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中外製薬・小坂CEO 「デジタルは社会を変える、産業を変える、中外製薬を変える」

公開日時 2020/01/31 04:52
中外製薬の小坂達朗代表取締役社長CEOは1月30日、19年度12月期決算会見に臨み、2020年に、デジタル活用基盤の構築に注力する方針を示した。小坂CEOは、「AI(人工知能)を含むデジタルは社会を変える、産業を変える、中外製薬を変える」と述べた。AI創薬による革新的新薬創出に加え、デジタルをあらゆる部門に導入することで新たなビジネスモデルを構築する考えを示した。そのための方策として、ロシュとの戦略アライアンスを活かす考えも明らかにした。数千人のデジタル人材を抱えるロシュと連携し、「彼ら(ロシュ)の持つノウハウ、そしてデータを一緒にして活用していく仕組みを考えている」と話し、グローバルプラットフォーマーの実現に意欲をみせた。

中外製薬は、2020年の重点方針のひとつに、「個別化医療高度化とデジタル活用基盤の構築」を掲げた。世界に目をやれば、米国のGAFAに代表されるITプラットフォーマーがヘルスケア領域に照準を合わせて動き始めている。データを寡占状態とするリスクもあるなかで、中外製薬はロシュや、AI開発のPreferred Networksなど、外部パートナーとのコラボを加速させることで、変化の時をリードする構えだ。

◎「研究、開発、生産、営業、管理部門」の全てをデジタルで最適化

同社がデジタルの活用として見据えるのが、革新的新薬創出に向けたAI創薬と、新たなビジネスモデル・プロセスの創造だ。小坂社長は、「研究、開発、生産、営業、管理部門とすべてのバリューチェーンで効率化、オプティマイゼーション(最適化)を進めていきたい」と話す。実現に向け、「まず1、2年はインフラストラクチャー(基盤)をいかに強化していくかが課題だ」と小坂社長は話す。19年には、「デジタル・IT統括部門」を新設するなど、社内での体制整備も進める。20年には、デジタル人財の育成・確保に力を入れる。

◎リアルワールドデータの承認申請への活用を視野 希少疾患患者に光を

デジタルを活用した個別化医療の推進も大きな可能性を秘める。疾患に着目して開発を進めると「遺伝子診断が進むと、がんがさらに細分化されて、小さいセグメントになっていく」と同社の伊東康上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長(R&D)は説明する。特に希少疾患では臨床試験で、対照群を設定できないことも指摘されており、「これまでと同じような比較対象試験を行うことは現実的に不可能」(伊東氏)な状況にある。

こうしたなかで、有望視されるのがリアルワールドデータ(RWD)の利活用だ。ロシュ傘下の企業「フラットアイアン・ヘルス」は、米国の主な拠点病院に電子カルテを提供することを通じてデータベースを構築。データの構造解析を行うことで、承認申請時に活用できる“レギュラトリーグレード”のデータを提供することを可能にしている。同社の抗がん剤・ロズリートレクは19年、網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne CDx」をコンパニオン診断として、「NTRK 融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」の適応を取得、上市された。実診療のRWDとがんゲノム情報とを組み合わせることで、がん種横断型の適応取得などへの可能性は拡がる。

一方、国内ではRWDの利活用における規制のハードルがある。伊東氏は、「明日にでもフラットアイアンのデータベースがビジネスを始める環境にはない」と断ったうえで、「オンコロジーのトップ領域の企業としては、小さいセグメントの患者さんにも医薬品を届けられるよう、RWDデータの活用も今後考えていきたい」と強調した。


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