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アトピー初の生物学的製剤・デュピクセント ステロイドとの併用で難治例に期待

公開日時 2018/05/10 03:50

広島大学大学院医歯薬保健学研究科の田中暁生准教授は5月8日、サノフィ主催のメディアセミナーで、アトピー性皮膚炎治療薬・デュピクセント(一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え))について、「(ステロイドなど)塗り薬でもうまくいかなかった人にも恩恵がある薬ではないか」と述べた。アトピー性皮膚炎は、ステロイドなどの標準治療で症状が改善しなかったケースも存在し、新たな治療法が望まれていた。同剤は、アトピー性皮膚炎治療薬として初の生物学的製剤で、新薬として10年ぶりに承認を取得している。

同剤は、IL-4/13を特異的に阻害するモノクローナル抗体。アトピー性皮膚炎の症状を改善する。2018年1月19日に「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果に承認を取得した。

同剤の承認の根拠となった臨床第3相試験では、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の成人患者671人を対象に、重症度と面積を掛け合わせてスコア化した「EASIスコア」で改善率を検討した。投与開始後16週時に、皮膚症状が75%以上スコアの低下を達成した割合(EASI-75達成率)は、プラセボ投与群15%に対し、デュピクセント投与群は51.3%だった。ステロイド群との比較では、ステロイド単独群の23.2%に対し、デュピクセントとステロイド外用薬の併用では68.9%と高率になった。

一方、安全性については、デュピクセントとステロイド外用薬を併用時の副作用発現率は34.6%(147例/425例)だった。注射部位反応が最も多く、15.8%(67例/425例)。アレルギー性結膜炎などの眼障害も9.2%(39例/425例)発現した。プレスセミナーで結果を説明した日本医科大学大学院皮膚粘膜病態学の佐伯秀久教授は、「添付文書にも投与時には抗炎症外用剤を併用することと明記されている。あくまでもアドオンとして使う薬だ」と述べ、実臨床ではステロイドとの併用療法を行うべきと強調。「これまでの治療でもうまくいかなかった人から使っていきたい」と述べた。

田中准教授は自身の経験から、10年以上治療を続けていた30代の女性が、同剤を使用した翌日から痛みが楽になったことや、重症の40代の男性がほとんど湿疹のなくなったことなどを紹介した。 

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