メディケアの処方薬が急激に高騰していることが、米国退職者協会（AARP）の最近の調査で明らかになった。（医療ジャーナリスト　西村由美子）

同協会は、米国の高齢者にもっとも広範に使用されている処方薬622種について最近数年間の価格変化を調査、 2012年1年間に 3.6%から7.6%値上がりしていたのに対し、2013年には1年間で平均9.4%の値上がり（ブランド薬は13％、ジェネリック薬は1.5%値上がり）であった。

実際の価格についてみると、使用頻度の高い医薬品の年間 処方量の合計価格の平均は2013年には$11,341で、2006年（平均%5,571であった）に比べ倍増 。がん治療などに用いられる高額医薬品の2013年の平均年間費用は$53,384であった。

$11,341という金額はメディケア受給者の平均年金受給額（$15,526）のおよそ75％、メディケア受給者の平均（メディアン）世帯年収（$23,500）のおよそ50％で、さらには高齢者世帯だけでなく65歳未満を含む全米の平均（メディアン）世帯収入（$52,250）の20％を超える額である。

調査担当者のインタビューに応えての米国製薬工業会の 説明は「 医薬品の値上がり率は他の医療費の伸びに準じており、医薬品だけが突出して高騰しているわけではない」であるが、これを受けての米国退職者協会は「このままでは高齢者は健康に過ごすために必要な医薬品を贖えない時が来るのではないか？」との危惧を表明している。

http://www.aarp.org/health/drugs-supplements/info-08-2010/rx_price_watch.html