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EFPIA・テリエ副会長 革新薬への患者アクセス求める「イノベーションはコストではない」

公開日時 2017/11/02 03:50

来日中の欧州製薬団体連合会(EFPIA)のジャン-クリストフ・テリエ副会長(次期会長、ユーシービーCEO兼経営委員会議長)は11月1日、都内で会見し、「イノベーションはコストではなく、投資だ。社会を将来的に守ることができる」と述べた。テリエ副会長は、「患者がアクセスできてこそ真のイノベーションとなる」と述べ、日本にも国民皆保険の下で、革新的な治療法を迅速に受けられる体制を維持するよう求めた。政府が薬価制度改革の抜本的な見直しに着手する中で、同日会見したEFPIA Japanのオーレ・ムルスコウ・ベック会長(ノボ ノルディスク ファーマ代表取締役社長)は、改めて新薬創出・適応外薬解消等促進加算の制度化を訴えた。

◎患者の声を尊重するシステム構築を


テリエ副会長は、血友病への遺伝子治療や1型糖尿病への細胞療法、アルツハイマー病治療などを今後5年間で大きな変革をもたらす可能性がある領域としてあげ、イノベーションにより患者の生活を大きく変える可能性を指摘した。治療の個別化が進む中で、患者の声を臨床試験に反映することの重要性を指摘。「日本が将来的に成長を遂げるためには、患者の声が尊重されるシステムを構築すべきだ」と述べた。

薬価制度改革の議論については、「アウトカムをベースとした評価にしていかないといけない」との考えを表明。ただ、現在は電子カルテをはじめとしたインフラが整っておらず、“移行期”にあたると指摘し、それに対応した制度設計を求めた。

◎ベック会長 社会に対する新薬の価値「フェアに評価を」


一方、EFPIA Japanのベック会長は、国内の医療用医薬品市場について、今後5年間の年平均市場成長率はマイナス1~2%、最も良好な場合でもフラットとの推計を紹介した。主要国の中で最も低率の成長率であることから、「研究開発の投資を国外に振り分けてしまうのではないか」と懸念を示した。

高齢化に伴う医療費の伸びが国に重くのしかかり、革新的新薬の薬剤費の高さも指摘されてきた。しかし、治癒を見込めるC型肝炎治療薬が登場したことで、肝硬変や肝がんへの進展、入院による治療などの医療費を削減でき、薬剤費の伸びはあってもトータルの医療費は抑制できるとの見方を示した。

今後、アルツハイマー病やオンコロジーなど、アンメット・メディカルニーズの高い薬剤の登場が想定される中で、ドラッグ・ラグを起こさないためにも、「最先端技術の第一線に日本を位置づける」ことが重要になる。ベック会長は、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算による経済的なインセンティブが必要だ。価格を引き上げてほしいというのではなく、社会に対する新薬の価値をフェアに評価してほしい」と強調した。一方で、「長期収載品や後発医薬品の薬価が時間とともに引下げあることも受け入れていかないといけない」とし、イノベーションとコストとを実現可能なバランスに維持することで、国民皆保険の維持に貢献する姿勢を強調した。

2018年度に本格導入が予定される費用対効果評価については、「社会でどこに優先的に投資するかを決める上で重要だ」と述べ、一定の理解をみせた。ただ、適切に導入できなければ革新的新薬へのアクセスの妨げとなる可能性があることから、「現行の薬価基準制度を踏まえた上で、補足的な位置づけとすべき」と述べた。

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