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薬食審・第一部会 新薬など11製品を審議 全て承認了承 抗凝固薬イグザレルトでVTE適応、DPP-4阻害薬の週1製剤など

公開日時 2015/08/31 03:51

厚労省の薬食審医薬品第一部会は8月28日、新薬など11製品の承認の可否について審議し、全て承認することを了承した。この中には、国内2剤目の週1回DPP-4阻害薬マリゼブ錠(一般名:オマリグリプチン、申請会社:MSD)や、国内初のDPP-4阻害薬とメトホルミン製剤との合剤であるエクメット配合錠(同ビルダグリプチン・メトホルミン塩酸塩、ノバルティス)がある。また、今年2月に承認了承が見送られたバイエルの経口抗凝固薬イグザレルト錠に「深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症の治療と再発抑制」の効能・効果を追加することも今回、了承された。いずれも9月下旬~10月上旬に承認される見込み。

【審議品目】(カッコ内は成分名と申請社名)

ムルプレタ錠3mg(ルストロンボパグ、塩野義製薬):「待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

慢性肝疾患では様々な要因によって末梢血中の血小板数の減少が生じる。慢性肝疾患患者は肝疾患の診断や合併症の治療などで観血的な検査や手術などが実施されることが多いが、血小板数が5万/μL未満まで減少している場合は、出血リスクが高くなることから、血小板数を増やす必要がある。

同剤は経口投与可能な低分子のトロンボポエチン受容体作動薬。同受容体に作用することで、造血幹細胞・巨核球系前駆細胞から血小板を産生する巨核球への増殖・分化を促進し、その結果として血小板数を増加させる。同剤の投与対象患者数は年間約1万6300人とされる。

日本で同様の効能・効果を持つ医薬品は承認されていないが、同じ機序の経口薬として、エルトロンボパグ オラミン(一般名、製品名:レボレード錠)が慢性特発性血小板減少性紫斑病の効能・効果で承認されている。海外では15年5月現在、承認されている国・地域はない。

イグザレルト錠10mg、同錠15mg(リバーロキサバン、バイエル薬品):「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余期間(20年1月17日まで)。

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症、以下VTE)は未治療で放置すると肺高血圧や血栓後症候群といった合併症を引き起こし、特に肺血栓塞栓症では致命的な転帰をとることもある。VTEは年間4万人程度が発症すると推測されている。

同剤は血液凝固に関与する活性型血液凝固第X因子を選択的に阻害して血栓形成を抑制する経口薬。12年1月に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」で承認された。今回追加するVTEの用法・用量は、「通常、成人には発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する」というもの。ちなみに、これまでの脳卒中などの発症抑制では、「通常、成人にはリバーロキサバンとして15mgを1日1回食後に経口投与する」となっており、VTEに用いる場合は1日2回投与で治療を始めることに留意が必要となる。

VTEの適応を持つ類薬には、同様の作用機序のエドキサバントシル酸塩(一般名、製品名:リクシアナ錠)や最も汎用されているワルファリンカリウム(同ワーファリン錠)などがある。イグザレルト錠は治療の選択肢を増やすものとなるが、ワーファリン錠と異なり、発症初期に注射薬の投与が必須ではない点が特徴となる。

なお、イグザレルト錠のVTE適応の追加は2月20日にも審議されたが、「承認の可否を判断するにあたり懸念されることがあった」(厚労省医薬食品局担当官)ため、継続審議扱いとなった。この日も同担当官は「他剤についても審査の中身は話していない」ことを理由に具体的な懸念内容は明らかにしなかった。ただ、「(今回改めて)懸念される事項を含めて審議し、承認して差し支えないということになった」「懸念を払しょくするような資料を含め、きちんと審議した」と説明し、懸念の内容は後日公表される議事録で確認してもらいたいと語った。これまでのケースでは議事録は約半年後に公表されている。

ベンテイビス吸入液10μg(イロプロスト、バイエル薬品):「肺動脈性高血圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。

肺動脈性肺高血圧症(以下、PAH)は肺血管の内腔が狭窄することで肺血圧が上昇し、心不全を呈する。初期には息切れ、疲労感などが現れ、進行すると致命的な疾患。患者数は2300人程度とされる。

