がん剤エルプラット、抗がん剤アバスチン、抗リウマチ薬アクテムラ――となる。製品ポテンシャルが高いから再算定に受けるわけだが、結果的に薬価が大幅に下がったうえに製品ポテンシャルは高いから値引きしなくても売れるために、次回改定で新薬創出加算の適用を受ける、といった構図といえそうだ。
 
一方、12年度改定で新薬創出加算を適用されたものの、▽薬価収載から15年超▽後発品が登場する――などして加算要件から外れ、ルールに基づき加算相当額を返還する措置がとられたのは57成分105品目あった。一例をあげると、入眠薬マイスリー、抗精神病薬セロクエル、抗がん剤ティーエスワン、同アリミデックス、抗菌薬ジスロマック、喘息治療薬フルタイドなどとなる。そのほか、今回、加算適用品目を持っていても、小児やオーファン領域の医薬品開発をしていない企業の品目については、加算の適用から外すルールが導入されたが、同省の資料では10品目あり、いずれも後発品や輸液のメーカーなどで、新薬メーカーではなかった。
 
以下の関連ファイルから、厚労省が3月5日午前に発表した2014年度薬価基準改定の概要と別添資料をダウンロードできます(無料)。別添資料には、新薬創出加算の具体的な品目などが記載されています。
 
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