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財政審 スイッチOTC化の医薬品保険給付引き下げ 17年法案提出 財務省が工程表提示

公開日時 2015/10/13 03:50

財務省は10月9日、財政制度等審議会財政制度分科会に、社会保障分野の改革工程表を提示した。年末の予算編成に向け、社会保障に関する本格的な議論がスタートした。工程表では、ス イッチOTC化された医療用医薬品にかかわる保険償還率の引下げや、かかりつけ医以外を受診した場合に現行の定率負担に加えて患者個人に少額の定額負担を求めることなどが盛り込まれた。いずれも、2016年末までのできる限り早い時期に結論を得て、その結果を踏まえて17 年の通常国会へ法案提出することが提案された。国が20年度までの基礎的財政収支(プラ イマリーバランス)黒字化を目指す中で、社会保障費は改革を行わなければ他のOECD諸国と比較しても膨大になることを示し、「歳出抑制を通じた収支改善 が不可欠」と指摘。診療報酬・薬価改定を控える中で、厳しさをにじませるものとなった。


改革工程表は、6月末に提示された経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針)に盛り込まれた社会保障関連44項目について、20年度までの改革の方向性と検討・実施時期を示したもの。20年度までに社会保障費の伸びを高齢化による増加分と消費税増税とあわせ行う社会保障の充実に相当する水準におさめることを目指す。特に18年度までを集中改革期間に位置付け、主要な改革プランを実施。経済・物価動向を踏まえ、実質的な増加を高齢化に相当する伸び(1.5兆円程度)を目安に伸びを抑制したい考え。改革工程表を速やかに具体化する中で、予断をもたずに検討するとした。


医薬品関連では、スイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付の引き下げをめぐり、市販品と同一の有効成分であっても処方薬の方が患者負担は少ないと指摘。公平性の確保や、セルフメディケーションが十分進んでいない状況を考慮して提案された。貼付薬や目薬、ビタミン剤、うがい薬、漢方薬などのOTC類似医薬品については、「処方の目的や方法にかかわらず、保険給付外とすべき」とした。16年度の診療報酬改定にかかわる議論の一環として、保険収載から除外する具体的な品目について年末までに結論を得ることも提案した。


◎ARBなど生活習慣病治療薬 処方ルールを速やかにガイドラインで明確化


生活習慣病治療薬の処方については、医薬品売上高を引き合いに、ARBが上位を占め、生活習慣病市場が巨大化している日本の市場の特殊性を示唆した。その上で、ARBを例にとり、「高価な降圧薬が処方されている」と指摘した。現在は、性や年齢、進行度、副作用のリスクなどに応じて医師の裁量権で処方が決定されているが、「費用対効果の導入と並行して専門家の知見を集約し、速やかに処方ルールにかかわるガイドラインの明確化を図る」とした。


費用対効果については、16年度診療報酬改定での試行的導入に向けて中医協でも議論が進んでいるところだが、再算定での導入だけでなく、「保険償還の対象とすることの可否の判断、保険償還額の決定等に活用可能な費用対効果の仕組みを導入すべき」とした。また、18年度改定での速やかな本格導入に向けて、試行の状況も踏まえたさらなる検討を行うことも盛り込まれた。


◎かかりつけ医 地域包括診療料の要件緩和検討



診療報酬関連では、かかりつけ医普及の観点から14年度改定で新設された地域包括診療料の要件緩和や、かかりつけ医以外を受診した際、少額の定額負担を導入することが盛り込まれた。地域包括ケアを推進する中でかかりつけ医が担う役割が重視される中で、診療報酬上の手厚いインセンティブを付けるとともに、担う役割を明確化することで、外来の機能分化をうながしたい考え。診療報酬上の対応については、16年度改定から見直しをすすめる。


療養病床については、地域間格差を是正し、病床数を減少させていく必要性を明確化した上で、医療必要度の高い患者が対象となる医療区分2,3の受療率で地域格差が大きいことを指摘。要件の厳格化、客観化を進めるべきとした。一方で、医療必要度の低い医療区分1については、人員配置を緩和するとともに、報酬の引下げも提案した。16年度改定で実現を図るとした。また、17年度までに介護療養病床を廃止することを改めて明確化し、効率的な受け皿への転換を含め、慢性期の効率的な医療提供体制を構築することを求めた。


後発医薬品の数量シェア80%達成に向けた診療報酬上の措置や、後発医薬品の価格算定ルールの見直し、真に有効な新薬の適正な評価、市場実勢価格を踏まえた薬価の適正化、調剤報酬にかかわる改革は、後日議論とされた。


そのほか、地域医療構想については16年度末までにすべての都道府県で策定することを求めた。25年段階の医療機能別病床数の達成、20年時点での中間目標の設定をKPIとする。また、16年10月の次期病床機能報告制度に用いることができるよう、新たな定量的基準の設定も求めた。
 

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