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厚労省 新薬16製品を承認 経口GLP-1作動薬、保存期の腎性貧血薬など大型候補多く

公開日時 2020/06/30 04:51
厚生労働省は6月29日、新医薬品として16製品40品目を承認した。大型化が期待される製品が多く、例えば、2型糖尿病治療薬のGLP-1受容体作動薬として初の経口薬となるリベルサス錠(一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ)や、新規の経口腎性貧血薬のHIF-PHD阻害薬として初の保存期適応を持つ▽バフセオ錠(バダデュスタット、田辺三菱製薬)▽ダーブロック錠(ダプロデュスタット、グラクソ・スミスクライン)――の2製品、新規の慢性心不全治療薬・エンレスト錠(サクビトリルバルサルタン水和物、ノバルティスアファーマ)がある。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、申請企業名)。薬効分類順に記載。

オンジェンティス錠25mg(オピカポン、小野薬品):「レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:116

末梢性の長時間作用型の新規COMT(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ)阻害薬。1日1回投与製剤で、レボドパ含有製剤と併用して用いる。細胞毒性を示すことなく、末梢選択的に高いCOMT阻害作用を示す。プラセボと比較して、レボドパ(ドパミン前駆体)のバイオアベイラビリティを最大65%まで増加させ、用量依存的にOFF時間を短縮するとされる。同種同効薬にコムタン錠がある。

ゼオマイン筋注用50単位、同筋注用100単位、同筋注用200単位(インコボツリヌストキシンA、帝人ファーマ):「上肢痙縮」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:122

有効成分のインコボツリヌストキシンAは、A型ボツリヌス菌により産生されるA型ボツリヌス毒素から菌由来の複合タンパク質を取り除いたもの。これにより中和抗体ができにくくなる。

再投与は前回の効果が減弱した場合に可能で、投与間隔は類薬のボトックスと同じく「12週以上とすること」とされたが、ゼオマインはさらに、「症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる」とも記載された。「10週まで短縮できる」との投与間隔が、ゼオマインの特徴のひとつとなる。

オノアクト点滴静注用50mg、同点滴静注用150mg(ランジオロール塩酸塩、小野薬品):「敗血症に伴う▽心房細動▽心房粗動▽洞性頻脈――の頻脈性不整脈」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:212

短時間作用型アドレナリンβ1受容体遮断薬。交感神経系のβ1受容体に選択的に結合し、カテコールアミンの作用に拮抗することで心拍数を低下させる。手術時の頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)に対する緊急処置などに使われている。

静注用β遮断薬としてインデラル注射液やブレビブロック注が上市されているが、敗血症に伴う頻脈性不整脈の適応を持つ薬剤はない。オノアクトの今回の適応は海外でも承認されていない。

サムスカ錠7.5mg、同錠15mg、同錠30mg、同OD錠7.5mg、同OD錠15mg、同OD錠30mg、同細粒1%(トルバプタン、大塚製薬):「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)における低ナトリウム血症の改善」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。再審査期間は10年。薬効分類:2139

水利尿(電解質を含まない水分の排泄)を促進する経口バソプレシンV2受容体拮抗薬。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)はバソプレシンが生理的調節機構を逸脱して過剰に又は不適切に分泌され、V2受容体を介する抗利尿作用により希釈性低ナトリウム血症をきたす疾患。放置すれば徐々に悪化して中枢神経症状を呈するようになり、脳ヘルニアなどにより死に至ることもある。日本内分泌学会から開発要望が出され、未承認薬等検討会議での議論を経て、厚労省から開発要請された品目。

エンレスト錠50mg、同錠100mg、同錠200mg(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、ノバルティスファーマ):「慢性心不全。ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。薬効分類:219

アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)と呼称するクラスの新薬。心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(ナトリウム利尿ペプチド系)を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制することで作用を発揮する。既存のACE阻害薬やARBなどの心不全治療薬は過剰に活性化したRAASによる有害な影響の抑制にとどまる。

エンレストはネプリライシン阻害薬サクビトリルと、ARBバルサルタンを含有し、1日2回投与で、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減する。心不全領域に強い大塚製薬とコ・プロモーションする。

アテキュラ吸入用カプセル低用量、同カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ):「気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品および新医療用配合剤。再審査期間は8年。薬効分類:229

長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)で、同剤はICS/LABA配合薬。3規格ともインダカテロールは150μgを含有し、同カプセル低用量はモメタゾンとして80μg、同カプセル中用量は同160μg、同カプセル高用量は同320μg――がそれぞれ含有されている。3規格とも1日1回、専用の吸入用器具を用いて吸入する。海外で承認されている国・地域はない。

エナジア吸入用カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ):「気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β2刺激剤及び長時間作用性吸入抗コリン剤との併用が必要な場合)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品および新医療用配合剤。再審査期間は8年。薬効分類:229

長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。既承認成分のグリコピロニウムは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)――で、同剤はICS/LAMA/LABAによる3成分配合吸入薬となる。COPD適応のICS/LAMA/LABA配合吸入薬はビレーズトリエアロスフィアとテリルジーがあるが、気管支喘息適応ではエナジアが初となる。

エナジアは1日1回、専用の吸入用器具を用いて吸入する。2規格ともインダカテロール150μg、グリコピロニウム50μgを含有する。そして、同カプセル中用量はモメタゾン80μg、同カプセル高用量はモメタゾン160μgを含有する。海外で承認されている国・地域はない。

フルティフォーム50エアゾール56吸入用、同50エアゾール120吸入用(フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物、杏林製薬):「気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作用型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。再審査期間は4年。薬効分類:229

吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)による吸入配合薬(ICS/LABA配合薬)。

リベルサス錠3mg、同錠7mg、同錠14mg(セマグルチド(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ):「2型糖尿病」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類:249

1日1回経口投与のGLP-1受容体作動薬。セマグルチドを主成分とする週1回投与の皮下注製剤・オゼンピックもノボが承認を取得している。

セマグルチドは生体内で分泌されるホルモンであるGLP-1のアナログで、リベルサスはサルカプロザートナトリウム(SNAC)と呼ばれる吸収促進剤を含有した製剤。SNACは胃でのセマグルチドの吸収を促進することで、セマグルチドの生物学的利用能を高め、効果的な経口投与を可能にした。

用法・用量は、通常、成人には、1日1回3mgから開始し、4週間以上投与した後、1日1回7mgに増量する。1日1回7mgを維持用量とする。患者の状態で適宜増減するが、1日1回7mgを4週間以上投与しても効果不十分な場合には、1日1回14mgまで増量できる。同剤は空腹時に服用し、その後すぐの食物摂取は不可となる。ノボは同剤を、経口血糖降下薬・ジャヌビアなどを手掛けるMSDとコ・プロモーションする。

メーゼント錠0.25mg、同錠2mg(シポニモドフマル酸塩、ノバルティスファーマ):「二次性進行型多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。薬効分類:399

スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬。リンパ球上のS1P受容体に作用して末梢血中のリンパ球数を減少させることで、自己免疫反応に関与するリンパ球の中枢組織への浸潤を阻止し治療効果を示すと考えられている。

多発性硬化症(MS)は臨床経過に基づき、急性増悪(再発)と寛解を繰り返す再発寛解型(RRMS)、RRMSとしてある程度経過した後に、再発の有無にかかわらず障害が徐々に進行する二次性進行型(SPMS)、発症時から急性増悪(再発)がなく進行性の経過を呈する一次性進行型(PPMS)の3病型に分類される。メーゼントはSPMSに用いる。

バフセオ錠150mg、同錠300mg(バダデュスタット、田辺三菱製薬):「腎性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤。慢性腎臓病(CKD)患者では、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため貧血がよくみられる。HIF-PHD阻害薬は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に効果をもたらす。

保存期と透析期の腎性貧血に使用でき、保存期適応を持つHIF-PHD阻害薬は同剤と、この日に承認されたダーブロック錠が1番手となる。バフセオの用法・用量は1回300mgを開始用量として、1日1回経口投与する。以後は患者の状態に応じて投与量を増減するが、最高用量は1日1回600mgとする。保存期、透析期とも同じ用法・用量となる。

バフセオの製造販売元の田辺三菱は透析領域の製品を有していないことから、透析領域に強みを持つ扶桑薬品とコ・プロモーションする。同剤は海外で承認されている国・地域はない。

ダーブロック錠1mg、同錠2mg、同錠4mg、同錠6mg(ダプロデュスタット、グラクソ・スミスクライン):「腎性貧血」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤。保存期と透析期の腎性貧血に使用でき、保存期適応を持つHIF-PHD阻害薬としては同剤と、この日に承認されたバフセオ錠が1番手となる。ダーブロックも1日1回投与で使うが、用法・用量が▽保存期慢性腎臓病▽保存期で赤血球造血刺激因子(ESA)製剤からの切り替え▽透析患者――のそれぞれで規定されており、この点がバフセオと異なる。

ダーブロックは保存期慢性腎臓病患者に対して、1回2mgまたは4mgを開始用量とし、以後は患者の状態に応じて適宜増減し、最高用量は1日1回24mgまでとして使う。保存期でESA製剤からの切り替えと透析患者に対しては、1回4mgを開始用量とし、以後は患者の状態に応じて適宜増減し、最高用量は1日1回24mgまでとする。

ダーブロックはESA製剤ネスプを手掛ける協和キリンが販売し、GSKと協和キリンが共同して情報提供・収集活動を行う。海外では20年3月現在、承認されている国・地域はない。

イルミア皮下注100mgシリンジ(チルドラキズマブ(遺伝子組換え)、サンファーマ):「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:399

ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤。同剤が結合するIL-23(インターロイキン-23)は自己免疫性炎症疾患に関与する17型ヘルパーT細胞の維持及び活性化に関与するサイトカイン。同剤がIL-23に結合することでIL-23とIL-23受容体との結合を阻害し、炎症性サイトカイン及びケモカインの遊離を抑制する。同種同効薬にはヤンセンファーマが製造販売元のトレムフィア皮下注などがある。

サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類:429

CD38 受容体の特異的なエピトープを標的とするモノクローナル抗体製剤。多発性骨髄腫(MM)細胞の細胞膜上に発現するCD38に結合し、MM細胞に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)活性ならびにアポトーシスを誘導することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。ポマリドミド、デキサメタゾンと併用して使う。なお、CD38を標的とする抗体製剤にはダラザレックスがある。

タブレクタ錠150mg、同錠200mg(カプマチニブ塩酸塩水和物、ノバルティスファーマ):「MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:4291

経口MET阻害薬。MET(間葉上皮転換因子)のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することで、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんに対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんの国内患者数は約5000人と推測されている。同種同効薬にはテプミトコ錠がある。海外では20年2月末時点で、承認された国・地域はない。

エンスプリング皮下注120mgシリンジ(サトラリズマブ(遺伝子組換え、中外製薬):「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類:639

ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体。視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)は視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、生涯にわたって衰弱を引き起こす。繰り返す再発により、神経の損傷や障害が蓄積される。症状として視覚障害、運動機能障害などが現れる。同剤はNMOSDの病態に深くかかわっているとされるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制することが期待されている。海外では20年2月時点で、承認されている国・地域はない。


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