産業革新機構、武田、メディパルHD 創薬ベンチャー設立 武田の腎・代謝・循環器領域を分離
公開日時 2017/03/15 03:50
産業革新機構と武田薬品とメディパルホールディングス(HD)は3月14日、共同出資によって創薬ベンチャー「スコヒアファーマ」を設立したと発表した。武田が研究開発の非重点領域である腎・代謝・循環器領域を新会社に分離。新会社は、武田が保有するパイプラインをライセンス契約して導入し、基本的にはPoC取得まで取り組む。その後の後期臨床試験、販売は他社に導出を図る。当面は、早期糖尿病性腎症などアンメットメディカルニーズに応える8つの研究開発プロジェクトに注力する。4月1日から事業を開始する。
革新機構によると、大手製薬企業の事業戦略見直しによる事業領域を分離する「カーブアウト」方式による創薬ベンチャーの設立は、日本で初めて。8プロジェクトのうち、臨床入りしているのは早期糖尿病性腎症治療薬を目指し臨床第2相試験を終えているレニン阻害薬と、第1相にある肥満症治療薬と糖尿病治療薬の候補。メディパルHDは製品化した販売に関する優先交渉権を持ち、約3000人のMSを活かした販促を視野に入れる。現段階では1社独占流通は考えていないという。
出資総額は100億円で、革新機構が70.5%、武田が19.5%、メディパルHDが10.0%を持ち、うち50億円が資本金。本社は神奈川県藤沢市にある武田薬品・湘南研究所に置き、従業員は37人の予定。研究者は武田から転籍する。社長には、武田の知的財産グローバルIPヘッドの奥村洋一氏(写真)を充てる。同氏は会見で「生まれたイノベーションを患者に届ける会社にしたい」と述べ、数年後に株式上場を目指すことを明らかにした。
新会社名は、薬・医療の神「少彦名」神と「健やか」を基にした造語。