同剤はプロスタグランジンI2(PGI2)誘導体で、PGI2と同様に血管拡張作用及び血小板凝集抑制作用を示すことで病態を改善する。同様の効能・効果を持つPGI2誘導体の類薬には、エポプロステノールナトリウム(一般名、製品名:静注用フローラン)、トレプロスチニル(同トレプロスト注射液)、ベラプロストナトリウム(同ドルナー錠)があり、ベンテイビス吸入液は新たな治療の選択肢となる。海外では、15年6月現在、70以上の国・地域で承認されている。

トラクリア小児用分散錠32mg(ボセンタン水和物、アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン):「肺動脈性高血圧症」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は6年と1日。希少疾病用医薬品。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。

小児の肺動脈性肺高血圧症(以下、PAH)患者は300人程度とされる。同剤はエンドセリン受容体拮抗薬。血管収縮作用を有するペプチドホルモンであるエンドセリンの受容体を阻害して、肺血管拡張作用などを示す。

PAHを効能・効果とするエンドセリン受容体拮抗薬はアンブリセンタン(一般名、製品名:ヴォリブリス錠)、マシテンタン(同オプスミット錠)があるが、いずれも小児適応を持ってない。このためトラクリア小児用は、小児PAH治療の第一選択薬となる。海外では、15年3月現在、欧州、スイス、メキシコで承認されている。

なお、有効成分であるボセンタン水和物は05年4月にPAHの適応で承認され、標準的治療薬として約10年の使用経験がある。このため部会では、小児用について10年の使用成績調査は必要ないと判断された。関連法規では、希少疾病用医薬品の再審査期間は6年を超え、10年を超えない範囲とされていることから、最も短い「6年1日」となった。

ラミクタール錠25mg、同錠100mg、同錠小児用2mg、同錠小児用5mg(ラモトリギン、グラクソ・スミスクライン):「てんかん患者の定型欠神発作に対する単剤療法」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。

定型欠神発作は、まばたきしながら何かをじっと見つめたりするなど、周囲の状況が全く認識できなくなるような発作が10~30秒間続く。5~15歳の小児期に始まるが、通常は成人期まで続くことはない。同発作は小児てんかん患者の約2.6%でみられる。

同剤は神経細胞の過剰興奮を抑えることで抗てんかん作用を示す。類薬には、定型欠神発作に対して使用可能な抗てんかん薬として、バルプロ酸ナトリウム(一般名、製品名:デパケン細粒等)やエトスクシミド(同エピレオブチマル散等)があり、両剤とも同発作の第一選択薬。ただ、有害事象などで両剤が使用できない患者などでラミクタール錠が治療の選択肢のひとつとなる。海外では、14年9月現在、英仏独などで承認されている。

イフェクサーSRカプセル37.5mg、同SRカプセル75mg(ベンラファキシン塩酸塩、ファイザー):「うつ病、うつ状態」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

うつ病の患者数は08年に104.1万人。同剤は国内3番手のセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(以下、SNRI)。同様の効能・効果を持つSNRIには、デュロキセチン塩酸塩(一般名、製品名:サインバルタ)とミルナシプラン塩酸塩(同トレドミン)がある。海外では、97年にスイスで大うつ病性障害の適応で承認されて以降、14年11月現在で欧米など91の国・地域で承認されている。

コパキソン皮下注20mgシリンジ(グラチラマー酢酸塩、武田薬品):「多発性硬化症の再発予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。希少疾病用医薬品。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。

多発性硬化症(以下、MS)は中枢神経系の脱髄疾患のひとつで、視力障害、複視、有痛性強直性けいれんなど多彩な神経症状が再発と寛解を繰り返す。患者数は約1.7万人。

同剤は、抗原提示細胞の表面に存在する主要組織適合遺伝子複合体分子に結合し、抗原特異的なT細胞の活性化を阻害するなどしてMSに対する作用を示す。1日1回皮下投与する。

世界各国で約20年にわたって使用され、MSの第一選択薬となっている。日本での第一選択薬はインターフェロンベータ-1a(遺伝子組換え)(一般名、製品名:アボネックス筋注)やインターフェロンベータ-1b(遺伝子組換え)(同ベタフェロン皮下注)だが、うつ病等の有害事象の発現や中和抗体の生成などの問題があり、コパキソンは治療選択肢のひとつとなる。海外では、14年10月現在、欧米など59の国・地域で承認されている。

