国内IBD治療薬市場 25年に1500億円台に 18年比で1.5倍 富士経済調べ
公開日時 2019/07/02 03:51
富士経済はこのほど日本の炎症性腸疾患(IBD)治療薬市場が2025年に1500億円を超えるとの市場予測をまとめた。同市場は18年に1000億円の大台に乗っており、25年は18年比で1.5倍になる。今回の調査の最終年となる27年の市場規模は1558億円と予測している。
文末の「関連ファイル」に、27年までの消化器疾患治療薬とIBD治療薬の市場規模予測の資料を掲載しました(7月2日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります)。
調査方法は同社専門調査員による参入企業や関連企業などへのヒアリングや文献調査などをもとにまとめたもの。調査期間は19年1~3月。
同社の調べによると、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット病を含むIBDの治療薬市場は、17年に908億円、18年に1002億円(前年比10.4%増)、19年見込が1059億円(同5.7%増)、20年に1166億円(同10.1%増)――と1ケタ台後半から2ケタ成長し続ける。これは16年頃からの新薬の相次ぐ登場が主因となる。
16年は潰瘍性大腸炎治療薬の5-ASA製剤リアルダや、クローン病治療薬ゼンタコートが登場。17年は抗体製剤ステラーラがクローン病に、同じく抗体製剤のシンポニーが潰瘍性大腸炎に適応拡大されたほか、国内初の泡状注腸剤レクタブルも発売された。18年はゼルヤンツが適応拡大により、潰瘍性大腸炎の適応を持つ初のJAK阻害薬として登場し、局所免疫抑制作用を持つ抗体製剤エンタイビオも発売された。これらの新薬の伸びと患者数の増加が市場拡大に寄与するようだ。
■成長率は鈍化
27年まで市場は右肩上がりに推移するものの、成長率は鈍化する見込みだ。23年の市場規模は1450億円(同3.9%増)、24年は1485億円(同2.4%増)、25年は1510億円(同1.7%増)――となり、25年~27年は成長率が1%台となると分析している。
IBDを含む消化器科疾患治療薬市場では、構成比の高い消化性潰瘍薬やヘリコバクターピロリ関連薬が薬価改定や後発品への切り替えで縮小している。その一方で、IBD治療薬は成長し続ける見込みのため、同社は「25年には炎症性腸疾患治療薬が消化性・薬物性潰瘍等治療薬、ピロリ関連薬剤を上回ると予想される」としている。