中医協総会 次期改定で第2ラウンドがスタート オンライン診療の要件緩和も焦点に
公開日時 2019/09/12 03:51
中医協総会は9月11日、2020年度診療報酬改定に向けて第2ラウンドの議論をスタートさせた。この日は前回改定の行われた18年4月以降の算定状況について厚労省から資料が示された。前回改定で焦点となったオンライン診療料・医学管理料などの届け出医療機関は病院65施設、診療所905施設(2018年7月1日時点)となった。ただ、算定回数はオンライン診療料が65回、オンライン医学管理料が15回と総じて低調となっていることが分かった。政府はSociety5.0の実現を掲げ、オンライン診療の普及に努める方針を掲げているところ。次回改定に向けてオンライン診療料の要件緩和も一つの焦点となりそうだ。
政府が今年6月に閣議決定した骨太方針2019では、「オンライン診療について、現場の状況等を踏まえ、診療報酬における対応について検討するとともに、オンライン服薬指導についての実施の際の適切なルールを検討する」ことを盛り込んでいる。在宅療養中の患者と遠隔地の医療機関にいる医師をオンラインでつなぎ、診療できる環境を整えることは、政府の推し進める地域包括ケアシステムを推進する意味で重要な役割を担う。前回改定では、医療ICTの利活用の視点から地域医療における環境整備を進める観点で、一定の要件を満たすことを条件にオンライン診療などを新設した。
◎算定回数は低調 算定要件の厳しさが指摘される一方で不適切事案も
厚労省保険局はこの日の中医協総会に示した資料では、オンライン診療料(70点/1月につき)が65回、オンライン医学管理料(100点/1月につき)が15回、在宅時医学総合管理料オンライン在宅管理料(100点/1月につき)が4回、それぞれ算定されていた
(18年6月審査分)。
オンライン診療をめぐっては、対象疾患をはじめとして、算定要件をクリアすることが厳しいことが指摘されている。一方でED治療などの自由診療で「初診から対面」との原則を守らなかったり、糖尿病治療薬をやせ薬として活用したりするなど、不適切な事例もあがってきている。18年12月には医政局医事課長名で通知を発出し、初診時の対面診療の原則を踏まえない例や、チャット機能のみを情報通信手段とした診療行為は、医師法第20条に違反する恐れがあることを周知している状況にある。こうした不適切事例を踏まえたうえでの要件が議論のポイントとなりそうだ。
◎支払側 要件緩和に慎重 普及を阻む理由の検証を
支払側は、「単純に届出施設等が少ないからといって、要件緩和するということにはならないだろう」(吉森俊和委員・全国健康保険協会理事)、「改定直後のデータで、これを持って何かを言うのは、時期尚早」(幸野庄司・健康保険組合連合会理事)など要件緩和に慎重な姿勢を示し、普及を阻む理由を検証する必要性を指摘した。
◎機能強化加算めぐり各側が応酬
このほか、18年度診療報酬改定で新設された機能強化加算をめぐり、診療・支払各側が応酬する一幕もあった。機能強化加算は18年7月1日時点で1048病院、1万1793診療所が届け出を行い、178万3064回算定されている(18年6月審査分)。
支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、14年改定で新設された地域包括診療加算・診療料を引き合いに、「同じかかりつけ医機能を評価する診療報酬でありながら算定率は大きく異なる。同じように評価されてよいのか」と指摘した。なお、地域包括診療料・加算は、複数の慢性疾患を抱える患者に対し、継続的な医療を提供することを評価する点数で、患者の同意が必要であるのもひとつのハードルとなっている。
これに対し、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「施設基準や算定要件が大きく異なる。比較するそのことがナンセンス」と述べ、一歩も譲らなかった。