第一三共 抗体薬物複合体DS-1062とキイトルーダとの併用療法を評価へ
公開日時 2020/06/02 04:51
第一三共は6月1日、TROP2に対する抗体薬物複合体(ADC)のDS-1062と、米メルクの免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法を評価する研究開発提携契約をメルク子会社と締結したと発表した。契約に基づき、第一三共は活性化遺伝子異常のない進行・転移性非小細胞肺がん患者を対象とした両剤併用のフェーズ1試験を行う。
第一三共は、「DS-1062と標的の異なる他剤との併用療法により、DS-1062の価値を最大化し、がん患者さんのアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組む」としている。
同試験は2つのパートからなり、用量漸増パートのパート1では、DS-1062の投与量を段階的に増やしながら安全性と忍容性を評価し、最大耐用量と推奨用量を決定する。用量展開パートのパート2では、両剤併用の推奨用量での安全性と忍容性を評価する。主要評価項目は両剤併用における最大耐用量、推奨用量での安全性と忍容性で、副次評価項目は客観的奏効率(腫瘍が完全に消失または30%以上減少した患者の割合)などとする。日米で約60人の患者を登録する予定。
ADCは、抗体と薬物(低分子化合物)を適切なリンカーを介して結合させた薬剤。がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞に直接届けることで、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高める。
DS-1062は第一三共独自のADC技術を用いて創製されたもので、独自のリンカーを介して新規のトポイソメラーゼⅠ阻害薬(DXd)を抗TROP2抗体に結合させた薬剤。1つの抗体につき約4個のDXdが結合している。TROP2は非小細胞肺がんを含む複数の固形がんに高発現するたんぱく質の一種で、非小細胞肺がんの大多数に発現しており、がんの進行や生存率の低下に関係しているといわれている。現在、非小細胞肺がん患者を対象に承認されているTROP2を標的とした治療法はない。