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16年度診療報酬改定を中医協に諮問 調剤チェーンの適正化は処方せん枚数で規定へ

公開日時 2016/01/14 03:51

塩崎恭久厚生労働大臣は1月13日、2016年度診療報酬改定について中医協に諮問した。同日の中医協で了承された次期改定に向けた議論を整理した骨子案をめぐり、看護配置7対1を取得する急性期病棟の基準見直しや、調剤報酬などが焦点となっている。調剤報酬では、大型門前薬局に対する評価適正化により、国費ベースで約40億円の医療費削減が求められていた。その中で、特定の医療機関からの処方せんの集中率に加え、“規模の大きい薬局グループ”を店舗数で規定し、調剤基本料を引き下げることも検討されたが、現段階でこの案は消滅し、同一グループ内での処方せん枚数をベースに規定する方向で調整が進められている。今後は、パブリックコメントや22日に開かれる公聴会での意見を踏まえ、2月10日にも答申される見通しだ。


大型門前薬局の評価適正化をめぐっては、医療経済実態調査の結果を踏まえ、20店舗をひとつの区切りとして調剤基本料の評価を見直すことも検討されてきた。しかし、日本保険薬局協会(NPhA)の強い抵抗や、一部の自民党議員からの批判などもあり、規模の大きい薬局グループの定義づけをめぐり改めて検討がなされており、同一グループ内での処方せん枚数により規定する案が浮上、調整が進められている。ただ、こうした調剤チェーンでも、かかりつけ薬剤師としての業務を一定以上行っている場合には特例の対象から除外する。一方、前回改定で盛り込まれた特例除外の要件である24時間開局は、今回は廃止する。かかりつけ薬剤師の評価については、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握して業務を実施すると定義づけ、薬学管理料での出来高評価に加え、調剤料や薬学管理料などの業務を包括的な点数での評価も可能にする。

この日の中医協で診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、大手調剤チェーン4社が多額の内部留保があることについて言及。医療経済実態調査の結果から1店舗では損益比率がマイナスであるのに対し、店舗数が増えるにつれ改善していると指摘し、「医療経済実態調査の結果から診療報酬との関係は明確だ。店舗数という言葉がどこにも含まれていないが、店舗数も十分含まれるという理解でよいか」と述べた。これに対し、中井清人薬剤管理官は、「店舗数が多いことも入っているだろうし、一般的にはそう答えられる」と述べた。中川委員は、「1号側、2号側、おおむね了承しているので、腰を引かないでほしい」と強調した。

そのほか、調剤後の継続的な薬学管理の推進に向けて、“やむを得ない事情がある場合等”と条件付きではあるものの、分割調剤の活用を可能にすること、これに伴う調剤基本料の見直しも盛り込んだ。


◎支払側「7対1病床数の適正化が次期改定の最大の目標」


この日の中医協では、7対1急性期病棟をめぐり、平均在院日数の短縮が明記されていないことについて支払側から疑義が示され、診療側、支払側の議論の応酬がみられた。骨子案では、重症度・医療看護必要度と、在宅復帰率の基準の見直しが盛り込まれた一方で、平均在院日数については言及していない。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「入院医療は最大の重点課題だ。平均在院日数の見直しを入れていただけなければ、今回の重点課題に対応したことにならない」と主張。従来からの主張である、重症度・医療看護必要度、在宅復帰率、平均在院日数の短縮の三点セットでの見直しを改めて求めた。その上で、14年度改定でも7対1病棟の厳格化がなされたが届け出病床は約1万7000床の減少にとどまっていることや、平均在院日数が長い病床では診療密度が低いことなどから、「前回見直しをしても減らなかったのは、少し甘かったのではないかということ。かなり厳しく7対1の施設基準を見直す必要がある。7対1病床数の適正化が、次期改定の最大の目標として認識している」と強調した。

これに対し、診療側の中川委員は、DPCデータでは予期さぬ再入院が増加していることや、7対1病床の届け出病床自体は微減であるものの病床稼働率が低下していることなどを引き合いに、「一貫して我々は平均在院日数の短縮は限界を超えていると申し上げた。平均在院日数の短縮が医療の姿を歪めてきた」と主張。「平均在院日数の短縮は時代遅れの考え方だ。医療密度が低いことは、医療資源投入量が少ないということだ。重症度・医療看護必要度は、前回の基準が実態に合わないということで見直そうとしている。7対1病床を減らすことが改革ではない。急性期、7対1病床のあり方を議論している」と述べた。

7対1病棟をめぐっては、7対1入院基本料から10対1への入院基本料へ転換する際に病棟群単位での届出を認める仕組みが盛り込まれたが、これについても支払側は激変緩和措置であることを強調。あくまで急性期病床削減の高い目標ありきでの議論が必要だとした。

両者の意見は一致がみられなかったが、田辺国昭会長(東京大学大学院法学政治学研究科教授)の調整により、骨子には明記せず、中医協で議論を継続すること、これを周知することで議論が収束した。

 

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