GSKの長時間作用型の喘息等治療薬・エキシデンサーなど新薬9製品が承認へ 医薬品第二部会が了承
公開日時 2025/11/28 04:49
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会は11月27日、グラクソ・スミスクラインの6カ月(26週)に1回投与を可能とする長時間作用型の気管支喘息及び鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)治療薬・エキシデンサー皮下注(一般名:デペモキマブ)など新薬9製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。
審議され承認了承となった中には、日本イーライリリーのESR1遺伝子変異HR陽性HER2陰性乳がんに対する経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)・イムルリオ錠(イムルネストラント)、カルビスタ社の遺伝性血管性浮腫の急性発作治療薬・エクテリー錠(セベトラルスタット)が含まれる。
このほか、再発/難治性濾胞性リンパ腫(FL)に対するCD19を標的とする細胞溶解性抗体・ミンジュビ点滴静注用(タファシタマブ)などインサイト社の2製品も通過した。
部会を通過した審議・報告全品目の承認時期は12月中と見込まれる。新有効成分含有医薬品の薬価収載は26年3月となる見通し。
【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽イムルリオ錠200mg(イムルネストラントトシル酸塩、日本イーライリリー):「内分泌療法後に増悪したESR1遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
経口投与の選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)。SERDの注射剤には、フェソロデックス筋注があるが、経口SERDは国内初となる。
用法・用量は「通常、成人には1日1回400mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。海外では、米国で25年9月に承認されている。
▽ジニイズ点滴静注500mg(レチファンリマブ(遺伝子組換え)、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン):「切除不能な進行・再発の肛門管扁平上皮がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
抗PD-1抗体。肛門管扁平上皮がん(SCAC)に対し、パクリタキセル及びカルボプラチンと併用する。海外では、米国で25年5月に肛門管扁平上皮がんの効能追加承認を取得している。
▽エルゾンリス点滴静注1000μg(タグラキソフスプ(遺伝子組換え)、日本新薬):「芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
細胞表面タンパク質のCD123を標的とする細胞毒素。イタリアのメナリーニ社からの導入品。海外では、25年7月時点において、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)に係る効能・効果で、41の国又は地域で承認されている。
▽ミンジュビ点滴静注用200mg(タファシタマブ(遺伝子組換え)、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
ヒト化Fc修飾細胞溶解性抗CD19抗体。再発又は難治性濾胞性リンパ腫(FL)に対し、抗CD20抗体・リツキシマブ及び免疫調節薬・レナリドミドと併用する。海外では、米国で25年6月にFLの効能追加承認を取得している。
▽テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「切除不能な胸腺がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
抗PD-L1抗体。胸腺がんは、Tリンパ球の成熟に重要な役割を果たす胸腺上皮に由来する腫瘍である胸腺上皮性腫瘍のうち、細胞異形を伴うもので、日本人における年間発症数は、10万人あたり0.29人と推定されているという。胸腺がんに対する国内初の免疫チェックポイント阻害剤となる。
海外では、25年8月時点で、切除不能な胸腺がんに係る効能・効果で承認されている国又は地域はない。
▽エキシデンサー皮下注100mgペン、同皮下注100mgシリンジ(デペモキマブ(遺伝子組換え)、グラクソ・スミスクライン):「○気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)○鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
抗IL-5抗体。同じ抗IL-5抗体にはヌーカラ皮下注があるが、エキシデンサーは長時間作用型である点が特徴。気管支喘息に対する用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には1回100mgを26週間ごとに皮下注射する」。
一方、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)に対する用法・用量は、「通常、成人には1回100mgを26週間ごとに皮下注射する」となっている。
海外では、25年9月現在、承認されている国又は地域はない。
▽エクテリー錠300mg(セベトラルスタット、KalVista Pharmaceuticals Ltd.):「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。
新規血漿カリクレイン阻害薬。国内初の経口投与可能な遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作治療薬となる。科研製薬が国内販売権を取得している。
用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には1回300mgを経口投与する。効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、2時間以上の間隔をおいて1回300mgを追加投与することができる。ただし、24時間あたりの投与回数は2回までとする」。
海外では、HAEの急性発作に係る効能・効果で米国では25年7月に、欧州では25年9月にそれぞれ承認されている。
▽アバレプト懸濁性点眼液0.3%(モツギバトレプ、千寿製薬):「ドライアイ」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。
TRPV1拮抗薬。持田製薬が創製し導出したものを、千寿製薬がドライアイ点眼薬として開発した。用法・用量は「通常、1回1滴、1日4回点眼する」。海外では、25年10月現在、承認されている国又は地域はない。
▽デュピクセント皮下注300mgシリンジ、同皮下注300mgペン、同皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgペン(デュピルマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。
抗IL-4/13受容体抗体。現在、気管支喘息の小児用量は「12歳以上」となっているが、「6歳以上12歳未満」を追加するもの。
その用法・用量は「通常、6歳以上12歳未満の小児には体重に応じて以下を皮下投与する。15kg以上30kg未満:1回300mgを4週間隔。30kg以上:1回200mgを2週間隔」となっている。
【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽カルボプラチン注射液50mg「NK」、同注射液150mg「NK」、同注射液450mg「NK」(カルボプラチン、ヴィアトリス・ヘルスケア):「卵巣がん」を効能・効果とする新投与経路医薬品。
白金製剤。現在、卵巣がんに対して腹腔内投与を追加するもの。パクリタキセルと併用する。海外では、卵巣がんに対するパクリタキセル併用下における本薬腹腔内投与に係る用法・用量は承認されていない。
▽ウステキヌマブBS皮下注45mgシリンジ「ニプロ」(ウステキヌマブ(遺伝子組換え)[ウステキヌマブ後続4])、ニプロ):「既存治療で効果不十分な下記疾患:尋常性乾癬、乾癬性関節炎」を効能・効果とするバイオ後続品。
抗IL-12/23p40抗体・ステラーラの後続として4剤目となる。