なお、武田薬品は13年前半に、同剤を開発したテバファーマスーティカル社との間で日本で製品化するライセンス契約を締結した。開発はテバが、申請は武田が行った。

ピートルチュアブル錠250mg、同チュアブル錠500mg(スクロオキシ水酸化鉄、キッセイ薬品):「透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

慢性腎不全患者では腎機能低下によりリン排泄が低下し、高リン血症を発症する。高リン血症は動脈硬化の原因となる血管の石灰化のほか、骨の変形、骨痛、骨折を誘発する可能性がある。

同剤は、消化管内で食事由来のリン酸と同剤に含まれる鉄との結合作用によって難溶性の沈澱を形成することで、リンの吸収を抑制するリン吸着薬。特に既存薬に認められる安全性上の懸念が少ないことが特徴。

例えば同剤は、酸化水酸化鉄(III)/スクロース/デンプンから成るカルシウムを含有しないリン吸着薬のため、高カルシウム血症の懸念がない。非ポリマー性のため、ポリマー性の経口リン吸着薬で認められる便秘や腸閉塞などの重篤な胃腸障害の発現リスクが低いと考えられている。さらに生体内必須金属元素である鉄を主成分としているため、類薬の炭酸ランタン水和物で危惧される生体内非必須金属元素であるランタンの長期投与に伴う骨への蓄積のような懸念も少ない。

海外では15年5月現在、欧米35か国で承認されている。

ザガーロカプセル0.1mg、同カプセル0.5mg(デュタステリド、グラクソ・スミスクライン):「男性の男性型脱毛症における発毛及び育毛、脱毛(抜け毛)の進行予防」を効能・効果とする新効能・新用量・その他・剤形追加に係る医薬品。再審査期間4年。

日本人成人男性の男性型脱毛症の発症頻度は約30%とされ、1260万人いると推定されている。

申請会社のGSKは、有効成分のデュタステリドで前立腺肥大症を効能・効果とするアボルブカプセル0.5mgの承認を取得している。アボルブカプセルと識別できるよう、ザガーロカプセルはカプセル剤皮の色を変更しているという。また、男性型脱毛症の効能・効果では保険適用外となる見込みのため、製品名も変えたとみられる。

男性における男性型脱毛症の効能・効果を持つ類薬には、作用機序がザガーロカプセルと同じ5α還元酵素阻害薬のフィナステリド(一般名、先発品名:プロペシア錠)があり、ザガーロカプセルは新たな治療選択肢のひとつとなる。海外では、14年9月現在、韓国で承認されている。

マリゼブ錠12.5mg、同錠25mg(オマリグリプチン、MSD):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。

週1回投与のDPP-4阻害薬。用法・用量は「通常、成人にはオマリグリプチンとして25mgを週1回経口投与する」。

既存のDPP-4阻害薬は連日投与製剤が7成分、週1回投与製剤が1成分ある。このためマリゼブ錠は9成分目のDPP-4阻害薬であり、週1回製剤としてはトレラグリプチンコハク酸塩(一般名、製品名:ザファテック錠)に次ぐ2番手となる。海外では、15年6月現在で承認されている国はない。欧米では同年3月現在でフェーズ3段階にある。

エクメット配合錠LD、同配合錠HD(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩、ノバルティスファーマ):「2型糖尿病(ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間4年。

DPP-4阻害薬とビグアナイド(BG)系薬による国内初の合剤。同配合錠の有効成分の含有量は、DPP-4阻害薬ビルダグリプチンが「LD」「HD」とも50mg、BG系薬メトホルミンが「LD」に250mg、「HD」に500mgとなる。同配合錠は1回1錠を1日2回(朝、夕)経口投与して用いる。

同配合錠の臨床上の位置付けについては、ビルダグリプチン及びメトホルミンの併用療法が「医療現場で特段の問題なく行われている実態が確認されて」いるとして、「本配合剤を2型糖尿病の治療薬として位置付けることに大きな問題はない」としている。海外では15年6月現在、120の国・地域で承認されている。

なお、日本では、ビルダグリプチンは製品名エクア錠50mgとして同社から発売中。メトホルミンは製品名メトグルコ錠250mg、同錠500mgだが、今年6月にジェネリックが参入した。

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