日医・松本会長 26年度改定で賃金物価は単年度分上乗せが「現実的」 27年度分は大臣折衝で明確化を
公開日時 2025/11/27 06:00

日本医師会の松本吉郎会長は11月26日の定例会見で、2026年度診療報酬改定では、単年度の賃金・物価上昇分を確実に上乗せする対応が「現実策としては適切だ」との考えを示した。通常改定の行われない奇数年度(改定2年目)には、賃金・物価動向を当初予算に自動的に反映することを提案した。これまで改定年でない年の対応は補正予算で行われてきたが、診療報酬改定で対応する必要性を強調した。ただし、改定年でない奇数年度での対応を確実に実現するために「(25年末の)大臣折衝事項等でしっかりと明確化して対応を行うべき」と言及した。
日本医師会は、賃金・物価が上昇への次期診療報酬改定での対応策として、次期改定までの2年間を踏まえた改定水準とする案に加え、奇数年に当たる改定2年目にも改定を行い、基本診療料を中心に機動的に上乗せする2案を示していた。
◎「次回改定までをしっかり見た改定水準が理想」も推計値活用に難しさも
松本会長は、「次の改定までの2年間をしっかりとみた改定水準が望ましく理想的だが、2年目の予算を先取りすること等もあり、2年目の分を2年目に確実に上乗せする改定が現実策としては適切だ」との考えを示した。2年に一度の引上げで対応する場合は、推計値を活用することになることから、この難しさを指摘した。なお、骨太方針2025では、賃金上昇分は5.26%という目安の数字が示されているとした。
◎「基本診療料中心に上乗せを」 ベースアップ評価料に課題も
賃金・物価対応を目的とした点数として、ベースアップ評価料がすでに存在するが、「対象職種が限定されているなど、様々な課題もある。ベースアップ評価料を全く否定するわけではないが、日本医師会としては基本診療料を中心として上乗せしていく必要があると考えている」と述べた。具体的には、「基本診療料、つまり初・再診料、入院基本料にしっかり上乗せしていただくのがよいのではないか」と言及した。
そのうえで、「職員等の給与等については、医療機関、医療機関できちんと考えていただいて、しっかりと対応していただく、それが筋だというふうに思っている」と述べた。
今回の対応では、毎年診療報酬改定を実施することにつながる可能性もあるが、松本会長は、「現時点では、毎年必ず改定しなければならないとは思っていない」と説明。個別改定項目まで改定する本改定とは異なる位置づけとして、いわゆる毎年改定の考え方ではないと説明した。そのうえで、今後数年間インフレ基調があると見通し、「おそらく物価は年に2%、場合によってはもう少し上振れすると思う。物価が上がれば当然賃金も上がる。連動する形で、毎年改定に反映させていくのがよいのではないか」と述べた。
◎“4割赤字の診療所から7割赤字の病院へ” 財源移転しても「地域医療の崩壊進むばかり」
同日公表された医療経済実態調査の結果について、詳細に言及することは避けたが、医療法人の24年度の経常利益率は2.7%(中央値)だったことを引き合いに、「これまでのMCDB(医療法人経営情報データベースシステム)や日本医師会の調査結果と大きな違いはない」との見方を表明。利益率は前年度と比べ低下傾向にあるとして、「2%台という数字そのものも多大な利益率とは決して言えない」と強調した。
松本会長は、「診療所の4割が赤字という状況だ。これは本当に厳しい状況で、この点を看過できない」と強調。「4割が赤字の診療所から、7割が赤字の病院へ財源を移転しても、地域の医療提供体制の改善にはつながらない。何も解決しない。地域医療の崩壊が進むばかりだ」と危機感を露わにした。そのうえで、「病院と診療所の両方あっての地域医療だと思う。財源を純粋に上乗せする真水での対応が絶対に必要だ」と強調した。
◎医療費に補正予算を加えたもを「発射台」に26年度改定を 補正予算は「一時的に止血」
骨太方針2025を引き合いに、「補正予算は文字通り、あくまで補正的な措置で、過年度分の不足分への対応だ。大量出血の状態にある医療機関に対し、まずは補正予算で一時的に止血するものだ。大切なことは、止血した上で2026年度診療報酬改定において根治療法を行っていかなければならないことだ」と述べた。
そのうえで、「次の改定までの2年間をしっかりと見た改定水準が必要だ。補正予算の経済対策の規模を土台としたうえで、さらなる力強い物価高騰、賃上げ対策が不可欠だ。日本医師会としては、現在の医療費に補正予算を加えたものはあくまで土台であり、その土台をさらに発射台として26年度診療報酬改定が行われるものと考えている」と主張した。