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ノバルティス・コッシャ社長 信頼回復に向け「企業文化を変革」 改革は道半ば

公開日時 2015/06/10 03:52

ノバルティスファーマのダーク・コッシャ代表取締役社長は6月9日、都内で記者会見し、ARB・ディオバンの臨床不正問題など一連の不祥事からの信頼回復に向けて、「企業文化の変革」に取り組んでいることを明らかにした。ただ、ディオバン問題の公判を控えていることもあり、「まだゴールには達していない。真摯に受け止め、信頼回復に向けてあらゆる努力を払っていく」と述べ、改革が道半ばであるとの認識を示した。一方で、革新的新薬の創出が企業としての使命との認識を示した。同社の強みである開発力を生かし、オンコロジー領域などアンメット・メディカルニーズの高い領域での新薬創出を通じ、医療に貢献する姿勢も強調した。


同社は、臨床研究へのMRへの不適切な関与などを受け、2014年4月に経営陣を刷新した。就任から1年を経過してコッシャ社長は、「これまでの軌跡と、(信頼回復に向け)これから1年間何をしていくか伝えるタイミングだったと思った」と会見に臨んだ心境を語った。


◎評価体系 売上ベースから行動指針重視へ


再発防止に向けて同社は、奨学寄付金の提供を取りやめて医師主導臨床研究の資金提供を契約型に改めたほか、副作用報告のプロセスの変更、コンプライアンス研修の徹底など、これまでのプロセスを見直し、変革を行ってきた。


ガバナンスの強化にも取り組んだ。全社員で重視する価値観を共有し、行動指針も見直した。評価体系も見直し、2014年半ばから売上ベースからコンプライアンス遵守を加え、行動指針を重視するよう変更した。「信頼回復をするためには、売上だけが重要な要素ではない」(コッシャ社長)との考えからだ。


その上で、今後再発を防止し、信頼を回復するためには、企業文化を変革し、また社内でそれを根付かせていくことが重要との考えをコッシャ社長は示した。一連の問題の原因を「社員と経営陣のコミュニケーションが不足していたことと考えている」とした上で、「社員の誰もが意見や考え、悩みを積極的に伝えることができる」企業文化を根付かせることが重要とした。社員からのQ&Aの設置やタウンホールミーティングの開催、社長自らがフィールドに赴くなどの取り組みを通じ、社員の声にも耳を傾けてきた。今後も「社員に質問し、彼らの懸念を聞き、吸い上げていく」プロセスを継続することで文化を築き上げていくことが重要との考えを示した。また、このプロセスにおいては、現状の問題を全社員で共有するなど、透明性を高めることが必要との考えも示した。


ただ、コッシャ社長が信頼回復のゴールに掲げる「医療関係者のパートナーに再度なる」ためには、「改革は進んでいるが、まだ十分とは言い難い」ことも強調した。



◎ MSL通じた情報提供に力 100人体制から増員へ


MRのプロモーション活動をめぐっては、契約にもとづく医師主導臨床研究のデータしか用いることはできないように改めた。契約型の医師主導臨床研究はすでに14件が締結され、5件は準備段階だ。ただ、現段階では、これまでの臨床研究結果を用いることはできないこととなり、MRのプロモーションのあり方も変化することが予想される。


コッシャ社長は、MRの役割について「メディカル関連の活動か医師主導臨床研究に絶対かかわってはいけないと思う」と述べ、適応内の情報提供に注力することの重要性を強調した。その上で、同社のパイプラインが、オンコロジー領域など専門領域へとシフトすることから、「サイエンスベースの学術的な情報提供をしていく」ことが重要とした。


その上で、学術的なバックグラウンドをもち、売上などの数値目標をもたないメディカルサイエンスリエゾン(MSL)を通じた情報提供も必要との考えを示した。同社のMSLは、現在100人体制だが、今後増員する考えも示した。
 

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