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中医協総会 「療養・就労両立支援指導料」の対象疾患・要件見直しへ 治療と仕事の両立で評価拡大

公開日時 2019/10/28 03:52
厚労省保険局医療課は10月25日の中医協総会に、「療養・就労両立支援指導料」の算定要件や対象疾患の見直しについての論点を提示した。政府による健康寿命を延伸する社会構造を実現するため、治療と仕事が両立できる環境を診療報酬でも評価する。前回の2018年度診療報酬改定においては、がん患者を対象に、主治医が産業医から助言を得て算定できる「療養・就労両立支援指導料」を新設していた。今回は、脳血管疾患、肝疾患、難病への対象拡大のほか、産業医が選定されていない事業所における算定要件の見直しなどの検討を求めている。

◎労働人口の3人に1人が疾患を抱えて働いている

政府が議論を開始した全世代型社会保障では、70歳まで健康で就労できる環境の整備を求めている。団塊世代が75歳以上となる2025年を見据え、社会保障の「支え手」を増やす狙いが込められている。ただ一方で、日本の労働人口の3人に1人が何らかの疾患を抱えながら働いていることも指摘され、人口減少社会における課題の一つにもあげられている。このため政府は、働き方改革の一環として、企業経営者に対し健康経営の実践を促しているほか、社員の健康管理や治療の側面からは、主治医、会社・産業医、両立支援コーディネーターによるトライアングル型サポート体制の構築などを進め、健康で働ける環境の整備に努めていた。

◎事業所における産業医選任の要件緩和へ


こうした社会背景を踏まえて厚労省は、18年4月実施の診療報酬改定で、がん患者の就労支援を推進する観点から「療養・就労両立支援指導料」(1000点)を新設した。同指導料は、主治医が産業医から助言を得て、患者の就労状況を踏まえて治療計画の見直し等の医学管理を行った場合に算定できる。また、専任の看護師等が、がん患者に対し、就労を含む療養環境の調整等に係る相談窓口を設置した場合の「相談体制充実加算」(500点)を設けた。

ただ、現行ルールでは、主治医は診療情報を提供した後、産業医からの助言を踏まえ、治療計画の見直し・再検討を行うまで「療養・就労両立支援指導料」を算定できないことが現場から指摘されていた。さらに同指導料の対象患者は、産業医が選任されている事業場に限定されているなど、要件の見直しを求める声も現場からあがっている。なお、「療養・就労両立支援指導料」の算定回数は月10回(社会医療診療行為別統計・2018年6月審査分)だった。

◎脳血管疾患、肝疾患、難病に対象拡大も

次期改定では、企業からの勤務情報の提供に基づき、患者に療養上必要な指導を行うとともに、企業に対し診療情報を提供した場合について診療報酬で評価することの是非が論点としてあがった。この日の中医協総会に厚労省が示した論点では、主治医からの診療情報の提供に当たっては、患者本人に文書を交付する場合と患者本人の同意を得た上で、患者とともに来院した産業医等に診療情報を提供する場合が考えられるとした。さらに、産業医が選任されていない事業場においても、労働者の健康に係る業務を担当する者が選任されている場合があり、産業医以外の者が診療情報の提供先となり得るとした。

さらに、がん、脳血管疾患、肝疾患については、企業と医療機関が情報のやりとりを行うための「企業・医療機関連携マニュアル」が18年度改定以降示されたほか、難病も2019度中に連携マニュアルが作成される予定だとし、同指導料の算定対象となる疾患の拡大も求めている。
 

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