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ノバルティス CAR-T細胞療法・キムリア、発売初期は2~3施設に限定 重篤副作用の管理徹底

公開日時 2019/04/19 03:51
ノバルティス ファーマは4月18日、3月に承認を取得した国内初のCAR-T細胞療法・キムリアについて、発売初期は2~3の医療機関に限定して供給するとの見通しを明らかにした。この製品は、患者自身の細胞を採取して製造することになるため採取時の品質管理のほか、高率に発現する重篤な副作用の徹底した管理を実施できる施設で使用する必要があるため。同社がこの日に開いたメディア向けセミナーで、同社のオンコロジージャパンプレジデントのブライアン・グラッツデン氏(写真)は「患者の安全の確保が一番の優先事項」と述べ、理解を求めた。

今後の見通しについてグラッツデン氏は、「薬価や(治療への)アクセスについては当局と話しているところ。発売日は決まっていない。施設名は発売日に公表する」とした。細胞の採取、細胞の調製・凍結、サイトカイン放出症候群や神経毒性などの重篤な副作用管理が確実に行われるよう同社は、施設に対しトレーニングをした上で治療を行う施設として認定する。品質管理、副作用管理を綿密に行えなければならないとして、発売初期は施設限定で供給することにした。供給施設は「時間をかけて増やしていくことを考えている」と話した。

キムリアは、患者から採取したT細胞を、米国の製造施設で遺伝子導入により改変し、患者の体内に戻すことで、CD19を細胞表面に発現するB細胞性の腫瘍を攻撃する、新たながん免疫細胞療法。患者ひとりひとりに対し製造する製品となる。効能・効果は「再発または難治性びまん性大細胞B細胞リンパ腫(DLBCL)」と「再発または難治性のCD19陽性のB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)」で、単回投与する。

北大・豊嶋教授 大きな進歩だが「夢の治療法ではない」 過度な期待戒め

北海道大学大学院医学研究院の豊嶋崇徳教授(写真右)は同日のメディアセミナーで講演し、効果は既存治療に比べ高く「大きな進歩である」とした上で「夢の治療法ではない。100%の患者さんが治るわけではない」と述べ、治療の難しさもあげながら過度な期待を強く戒めた。

DLBCLは、悪性リンパ腫の中で3~4割を占める最も頻度が高いタイプ。約半数が抗がん剤などで治癒するが、効果不十分の難治や再発ケースは予後が厳しい。豊嶋教授によると、治療12か月時点で生存率は約25%に対し、キムリアは治験では約50%に上ることを挙げ「大きな進歩である」と述べたが、効果は全ての患者に及ばないことに留意を求めた。

再発・難治のDLBCLに対する国際共同第二相試験(「JULIET試験」)では主要解析時点(n=81)の奏効率(完全奏功または部分奏功)は53.1%。18か月時点の奏功維持率は64%だった。

再発・難治B-ALLに対するキムリアの治療については、京都大学医学部附属病院の平松英文氏(写真左)が講演した。小児・若年成人を対象にした国際共同第二相試験(「ELIANA試験」)で、日本で登録した8例のうち、6例に投与され、4例が寛解(3例は完全寛解、1例は血液回復不十分だが骨髄では完全寛解)。4例全てが目視以外の手法で検査する微小残存病変が陰性だったと説明した。

ELIANA試験は、海外データを含めると主要解析時点(n=75)での全寛解率(完全寛解と血液回復不十分だが骨髄では完全寛解)は81.3%。投与24か月時点の無再発生存率は62%だった。

万全の副作用管理必要 慎重な適応判定求める

両氏とも、自らの正常細胞を攻撃するサイトカイン症候群が半数以上の患者に発現し、治療を進める中で神経毒性、血球減少などいくつもの重篤な副作用がありうることから、治療実施施設での万全の副作用管理の必要性を指摘した。平松氏は、副作用に対しては「迅速に共有し、適切な対応に向け、(院内の)たくさんのプレーヤーが強調して動くことが大事。一つの目標に向かって動ける体制にないと難しい治療である」と、治験の経験をもとに話した。

さらに両氏とも、患者の状態が製品品質に影響し、重篤な副作用を乗り越えながらの治療になることを説明。治療の適応判定は慎重に行わなければならないことを強調した。
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