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【FOCUS】時間外労働上限規制まで残り4年 B、C水準候補医療機関は茨の道

勤務環境改善に加え 時短計画策定や評価機能受審で混乱必至?

公開日時 2020/01/09 04:51
「医師の働き方改革の推進に関する検討会」と「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」は、2019年中に一定のとりまとめを目指していたが、それぞれ年明けに持ち越された。ただし、前者についての大枠は固まりつつあり、特に救急医療などの地域医療・臨床研修・高度医療を担う急性期病院、すなわちB水準、C水準になりそうな医療機関にとってはかなり厳しい内容といえる。2024年4月の時間外労働時間の上限規制適用に向けて、勤務時間管理や勤務環境改善、そして労働時間短縮に早急に取り組まなければならないが、B、C候補医療機関は指定に向けた煩雑な準備にも追われるだけに、医療現場がどれだけ対応できるか不透明だ。

◎理想は2024年4月までにすべての医療機関がA水準
 

2019年6月に初会合が開かれた「医師の働き方改革の推進に関する検討会」では、3月にまとめた「医師の働き方改革に関する検討会」報告書に基づき、医師の時間外労働の上限規制に関して医事法制や医療政策で対応するとされた事項について主に検討している。具体的には、①地域医療確保暫定特例水準(B水準)および集中的技能向上水準(C水準)の対象医療機関の指定にかかわる枠組み、②追加的健康確保措置の義務化および履行確保にかかる枠組み、③医師労働時間短縮計画、評価機能にかかる枠組み──の3つ。

B水準およびC水準の対象となる医療機関の細かな指定要件は割愛するが、指定までの全体的な流れがまず非常に煩雑だ。最も基本的でシンプルなシナリオは、すべての医療機関が足元から労務管理の適正化に取り組み、時間外労働を年間960時間まで抑えてA水準の勤務医のみの医療機関で2024年4月を迎えることである。

しかし、救急医療など地域医療で必須とされる機能の確保、あるいは技能の研さんといった理由でやむなく長時間労働となる勤務医は依然多く、さらに年間1860時間を超える勤務医が1割存在するという現状を考えると、すべてをA水準にするというのは現実的ではない。最優先課題としてB水準、C水準を設定し、その1割の勤務医の時間外労働をまず、残り4年ほどで年間1860時間以下にしていかざるを得なかった。

◎時短計画と評価機能で院内外から進捗管理

そのため、A水準に到達しそうにない医療機関は、B水準、C水準の指定を受けるために、今からさまざまな準備が必要だ。まずすべての医療機関で推奨されている時間短縮計画を策定することが、時間外労働時間が年960時間を超える医師のいる医療機関に義務づけられる。厚生労働省は、時短計画策定の義務化は遅くとも21年度から実施していく考えだ。策定後も1年単位のPDCAサイクルで見直しを図り、毎年都道府県に提出しなければならない。

さらにB水準、C水準の指定要件として、医療機関の労働時間削減の実績と取り組みを第三者が評価する「評価機能」の受審が求められる。22年度に全B、C候補医療機関に対して書面評価を行い、23年度には前年度の書面評価で評価の低かった医療機関に対し、訪問評価を実施する予定。指定後は3年に1回の訪問評価が義務づられる。

評価結果は公表されるとともに、評価結果に応じて時短計画の見直しや取り組みの改善、必要な支援など都道府県の介入などが指定の条件に課せられる。

◎追加的健康確保措置の履行未実施で指定取り消しや罰則適用を視野

B水準、C水準はもとより、A水準についても、脳・心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の水準(複数月平均80時間以下、休日労働込み)を考慮し、月100時間以上の時間外労働が想定される場合は、追加的健康確保措置を講じることが必須となる。具体的には、当月の時間外労働時間数が100時間に到達する前に疲労度確認や面接指導を行うというもの。ほかにも、連続勤務時間制限28時間や勤務間インターバル24時間につき9時間などに取り組まなければならず、A水準は努力義務、B、C水準は義務とした。

こうした指定後に実施される追加的健康確保措置に備えた体制整備も喫緊の課題といえる。勤務時間管理の徹底はもちろん、面接指導の実施者(産業医、または必要な知見に係る講習を受けた医師)の確保なども必要となるからだ。

なかでも医師の働き方改革推進検討会で議論となったのは、副業・兼業で複数医療機関に勤務する医師の勤務時間管理である。労働基準法の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」により、自己申告等で副業・兼業先の労働時間を把握するほか、検討会では管理の負担を考慮して、例えばメインで従事する医療機関が毎月決められた時間、面接指導や指導に基づいた就業上の措置を行ってもよいとしている。ただし、副業・兼業先との面接結果の共有などが条件となるなど、勤務医1人ひとりで異なる副業・兼業先との実施・連携体制や仕組みづくりは至難の業と言わざるを得ない。

一方で追加的健康確保措置の確実な履行に向け、毎年度実施される都道府県による立入検査で実施状況を確認し、必要に応じて指導を行い、改善がみられない場合は改善命令、それに従わない場合は、B、C水準の指定取り消しや罰則が適用される。

このほかにも、並行して検討が進んでいるタスク・シフト/シェアの導入など、時短を迫られる医療機関にとってここ数年は、診療面や経営面でやるべきことが目白押しである。こうしたなか、例えば医師の勤務時間管理を容易にしようと、副業・兼業先の絞り込みなどが進められるなど、地域医療の確保に影響を及ぼす事態も懸念されている。各医療機関の診療体制、さらに地域医療の機能分担にもかかわってくるため、各エリアでの医師の働き方改革の対応や進捗等については、今後も注視していく必要があろう。(富井和司)
 

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