厚労省 ステロイド薬・デキサメタゾンを新型コロナ診療の手引きに追記
公開日時 2020/07/22 04:51
厚生労働省は7月21日までに、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」を改訂し、ステロイド薬・デキサメタゾンを「日本国内で承認されている医薬品」として追記した。同剤は、効能・効果のひとつに、重症感染症がある。
診療の手引きでは、同剤について英国で実施されたランダム化試験「RECOVERY」の結果を紹介している。デキサメタゾン6mg1日1回経口または静脈内注射で最大10日間投与した群(デキサメタゾン群)2104人、標準治療群4321人にわけ、治療効果を比較した。主要評価項目である、治療開始28日後の死亡率は標準治療群24.6%(1065例)、デキサメタゾン治療群21.6%(454例)で、有意に死亡率を低下させた(年齢調整率リスク比(RR):0.83、95%CI: 0.74-0.92; P <0.001)。人工呼吸器を装着している患者(29.0%対40.7%、RR:0.65 、95%CI 0.51-0.82; p <0.001)や、侵襲的人工換気なしに酸素を受けている患者(21.5%vs. 25.0%、RR:0.80 、95%CI :0.70〜0.92; p = 0.002)では死亡率を減少させた。一方で、酸素投与の必要のない患者では、患者の死亡率は有意差を認められなかった(17.0%vs 13.2%、RR :1.22 、95%CI :0.93-1.61; p = 0.14)。
この結果を受け、米NIHは6月25日に治療ガイドラインを改訂し、人工呼吸や酸素投与を必要とする新型コロナ患者への同剤の使用を推奨している。なお、同剤以外のステロイド薬についての評価は確立していないとしている。