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厚労省 武田薬品に誇大広告で業務改善命令 CASE-Jの“ゴールデン・クロス”で

公開日時 2015/06/15 03:50

厚生労働省は6月12日、武田薬品のARB・ブロプレス(一般名:カンデサルタン)の臨床試験「CASE-J」をめぐり、“ゴールデン・クロス”と銘打つなど誇大広告があったとして、医薬品医療機器法(薬機法)に基づく業務改善命令を出した。誇大広告で、薬機法第66条違反として、行政処分が行われるのは初めて。武田薬品に対しては、広告審査・管理体制の整備などの改善計画を1か月以内に提出することを求めた。


誇大広告の対象となったのは、▽記事体広告「CASE-Jに学ぶ(2006年10月、Medical Tribune)」、▽広告「切り札は多い方がいい(2010年3月、日経メディカル)」--の2種類の医療関係者向け広告資材。


同試験をめぐっては、CASE-J試験の結果を示す心血管イベント発現頻度の図表が、学会発表時や論文掲載の図表と完全に一致せずにズレがあったこと、資材を通じて強調された長期投与の有効性が示された42か月以降のデータが論文化されていないことなどが指摘されていた。


「CASE-Jに学ぶ」では、脳卒中などの発現率を示すグラフを問題視した。問題点は2つ。まず、グラフが論文化されたグラフなど、正しいグラフに比べて、発現率が低く見えるようにしたこと。もうひとつが、グラフでは、対照薬であるCa拮抗薬・アムロジピンと統計学的な有意差がないにもかかわらず、長期間服用した場合に発現率が下回ることを強調されていたことだ。長期服用(42か月以降)で、ブロプレスがCa拮抗薬・アムロジピンに比べて、良好な心血管イベント抑制効果を示しているように見えるよう、交差部分については、「矢印を用いて「ゴールデン・クロス」という最大級の表現で強調した」と指摘した。


「切り札は多い方がいい」は、「CKD」、「糖尿病」、「夜間高血圧」、「高齢者」、「OVER140/90」のカードを持つ相手に対して、黒く光り輝くカードを持つことを示した広告。黒く光り輝くカード(=ブロプレス)が効果を示すことを、ビジュアルに訴えかけている。ブロプレスは、糖尿病の適応をもっておらず、“切り札”という強い表現で、副次的効果を端的に提示したことが問題視された。



◎広告審査体制の整備を 過去の資材も継続的な審査求める


処分内容は、第一種医薬品製造販売業の改善命令(薬機法第72条の4第1項)に基づき、広告などの審査体制整備を求めた。具体的には、▽広告の審査体制を、内部職員による社内審査にとどまらず、外部有識者等を含めたものに整備、▽過去に作成した項目についても、外部有識者の意見等も踏まえ、最新の知見に基づく見直しが速やか、かつ継続的に行われる審査体制・社内体制の整備、▽再発防止のため、広告等の作成・審査に携わる社員および管理職に対し、薬機法をはじめとした法令、通知、プロモーションコードなどの業界自主基準の周知徹底、適切な教育訓練の充実––を求めた。


なお、武田薬品は、問題発覚後、再発防止策として、コンプライアンス推進を行う部署の新設など、審査体制の強化を図っていることを2014年10月に公表している。


同社は、「ブロプレスの血圧低下作用や安全性について疑義が生じているものではない」とした上で、業務改善命令を受けたことについて「真摯に反省するとともに、心よりお詫び申し上げる」とコメントしている。
 

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